第4話 脱出
「相馬、脱出と言ってもどうするんだ?」
「みんな、俺とタケルは海を泳いでいてここに迷い込んだ」
「すまない、私は覚えてない」
「拙者もだ、」
「わらわも、、」
「単刀直入に言います、あの海を・・・」
月が海を照らし、一同が海を眺める。
「海を渡れば脱出出来ると思う、だって森の方は縄文人がいるからね。」
「イカダを作るのか?」
「そう、今日は一旦寝て早朝から作業に取り掛かろう」
「拙者はこの刀で手伝うぞ」
「わらわも手伝うぞ」
平安貴族は、どこから出したのか分からない
扇子を持ち口元を覆い笑った。
清にもう一度火を起こしてもらい、俺達は寝ることにした。
後ろからガザガザと物音がし、もしかするとまた
別の時代の人が迷い込んだのかと思い、起き上がり振り向く。
太陽はまだ出ておらず、夜明けの時間帯である、
俺は目を凝らし物陰の方を除く、その正体は
タケルであり手には木の枝や葉っぱなど使えそうなものを大事そうに抱える。
「相馬、起きたのか」
「タケル、なんでみんなで起きてからでいいじゃないか」
「いや僕は手も不器用だし、イカダなんて作ったことがない大野さんみたいに刀も操れないし」
「それは俺だって一緒だよ、イカダを作ったことがある人なんている方が珍しいよ俺も手伝うから」
タケルの意外な一面を知り、なんだか感心し
まだ寝ているみんなを起こし作業を始めた。
作業は順調なものだった。
俺とタケルは材料を集め、大野は木を丁度良いサイズに切る、清はオールを作ったり骨組みを作る
平安貴族は手の器用さを活かし、紐を作ったり細かい作業をしてくれたため
まだ日が出て間もない頃には無事完成をした。
イカダはお世辞にも安定性があるものとは言えなかった。
清はこれが限界やと嘆くタケルは思い出したかのように森の方へ向かう。
茂みの方から亀の浮き輪を持ってきた。
「実はこれ、みんなのこと最初は信用できなくてこの浮き輪誰かに取られちゃうと思って隠してた、」
タケルが笑いながら申し訳なさそうに上目遣いで見つめる。
「タケル殿、可愛いものを持ってますな〜」
タケルは清に亀の浮き輪を渡し、イカダにくぐりつけた。
俺達一向はイカダに乗り入れ、最初は清と大野がオールを持つ、俺は浮き輪を吊るした紐を懸命に支える、俺達はゴールが分からない脱出の旅に出ることになった。
巧みなオール捌きがイカダの安定性を見せた、
だが何と言っても良かったのがタケルの
可愛い亀の浮き輪これが見事な浮遊力を出していた。
疲れた清と大野に、俺とタケルがバトンタッチをしオールを持った。
初めての事で想像以上に難航した。
その後悲劇の連鎖のように事件が起きた、
平安貴族が体勢を崩してしまった。
平安貴族の体型は痩せ型なのではあるが
重さにイカダが耐えきれなかった、着ていた着物が重すぎたのだ。
イカダが転倒をしてしまった、一同が懸命に泳ぎ
亀の浮き輪にしがみつこうとするが
疲れのあまり浮き輪にしがみつく力もなくなり、視界が暗闇に落ちていった。
目を開けた時、そこは陸地であった。
慌てて周りを見るとみんなもその場におり
俺は安心しその場でみんなの肩を叩き起こした。
「あれ、生きてるのか」
タケルが嬉しそうに言う。
「いや、お前達あれを見ろ」
指を差した先を見ると
そこはどこかで見たことがある。
それは、平安時代の貴族が住む、寝殿造りが現れた。
庭には蹴鞠を蹴る人達、詩を書き披露し合う人達が映し出された。
「懐かしい、ここは戻ったのであるか」
あまりの状況に理解はできないが、平安貴族はどうやら嬉しそうだった。
それも束の間映像のように景色が変わった。
次に燃え盛る大きな城が映し出された。
タケルが大阪城と呟いた。
「あぁ、、、秀頼様、、、」
「大野さんって豊臣家の武将なんだね」
大野の声も虚しく、城は燃えていった。
次に映し出されたのは一気に時代が飛んで
教科書で何度も見た戦後の街の焼け野原だった。
辺り一面が荒野のように無になり絶望がひしひしと伝わってきた、
清が何かを思い出したかのようにうずくまり
静かに泣いている。俺とタケルがなだめる
その間にも次の時代が映し出される
それは俺が生きる現代だった。
東京の高層ビルが街並み
よく見る景色だ。
うずくまっていた清はもう起き上がっており
「なんて事だ、東京タワーよりも大きな建物があるなんて」
清は東京スカイツリーに大きく驚く
俺はみんなの反応が気になる
タケルはふーんっと言った表情であったが
大野と平安貴族は見たことが無い
想像もできない景色に驚き
口をぽかんと開けたまま無言のままだ。
次にタケルが生きる22世紀のような景色が映し出される、だがそれはSFでよく見る近未来の景色とは違っており、案外現代と似ているものだった。
だがここでどうなるんだ、これよりも未来に行くのかそれともこの時代で映像のように映し出されるのは終わるのか、、、
全員が息を止め、その瞬間を待つかのように
映像が変わり次の時代が映し出された
俺は微かに空まで続き抜けるほどの高層ビルがたくさん並ぶ景色を期待した。
だがそれは大きく期待を裏切るものだった。
全員が無言になり、静寂が訪れた。
映し出されたのは
焼け野原の景色だった。それは戦後の焼け野原とは違い建物は残ってはいるが
ゾンビタウンのようにひどく荒廃し
景色はもっと暗かった。
それは脱出をするという考えを阻害するほどだった。
平安貴族が一人悲しくこう呟いた。
「いずれ来る
平和の景色
いずこやら。」
縄文パラレル 遊び人 @asobibinin
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