濁世の業 −other side of Walker's Dream
歩上花太郎
第1話
僕は罪を犯しました。
不幸な人を貶めました。
だから勝ち続けなければなりません。
1章:誇り
僕の誇りは走ることです。
うちは貧しいので、いつも友達にコンプレックスを感じていました。
友達みたいに流行りのキャラクターが描かれた服を買ってもらえたことはありませんし、新しいおもちゃも買ってもらえませんでした。
友達のおもちゃは僕の憧れでした。
飽きるのを待って、頼み込んでちょっとだけ触らせてもらっていました。
素敵なおもちゃは友達もなかなか飽きないので、羨望するだけでした。
犬や野生動物に食事の順番があるように、明確な序列がありました。
僕は卑屈に育ちました。
父はそんな僕のことが気にくわなかったみたいです。
母は僕が小さい頃にいなくなりました。
僕には人に自慢できるものが何もありませんでした。
小学校でマラソン大会があって、僕は優勝しました。
友達の自転車に僕は走ってついてましたから、走るのは得意になっていました。
僕にとってそれは恥ずかしいことでしたが、賞状を見て父は喜びました。
「裕美のやつ、足早かったのかな」。
父は不思議そうに一言漏らしました。
裕美は母の名前です。
次の春の運動会、それまで一度も来たことのない父が見に来ました。
僕は徒競走で一番になりました。
リレーでも、何人も追い抜きました。
足の速いことが僕は恥ずかしかったのですが、父も、友達も、みんなが喜んで僕を誉めてくれました。
勝った僕を讃えてくれました。
次の日曜日、父が靴屋さんに連れて行ってくれました。
「好きなやつを選べ」と父は言いました。
いつもは父が選んだものを与えられていましたから、とても嬉しかったのを覚えています。
人気キャラクターの靴もありましたが、僕は機能性の高い運動靴を選びました。
そのピカピカの靴は僕の宝物になりました。
僕は段々と自信を持つことができるようになりました。
そうしたら女子からモテるようになって、かつて僕が機嫌を伺っていた友達が僕の機嫌を伺うようになっていました。
誰かの評価が良くなると、他の人の評価も釣られて上がるのだと知りました。
次の更新予定
濁世の業 −other side of Walker's Dream 歩上花太郎 @HanataroHonoue
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