第16話
宴が終わり、俺とフラウは比較的壊れていない建物を用意してもらって休むことにした。
「フラウ、勝手にやるって言っちゃってごめん」
部屋に入ってすぐ、俺はフラウに頭を下げた。
「勝手にって、何が?」
「魔物退治」
ああ、そのこと、と言いながら、フラウは荷物を床に下ろして伸びをした。
「この村の惨状を見て、引き受けないなんてあり得ないよ」
フラウの言葉にホッとして、俺も荷物を床に置いた。
「でもフラウも、自分の村のことが心配だろ。一刻も早くクルエド王国の騎兵隊を派兵してもらいに行きたいだろ」
それはそうだけど、とフラウは苦悩の顔になった。苦悩する顔をうぬぬと唸りながら横にひねって、言葉を絞り出した。
「それでも、困っている、人は、助け、たい」
さすがフラウ。フラウの面倒見の良さ、懐の深さ、大きな優しさに俺は嬉しくなった。
「何笑ってるの」
「べ、別に」
エノ村が大変な時に、何浮かれてんだ、俺は。顔をゴシゴシして気持ちを切り替えた。
俺たちに用意された家は魔物の攻撃が外れて倒壊を免れた家だった。それでも、壁にはヒビが入っていて、そこから、魔物の攻撃によってできた猛吹雪の冷たい風が入ってきて室内は真冬のように寒かった。エノ村の人に用意してもらった暖炉の薪に火をつけ、俺とフラウは並んで暖をとった。
「まずフラウに聞きたいんだ」
「何?」
「魔王とか四季成獣とか魔物とかについて、詳しく」
そうね、とフラウは人差し指を顎に当てて考え始めた。
「えーと、どこから説明した方がいいのか……」
そう言いながらフラウがこっちをチラ見した。
「タダシってこの世界のこと本当に何も知らないのよね」
「うん。昨日異世界転生したばかりだから。生まれたての赤ん坊だと思って」
そんなにデカい赤ん坊がいるか、とフラウは世紀末戦士な声で呟いた。
「じゃあ、まず、魔王が人間界を支配しようとしているのは知ってる?」
「え!? えらいこっちゃ!?」
「オッケー。そこから説明するね」
フラウが簡単に説明してくれた内容は、十数年前に魔王が魔物を引きつけれてこの大陸に現れた、魔王はこの世を支配すると宣言した、様々な魔物が野に放たれてみんな困った、クルエド王国は騎兵隊を派兵して混乱を収めようとしている、というものだった。
「ここまではオッケー?」
「オッケー」
「で、魔物には強い奴や弱い奴がいて」
「昨日見たボランゴとか?」
「あれは弱い奴」
「あれで?」
「そう。で、その魔物の中でとてつもなく強いのが四季成獣と呼ばれる四匹の魔物なの」
「ああ、魔王の直属の部下ってヤツら」
「四季成獣っていうのは、それぞれの攻撃方法を季節に例えて名前をつけられた魔物なのね」
「ふむふむ」
フラウは窓の外を指差した。窓の外には吹雪舞う雪山が見えた。
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異世界へ転生しても、俺はかわらずサックス三昧! 濵口屋英明 @hamaguchiya
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