そのハンドメイドは本当に手作りですか?
日間田葉(ひまだ よう)
こんな素敵な毛糸アートは見た事ない
つい先日の出来事です。
何気なく見ていたスマホに毛糸編みで再現されたそれはそれは素敵な鉢植えの花の画像が流れてきました。花と器だけでなく庭にある棚やじょうろやスコップまでも全てが編み込まれた毛糸で作られており一目で目を奪われます。あまりの可愛らしさと出来栄えに釘付けになりました。
近頃ちまたでは花束ブランケットとかの毛糸の編み物が流行っているのは知っていましたがこんなに繊細な編み物のハンドメイド作品があるのかと驚きとともに感動し私もやってみたいと作り方の本を検索しましたが全く出てきません。
本がなければ動画で作り方を調べようとネットを徘徊しましたが知りたい毛糸アートの作り方はやはり出てきませんでした。
流行りはじめだからハウツー本とか動画にはまだなっていないのかもしれないと残念に思いながらインスタの画像をこれでもかと追い続けていたら私と同じように感動したらしき方が書きこんだと思われるコメントをみつけました。
「どれくらい時間がかかったんですか」とか「本当に素晴らしいです」という言葉に頷きながら読んでいるとその褒めたたえたコメントに対する返信がこれでした。
「AIが作りました」
はぁ?
ハンドメイドの手作りで編んだ超大作だと思っていたものは元の画像をAIで編み物風に加工したものだったのです。
AIのイラストはなんとなく判断ができますがその毛糸アートの画像の中はまるっきり本物の毛糸で作られた世界で人が作ったものを撮影したように錯覚するほど温かみがあります。
完璧に美しいものもあればちょっと毛糸が出てたり大ぶりの花だと網目が大きかったりと人が手で編んだと勘違いしても仕方ない出来栄えでAIと言われなければ気が付かなかったと思います。
なんていうか私にも出来そうっていう感じで真似して作ってみたいと創作意欲がわくものでした。
このちょっと人間臭い感じをAIが作ったのかと思うととても複雑な心境です。
ハンドメイドだけは絶対にAIに出来ないものだからと手作りが好きな私はAIに対して変な対抗意識があったのですがなんだか負けた気分です。
確かに実物は存在しません。手に取る事はできません。しかしながらSNSでは画像だけあればいいのです。
ハンドメイドは時間をかけて丁寧に作り上げる、その過程を楽しみ結果に達成感を覚えるのが醍醐味です。SNSに画像を上げれば承認欲求も満たされます。ただ失敗もあるし上手くなるには苦労も伴います。
ですが、AIを使えば失敗や苦労をすることもなく好きなものがなんでも素晴らしい毛糸アートに出来あがり賛辞のコメントがバンバンつくのです。
毛糸編みはマフラーのような使用目的があればそれはAIには出来ない事でしょうが素敵な毛糸アートをお披露目したいだけなら加工で充分でしょう。
私が少し心配なのは目的がハンドメイドではなくありとあらゆる画像を毛糸アートにして楽しむというAIで遊ぶ事にハマってしまう人がたくさん出てきた事です。
AIがあれば材料を買う必要もなく時間も置き場所にも困らない。簡単になんでも毛糸アートで表現できる。
すべての人がそうではないし実用的なものに関しては人の手が必須ではありますがAIに手作りの楽しみまで奪われる未来がもうそこまで来ているのかもしれないと背筋が少し冷えました。
そのハンドメイドは本当に手作りですか? 日間田葉(ひまだ よう) @himadayo
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