第6話 世界の謎と陰謀


小さな町での敗北から数日後、カイル・ヴェルグレンと

ライナ・セリスは、険しい山道を進んでいた。

空は鉛色に曇り、冷たい風が二人の体温を奪う。


「この山を越えれば、王都に着くわ」

ライナの声はいつも通り落ち着いているが、

その瞳の奥には警戒が宿っていた。


カイルは剣を握りしめ、ゆっくりと頷く。

先日の敗北の痛みはまだ消えない。

だが、あの悔しさが、今の自分を支えていた。


「王都……」少年は呟く。

「ここで答えを見つけることになるかもしれない」

ライナは険しい表情で山の先を見据える。


山道の途中、二人は廃墟となった砦を発見した。

石の壁は崩れ落ち、苔と蔦に覆われている。

「ここに何か秘密があるのかも……」

ライナが慎重に扉を押す。


中に入ると、薄暗い空間に古びた書物や巻物が散乱していた。

空気は重く、古代の魔力の残滓が漂う。

「これは……魔導書?」

カイルの声に、ライナはうなずく。


巻物の一つを手に取り、ライナは慎重に内容を確認する。

文字は古代語で書かれており、解読には魔力が必要だ。

「……これは王国の陰謀に関する記録よ」

彼女の声は低く、緊張が走る。


カイルは息を飲む。陰謀……?

「どういうこと?」少年は問いかける。

「王国の支配層が、力ある者たちを利用して、

国を操ろうとしている……」


巻物には、魔導器や強力な魔獣を操るための

計画が詳細に記されていた。

「俺たち……狙われているってことか?」

カイルの胸に恐怖が走る。


「可能性は高いわ」ライナは静かに頷く。

「だから、力をつけることが必要なの」

少年は剣を握り直す。運命から目を背けるわけには

いかない。


そのとき、砦の奥から気配が迫る。

「……来たか」ライナが呟き、魔法の準備をする。

黒い影が壁を伝い、二人に向かって迫ってきた。


影の正体は、王国直属の暗殺者だった。

鋭い刃と暗闇の魔法を駆使する、熟練の戦士だ。

「カイル、気をつけて!」

ライナの声で、少年は剣を構える。


暗殺者は素早く攻撃してくる。

カイルは剣で応戦するが、何度も弾かれ、体勢を崩す。

「強い……!」

少年は心の中で叫ぶ。これまでの経験では

太刀打ちできない相手だ。


ライナは魔法で援護し、火球と氷の刃を放つ。

暗殺者はそれを避けながら反撃し、二人を追い詰める。

戦闘は熾烈を極め、息をつく暇もない。


「俺たちは……ここで倒れるわけにはいかない!」

カイルは全力で剣を振るい、隙を見つけて一撃を放つ。

暗殺者はかろうじてかわすが、背中に小さな傷を負う。


戦いは長引き、二人の体力は限界に近づく。

しかし、連携と判断力で徐々に優位に立ち始める。

ライナが魔法で敵の足元を制し、カイルが斬撃を重ねる。


最後の瞬間、暗殺者は一瞬の隙を見せた。

カイルは迷わず剣を振るう。刃が命中し、

敵は倒れ込む。息を荒くしながら、少年は立ち尽くす。


「……勝った」

ライナは静かに息を整え、少年に微笑む。

「小さな勝利だけど、大きな意味がある」

その言葉に、カイルは深く頷いた。


戦闘後、二人は巻物を再び確認する。

王国の陰謀、魔導器の存在、暗殺者の襲撃――

すべてが繋がっていることに気づく。


「俺たちは、この陰謀を止めないと……」

カイルは決意を固める。剣は光を帯び、

少年の心に力を与えた。


「そうね。これから先も危険が続く」

ライナは静かに頷き、魔法の光を剣に重ねる。

二人の旅は、ただの冒険ではなく、世界を揺るがす

戦いの始まりとなったのだ。


夜空には星が輝き、冷たい風が吹く。

カイルは遠くを見据え、心に誓う。

「必ず……真実を突き止めてみせる」


運命の歯車は回り続け、世界の謎は

二人をさらなる試練へと誘う。

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