私の手は大きい
天音紫子&霧原影哉
私の手は大きい(不定期日常【出張版】)
私の手は大きい
ピアノを弾くには向いている。
音はよく届くし、鍵盤も掴みやすい。
でも、乙女としてはどうだろう。
高校の頃、憧れている先輩がいた。
その人に言われた。
「手が大きいですね。もしかしたら、僕より大きいんじゃないですか?」
咄嗟に口から出たのは、
「ええ、平手打ちする時に便利なんです」
しかも、満面の笑顔付きで。
なお、平手打ちの効果については、実際に試したことがないため立証されていない。
あとから考えれば、
もう少し可愛げのある返しもあったのかもしれない。
でも、その程度で失われる可愛さなら、最初からいらない。
それから私は、
ピアノもキーボードも、
この手で弾き、打ち続けてきた。
手は、案外正直だ。
媚びるより先に、動いてしまう。
私の手は大きい。
今日もまた、余計なものを弾き落としている。
手は、覚えている。
鍵盤の感触も、キーの重さも、
言わなくてよかった言葉も、
言ってしまった言葉も。
だから今日も、この手は迷わない。
この手で、私はこれからも弾き、打ち、書いていく。
私の手は大きい 天音紫子&霧原影哉 @Yukariko_Kageya
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