第2話

雨の音がうるさい。


うるさすぎて、頭の中のすべての音が静まってしまった。


私は町の外れにある石橋の上に立ち、傘をさして、自分の手を見下ろした。


指先がまだ微かに痺れている。


それは魔力逆流の後遺症だ。


17本の線。


私は指を折りながら数えてみた。


【持続治癒】、【状態異常無効化】、【装備耐久回復】、【睡眠品質向上】、【食物浄化】……


それから【虫除け結界】、【体力徐々回復】、【精神安定】、【傷口感染抑制】……


パーティーに加わった初日から、私はこれらを紡いでいた。


一本一本、蜘蛛が糸を吐くように、自分と彼らを絡め合わせて。


そうすれば彼らは私を必要としてくれると思っていた。


馬鹿みたい。


私は嗤った。


笑い声は雨音に飲み込まれた。


そして私は拳を握りしめ、魔法を切断した時の光景がまた脳裏に浮かんだ。


パチン。


その瞬間、17本の魔力の糸が同時に切れた。


逆流する魔力は引き潮のように、ざあっと一気に私の体に押し寄せた。


胸が苦しくて痛い。


指先が震えるほど痺れた。


でも——


すごく楽だ。


本当に楽になった。


三年も背負っていた重荷が突然降りたように、体が浮きそうになる。


私は深く息を吸った。


空気は雨の匂いでいっぱいだった。


ひんやりとして、少し土の生臭さが混じっている。


本当にいい匂いだ。


私は傘を立て直し、歩き続けた。


石畳は濡れていて、水たまりには路傍の旅館の灯りが映っていた。


それらの灯りを見ながら、ふとあることを思い出した。


アベルの鎧。


あの「英雄の証明」と呼ばれる鎧は、王都の鍛冶師の自信作だった。


だが実はとっくに廃棄処分されるべきものだった。


左肩の装甲は半年前に魔獣に噛み裂かれ、胸の紋章は魔法で焼け焦げ、腰のバックルは二度も折れていた。


私は毎晩こっそり【装備耐久回復】を使って修復していた。


少しずつ、刺繍のように、魔力を金属の裂け目に注ぎ込んで。


今は?


今あの裂け目はまた戻ってきている。


私は足を止め、振り返って見た。


旅館の灯りはまだついていた。


曇った窓越しに、暖炉の炎が揺れているのが見える。


アベルはまだあそこに立っているだろう。


リリナと並んで。


彼が突然肩が重くなったと感じる様子を想像した。


彼は自分の鎧を見下ろすだろう。


そして眉をひそめる。


「おかしい、濡れたのか?」


彼はそう思う。


そして彼は鎧を脱ぎ、暖炉のそばに掛けて乾かす。


明日の朝目覚めると、左肩のひびがまた少し広がっていることに気づくだろう。


あと数日すれば、胸の紋章は完全に剥がれ落ちる。


あと一週間もすれば、腰のバックルは戦闘中に突然壊れる。


彼は地面に倒れる。


惨めに泥の中に倒れる。


リリナは叫びながら駆け寄る。


「アベル!どうしたの?」


彼は起き上がり、使い物にならなくなった鎧を見下ろし、当惑した顔をする。


「……なぜこんなことに?」


彼にはわからない。


なぜなら彼は知らないからだ、この鎧が今まで持ったのは、その質が良いからではない。


誰かが毎晩縫い直してくれていたからだ。


古い服を繕うように。


一針一針。


ゆっくりと、丁寧に、優しく。


私はまた笑った。


今度は涙が出そうになるほど笑った。


でも大丈夫。


今は雨が降っているから。


誰にもわからない。


私は振り返り、歩き続けた。


雨が傘の表面に打ち付け、密集した打撃音を立てる。


私はとてもゆっくり歩いていた。


なぜなら、突然気づいたのだ。どこに行けばいいのかわからないということに。


チームはアベルが結成したものだ。


任務は彼が引き受けた。


ルートは彼が計画した。


私はただついていればよかった。


今は?


今、私は自由だ。


私は橋の中央で立ち止まり、顔を上げた。


雨が顔に落ち、ひんやりとする。


少し痒い。


「……ご迷惑をおかけしました。」


私は小声で言った。


誰に向かって言っているのだろう?


多分、自分自身に向かって言っているのだろう。


そして私は深く息を吸い、歩き出した。


橋の向こう側は、真っ暗な荒野が広がっていた。


明かりはない。


人気もない。


ただ果てしない闇と雨音だけが存在する。


だが、私は怖くない。


なぜなら、ようやく自分が望む生活を送れるからだ。


背後では、旅館の明かりが徐々に遠ざかっていった。


前方は、未知の旅だ。


傘を差し、暗闇に足を踏み入れた。


雨音が大きい。


しかし、私の足音はさらに鮮明だ。


一歩。


二歩。


三歩。


一歩一歩、しっかりと踏みしめる。


まるで、ようやく自分のリズムを見つけたかのように。

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追放されたら辺境でお菓子屋さんはじめました…なのに元同僚の勇者が店先で土下座して謝ってくるのはなぜ? @xiangzi

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