これは、師である魔女セレスティアを殺され王都を追われた魔女エルカと彼女に拾われた少女ルナの日々が描かれる物語です。
エルカは魔法の師匠。
根気強く優しい師匠です。
ルナは魔力こそ強いものの失敗ばかりの弟子。
天真爛漫で、居るだけでその場を明るくする子どもでした。
やがて20年の月日がたち、忘れの森に隠れ住むエルカを狙い、師を殺した魔女ヴォルガが迫ります。
軍隊を率き連れてやって来ます。
危機に瀕してエルカはルナを森から逃がそうとします。
でも、ルナは逃げないのです。
エルカと共に強大な魔女ヴォルガに立ち向かうことを選ぶのです。
この時から、ルナは守られるだけの弟子ではなく、エルカと共に並んで危機に立ち向かう仲間ともなるのです。
そうです。本作はシスターフッドの物語でもあるのです。
エルカとルナはいつもは母娘や姉妹のような仲の良い師弟です。
しかし危機に瀕した時。互いを大切に思う二人して立ち上がるのです。
この連帯が素晴らしいのです。
ルナが一歩近づいてきて、エルカの手を握った。この場面。
何度も作中で描かれた手のモチーフ。
そして手を触れるシーン。
これまでは、手を差し伸べるエルカと手を引かれるルナとして読む者が見慣れた構図です。
それが入れ替わる。
この瞬間。
ここで読む者が見ていた物語の作りが変わります。
きっとここで、エルカの師であるセレスティア言葉が思い出されることでしょう。
〝我が弟子よ。私の教えを守り、いつかあなたも弟子をとるのですよ〟
彼女は、何故そう言ったのか。
ほんとうの意味がわかるのです。
守っていると思っていたルナの存在こそがエルカを孤独から救い、彼女の心の傷を癒やし、魔法を熟達させていた。
それが、わかるのです。
失敗だらけの弟子と、臆病な師匠。
二十年を経て咲くシスターフッド・ファンタジーが堂々と立ち上がる瞬間です。
アニメ化されたら主題歌が変奏されて背景に流れそうです。
息遣いと効果音が入ります(空想です)
最高です。
技能は世代を越え幾人もの後継者へと受け継がれるものです。
それは何故なのでしょうか。
もちろん技術の保持はあると思います。
でもそれだけではないのです。
異なる資質の複数の担い手による継承こそが技能を進化させるからです。
物語は敵対する魔女ヴォルガとの対峙でその事を示します。
閉じられ完成した技能の魔女と未完成な技能でも連帯し補えあえる魔女との差異をみせてくれます。
この時に語られるルナの言葉には、ぜひ注目してください。
胸熱です。
幾つもの優しい手と包帯が結んだ極上のシスターフッド・ファンタジー。それが本作です。
絶対、読んだほうが良いと思います。
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