第4話 世界征服の始まり

 Dr.ジンの宣戦布告と同時にデスクロス軍団のデスマシン部隊が世界各国に同時侵攻を開始した。まるで悪夢のように、ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワ、北京、東京――全ての大都市に巨大な影が落ちた。


 各国の軍隊は直ちに迎撃態勢を取った。戦車部隊が出動し、戦闘機が発進し、軍艦が砲撃を開始する。だが、それらは全て無駄だった。


 デスクロス軍団のデスマシンは、従来の兵器とは次元が違った。戦車の砲弾は装甲を貫けず、ミサイルはバリアで無力化され、軍艦の主砲すら効果がない。


 逆にデスマシンの反撃は凄まじかった。腕から放たれるビーム砲は戦車を一瞬で蒸発させた。体内で生産されたミサイルの一斉射撃は戦闘機編隊を瞬く間に殲滅。手に持つ巨大な剣や棍棒によって軍艦は全て叩き折られた。各国の軍隊は為す術もなく蹂躙されたのだ。


 最強と謳われたアメリカ軍も、誇り高いロシア軍も、精鋭揃いの中国軍も、全てが無力だった。人類の軍事力は、Dr.ジンの科学力の前に屈した。


 デスマシンたちは容赦なく都市を破壊し、抵抗する者を排除していった。政府庁舎が破壊され、軍事基地が占拠され、通信施設が制圧された。


 そして――Dr.ジンは見せしめのために、民間人の虐殺を命じた。


 抵抗した都市では無差別に人々が殺された。街頭、自宅、避難所。デスマシンとデスソルジャーの大軍が容赦なく人々の命を奪う。パリでは1000人以上が、モスクワでは2000人以上が、東京では3000人以上の市民が虐殺された。


 Dr.ジンは人類に抵抗の無意味さを骨の髄まで刻み込もうとしたのだ。彼の目的は征服であり――そのためには、暴力と恐怖で人々を完全に屈服させる必要があった。


 各国の政府は彼の傀儡と化し、主要都市にはDr.ジンが建造した科学戦艦「デスバトラー」が睨みを効かせている。人類は歯向かうことを忘れ、彼の前に跪き、新たな秩序の下で生きることを受け入れ始めていた。



「ふははは。これが現実だ」



 Dr.ジンは玉座に座ったまま笑った。


 現在、Dr.ジンは本拠地である太平洋上に浮かぶ人工島「グレート・ジン・アイランド」から世界を見渡している。巨大モニターには世界中の都市が映し出されていた。それら全てが彼の支配下にある。



「正義など、悪の前には無力だ。それを私が証明したのだ」



 7歳の時に抱いた疑問。その答えをDr.ジンはついに手に入れた。正義とは、勝者が名乗る称号に過ぎない。Dr.ジンは悪として勝者になろうとしていた。


 そう、あと少し。本当にあと少しで、彼の理想とする世界が完成する。半年かけて世界の8割はDr.ジンのものになっていた。残りの2割を制圧すれば、彼の野望は完全に達成される。


 だが――この時、彼はまだ知らなかった。世界が絶望に沈んだその時、希望の光が生まれようとしていることを。

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巨悪が再び立ち上がる時 まっくろえんぴつ @gengrou

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