第6話 傾国の暗殺者(アサシン・イン・ザ・クレバス)
その時、謁見の間は血の海……ではなく、奇妙な静寂に包まれていた。
護衛の近衛騎士たちは全員、床に伏している。
立っているのは、玉座の前にいる3人――女王エルザと、左右の支柱たち。
そして、その眼前に立つ、黒装束の女刺客。
「……ハッ。笑わせるわね。両手が塞がった状態で、どうやって私と戦うつもり?」
刺客「毒蛇のミラ」は、妖艶な笑みを浮かべながら二振りの短剣を舐めた。
対するゲイルとジュリアンは、戦闘態勢に入っていた。
ただし、その構えは異様だ。
エルザの腰を落とさせ、左右からガッチリと胸をホールドし、まるで騎馬戦の騎馬のようなトライアングル・フォーメーション。
「警告する。今すぐ立ち去れ。さもなくば、この国の重みを知ることになる」
ゲイルが低い声で唸る。
「フン、死になさい!」
ミラが地面を蹴った。速い。
目にも止まらぬ速さで、エルザの心臓――つまり左胸を狙って突き出される短剣。
「ジュリアン、来るぞ! 左舷、防御!」
「了解!
ジュリアンは左手を引くのではなく、あえて押し出した。
エルザの左乳房を、掌底で持ち上げ、刺客の刃の軌道上に肉の壁を作り出す。
「なっ……!?」
ミラが驚愕する。
短剣の先端が、エルザの胸に突き刺さる――はずだった。
だが、そこにあるのは高密度の魔力脂肪。
刃先が皮膚に触れた瞬間、肉がアメーバのように変形し、剣を包み込んでしまったのだ。
「吸着完了! 逃がさないよ!」
ジュリアンが指を複雑に動かし、肉の波を操る。
卑猥な粘着音と共に、左乳が生き物のように短剣を飲み込み、絡め取る。
「嘘……抜けない!? なにこの吸い付き!」
「甘いな。陛下の左胸は心臓に近い。鼓動による微振動が、常に真空ポンプのような吸引力を生み出しているんだ!」
ジュリアンは恍惚とした表情で解説しながら、さらに指を深く肉に沈める。
エルザが「ああっ……! 挟まるっ、硬いのが挟まってるわ!」と艶めかしい悲鳴を上げる。
「隙ありだッ!」
ミラはもう一本の短剣で、今度はガラ空きの右側、ゲイルの首を狙う。
「ゲイル! 右舷、迎撃!」
「おうよ!
ゲイルは防御しなかった。
彼は右手のひらに乗った32キロの右乳を、投げた。
正確には、手を離さずに、腕のスナップと腰の回転だけで、女王の身体ごとブン回したのだ。
巨大な質量が、遠心力で楕円形に引き伸ばされる。
それは、肉の大槌だった。
「ぐはぁっ!?」
凄まじい平手打ちのような音が響き、ミラが吹き飛ばされた。
顔面を、神聖なる巨乳に殴打されたのだ。
「な、なんて重さ……! 鉄球でも入ってるの!?」
「失礼な。これは純粋な夢と希望──と高純度マナの結晶だ」
ゲイルは鼻を鳴らし、暴れる右乳を素早く定位置――掌の上へ戻す。
衝撃の余韻で、エルザの胸は信じられないほど激しく波打っている。
ゲイルの手のひらは、その荒れ狂う肉の津波に翻弄され、指の間から溢れ出る柔らかな感触に溺れそうになっていた。
「くっ……、まだよ!」
ミラが起き上がる。だが、エルザの様子がおかしい。
「はぁ……っ、はぁ……っ。二人とも、激しい……っ。中が、熱いの……」
戦闘の興奮と恐怖で、エルザの魔力が暴走を始めていた。
心拍音が、部屋中に響くほど大きくなる。
ドレスの胸元が、内圧で悲鳴を上げる。
「マズい、ゲイル! 臨界点だ! 魔力が膨張して、サイズが1.5倍になってる!」
「支えきれん! 表面温度も50度近い! 火傷するぞ!」
二人の手が、湯気を立てるほどの熱を持った肉塊に焼かれる。
汗が滝のように流れ出し、胸の谷間から愛液のような魔力水が滴り落ちる。
部屋中に、濃厚すぎる甘いミルクと麝香の香りが充満する。
「このままでは爆発する……! やるしかない、ジュリアン!」
「ああ……イチかバチかの、あれか!」
二人は目配せをし、同時に叫んだ。
「陛下! 我々に身を任せてください!
ゲイルとジュリアンは、エルザを挟んだまま、独楽のように高速回転を始めた。
遠心力が極限まで達する。
エルザの双丘が、重力から解き放たれ、真横に一直線に伸びる。
二人の男は、伸びきった乳房の先端にしがみつくような形で、必死に回転を維持する。
「きゃあああああああッ!! 引っ張られるぅぅぅぅ!!」
エルザの絶叫。
しかし、その回転によって発生した魔力の竜巻が、周囲の空気を切り裂く。
「な、何なのコイツら──ッ!?」
ミラは、その超現実的な光景――回転する女王と、その胸にぶら下がって回転する二人の男――に圧倒され、動けなかった。
そこへ、回転の遠心力で極限まで加速した「おっぱいラリアット」が迫る。
「これで……終わりだァァァッ!!」
二人の掌に支えられた双丘が、ミラの身体を挟み撃ちにする形で直撃した。
サンドイッチ・インパクト。
骨が砕ける音ではなく、ムチュッという、とてつもなく巨大な何かに包み込まれる音がした。
「あ……幸せ……」
ミラは、視界いっぱいの肌色と、天国のような柔らかさに包まれ、恍惚の表情で意識を手放した。
壁まで吹き飛ばされ、沈黙。
数分後。回転を止めた三人は、床に折り重なるように倒れ込んでいた。
「はぁ……、はぁ……。死ぬかと思った……」
「右腕の……感覚がない……」
ゲイルは仰向けになり、天井を見上げた。
その顔の真上には、まだ荒い息をついているエルザの顔と――そして、重力の法則に従って垂れ下がってきた、巨大な果実があった。
「あ……ごめんなさい、ゲイル。まだ、身体が動かなくて……」
エルザの全体重が乗った右乳が、ゲイルの顔面を直撃し、完全に蓋をした。
視界が肌色に染まる。
鼻と口が、熱く湿った肉の深淵に塞がれる。
「むぐ……ッ!? (苦しい……! だが……なんだこの安心感は……)」
窒息寸前。しかし、そこに広がるのは、戦闘後の高揚した汗の匂いと、圧倒的な母性の包容力。
ゲイルの唇に、柔らかな頂が触れている。
隣では、ジュリアンが左乳を枕にして、死んだように眠っていた。左手はまだ、無意識に支える形を維持したままで。
「ありがとう……私の騎士たち」
エルザは、顔を埋めるゲイルの頭を優しく抱きしめた。
その重みで、さらにゲイルの顔が肉にめり込む。
(……悪くない死に方だ)
薄れゆく意識の中で、ゲイルはそう思った。
国を守った英雄の顔には、くっきりと円形の跡が残っていた。
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