Zamta_Dall_yegna

 雪は涙を流さない。空は水を降らすけど。


 僕が掃除をしていたら、子猫が一匹飛び降りた。黒い固い塀の上。絡まる木の葉を端にやり、僕はそいつに手を伸ばす。1つ2つまばたきし、そいつはそそくさと去っていく。後を追う気にもなれず、掃き掃除に戻ったら、どこからか車の風を切る音が聞こえてきた。


 ―あの猫は無事だろうか―


 ちょっとした好奇心が僕を動かし、猫の方へと駆けていく。白い息に白い雪。ハラハラと散る花が良く映える。


 猫のもとへ着く頃には、息を荒くして膝に手をつ

いていた。灰色のアスファルトに透明な膜が張られている。ツルツルと滑るそれは、とても美しい。ふと、ボタリと花が落ちた。綺麗な赤い椿の花だ。白い雪に透明な氷、見た目は綺麗なそれはなぜか心を掻きむしった。


 猫は、猫は白い雪のなかで眠っていた。ふてくされたような姿勢で横になっている。だらしなく、手足を投げ出していたのだ。僕はそいつへ近づいて、雪のない草むらに置いた。まったく、はた迷惑なやつである。


 僕は猫が嫌いだ。自分勝手だし、触ろうとするとすぐ逃げる。自分の方が立場が上ですと言わんばかりの顔も、腹が立つ。そんな面倒な奴が道端で居るだけで不快なのに。


 どうして雪は溶けているのだろう

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