天音紫子＆霧原影哉

庭の隅にある柘榴の木。焦らず、腐らず、熟すまで。<br>その実を見つめ続けた日々を綴る、秋の掌編です。

初めてのケーキ屋に行ったら、まずシュークリームを選ぶ。 それは味の好みというより、店を知るための小さな習慣だ。 シンプルなお菓子だからこそ、材料や技術の違いがはっきりと表れる。…

事件に巻き込まれたこともなく、異世界に転生したこともない。 それでもこの半年、私の周りには「知らなかったこと」が静かに増えていった。 通販で見かけた琉球ガラスのブレスレット。 …

音楽を聴きながら文章を書く。 それは彼女にとって、あまりにも当たり前の日常だった。 レコードからCD、そしてスマホへ。 形は変わっても、音楽はずっと文章のそばにある。 そんな…

零感の大学生・小夜。 視えない、聞こえない、気にしない――にもかかわらず、 なぜか怪異ばかりを引き寄せてしまう体質の持ち主。 そんな彼女を守るのは、皮肉屋でボヤきがちな守護霊・…

ヨーグルト作りを極め、「ヨーグルトマスター」と呼ばれた彼女は、とっくに引退した……はずだった。 しかし団地では代々“マスター”が受け継がれ、固まらない悩みはなぜか全部、彼女の元に…

朝のパンから夜中のラーメン、 季節限定のスイーツや、世界のお菓子の小さな冒険まで──。 食べ物が好きで、ついつい寄り道してしまう彼女の日常は、 香りと温度と味で満たされています…