第14話
「ここまで大きな村を破壊できるとすれば、四季成獣しかいないと思う」
「四季成獣?」
逐一尋ねる俺にフラウは、ああ、こいつは異世界から来てなんにも知らない奴だった、というダルそうな視線を向けてきた。
「えっと、四季成獣は魔王直属の四匹の部下のことで」
「ま、魔王!?」
俺がとびきり素っ頓狂な声を出したのでフラウは体をビクッとさせた。
「びっくりさせないでよ。タダシのもと居た世界にも魔王ぐらいいたでしょ?」
「いないよ。ゲームの世界にしかいなかったよ」
「ゲーム?」
「え? ゲームを知らないの?」
今度はフラウが尋ねるターンになった。育ってきた世界が違うとこんなにも話がスムーズに進まないものか。これで言葉まで通じなかったらどうなっていただろう。俺はゾッとした。
「あのー」
声のした方を振り向くと、村人のひとりが俺たちに話しかけていた。
「あのー、ワシらを助けてくださったのはあなた方ですかいの?」
杖をついて白髭を蓄えた小さいおじいさんが俺たちに話しかけていた。
「呪いを解いたのは彼です」
フラウは俺の方を指し示し間ながら答えた。
「おお、これはこれは。若いながらも名のある魔法使いとお見受けしました」
「いやいや、俺はなんの取り柄もない高校生で……」
と謙遜も言い終わらぬうちに、白髭おじいさんはじめ、村人たちが一斉に土下座を始めた。
「え? これは一体……」
「大魔法使い様! どうか村を襲った四季成獣をお倒しください!」
土下座されたのは誰なのか、なぜ土下座をされたのか、まるで理解できなかった。この世界の土下座ジョークなのかと思い、ヘラヘラしてフラウの方を見ると、フラウは青ざめていた。青ざめたフラウが俺と目を合わせて、フルフルと弱々しく首を横に振った。あ、これは冗談じゃないやつだ。そこに至って、やっと驚くことができた。
「えーっ!」
「ワシはエノ村の村長、キダケと申します。我がエノ村は死の森の近くにあるがゆえに、魔物に襲われることもそれなりにございました。その都度、クルエド王国より騎士団の派兵が行われておったのですが、此度の四季成獣襲来に関しましては一ヶ月が過ぎても派兵が行われず、被害の規模は増すばかり。我々はほとほと困り果てておりました」
白髭じいさんことエノ村の村長キダケさんは土下座したまま一気に話した。
「いや、あの」
「そこへ救いの神様、若き大魔法使い様が来村され、我らを救ってくださった。これは神様の思し召しの他ならないとワシは確信した次第です」
「いや、だから」
「残された村民はいつ終わるやもわからぬ地獄の日々に疲弊しております」
残された村民という言葉を聞いて、俺はあらためて土下座する人々を見回した。ここに残されなかった村民はどうしたんだろ。魔物にやられて死んでしまったのか。今この場にいる村民たち。屈強な男たちもその傷つき具合からかなりの苦難を乗り越えてきたと推測された。女性や子供たちに至ってはその苦しみはどれほどのものか。平和な日本の高校生として過ごしてきた俺には想像もできなかった。
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