大人っぽい僕と、子供っぽい
クリトクらげ
第1話 僕と先輩。
「宝月ちゃん!」(ほおづき)
「ん?どうしたの?」
膝を曲げ、顔を覗き込むように話す。
「ぼ、僕と、付き合ってください!」
少し驚いた目をする先輩。
「ごめんね、晴はまだ子供だし、」(はる)
「晴君とは付き合えないかな、」
なんでだろう。告白しているのは僕なのに。
悲しい表情をする先輩が頭から離れなかった。
ピピピピッピピピピッ
耳を突き刺すような高い音が、僕を起こす。
ピッ
僕はアラームへ手を伸ばし、止めた。
(夢か、)
何回見たことだろうか、
僕は重たい体を起こし、洗面台で顔を洗い、階段を降りた。
ガラガラ
僕は引き戸を引き、リビングに入った。
「おはよー」
あくびをしながらそういうと、足で何かを蹴った。
下を見るとモチがいた。
「あ、ごめん、おはよ、モチ」
長めのしっぽを僕の腕に巻き付けて、白色と茶色のさらさらとした体毛で体を擦り付けてくる猫。
「やっぱ、あんたが一番懐いてるわね」
母がそういい、モチのご飯を置いた。
そうすると、モチは僕の事お構いなく、ご飯は駆けつけた。
(ご飯いっぱい食べるのはいいけど、もうちょっと触りたかったな、)
少しの寂しさとともに、こたつに置かれたパンを食べる。
食べ終わった後は、もう一度歯を磨き、着替えてすぐ家を出る。
玄関を開け、階段を下り、僕はあたりを見回す。
(いないか、)
僕はあの人を探してしまう。
そんな気持ちの中、家を出て、重たい荷物と共に自転車を漕ぎ、坂道を登る。
幸いなことに学校はあまり遠くなく、10分ほどで着く。
そんな僕は学校につき、靴箱に靴を入れて、履き替えたその時、
「よ、晴」
後ろから肩を組まれた。
(この感じ、この声、この手の大きさ。)
いやでもわかってしまう。
「おはよ、獅音」
僕は前を向きながら答えた。
「おー、よくわかったな」
「声と雰囲気でわかるよ」
「ふーん、」
「そういえばさ」
(人の話に興味がないな、)
そんなこいつの名前は猿川獅音。
中学であってから、見ての通り、ぼくの友達だ。
学校の成績はあまりいいとは言えない。
でもすごい悪いとも言えない。
中の下って感じだ。
でも、それは数字だけを見た話。
こいつの良さはそこじゃない。
こいつは誰とでも仲良く、誰でも公平に、て感じ。
しかも、前に出てクラスを仕切れたり、部活で期待されてるうちの一人。
成績だけで人を評価するというのは、勿体無い、と、こいつと過ごしていると思うほど。
「てか、聞いてるのか?」
少し怒るような口調で話す獅音。
「うん、聞いてるよ」
「ほんとか?」
僕と獅音が廊下で話している時だった。
「おい、猿川」
後ろから高めの声がする。
「あ?朝からなんだよ犬塚」
獅音を呼んだのは、同じクラスの犬塚舞だった。
犬塚舞は、獅音と同じバスケ部で、よく言い争いをしている。
まぁ、最初はどっちかがつっかかったり、つっかかれたり、
「お前、昨日の部活のモップ、使ったならちゃんと戻せよ」
「あ、いいじゃん、俺が使った後、女バスがどうせ使ったんでしょ?」
こんな言い争いも、うちのクラスでは名物になってしまっていた。
一部の人は夫婦喧嘩と言っていたり、猿川と犬塚で、犬猿の仲と言われていたり、
まぁ、どっちにせよ仲は良さそうで良くない。そんな感じだ。
「使ったら戻しておけよ、猿!川くん」
猿のとこを強調してどこかへ行った。
「なんだあいつ」
そういう獅音の顔は、少し嬉しそうであり楽しそうな顔とも見えた。
俺たちは教室に入り、それぞれ過ごした。
僕はスマホをいじったり、準備したり。
そして、人が多くなりチャイムがなった。
担任が来て、ホームルームが終わり授業がはじまる。
そんな日常もあっという間で、僕は一人で帰ることになった。
(獅音、部活大変そうだな、)
獅音が部活をやっているのは知っていた。
中学のころも、試合に負けた日、勝った日で、気分の上げ下げがすごかったのが印象だった。
そんな弱った獅音をフォローしていた苦い思い出も、少し美化されたのか、懐かしいと感じてしまっていた。
自転車は比較的降り坂で、行き道より、かえりが楽だった。
そして、僕は団地につき、自転車置き場に自転車を置き、去ろうとした。
その時だった。
「よ、晴!」
心臓がドキッとする。
何回呼ばれたらなれるのだろうか。
僕が後ろを向くと、先輩がいた?
大人っぽい僕と、子供っぽい クリトクらげ @kuragetoneko
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