6. 一番星の侵食――ナツミ先輩の「見えない誰か」への献身
「……部長? ナツミ先輩が、部長じゃないんですか?」
思わず聞き返すと、先輩は少しだけ困ったように眉を下げた。
「私は副部長。部長は三年の佐竹竜也(さたけ・たつや)先輩よ。もうすぐ来ると思うわ」
“部長”――佐竹竜也。
聞いたこともないその名前が、私の理想の星座を侵食するように居座った。
私の知らない、ナツミ先輩の「上」にいる誰か。
先輩にこれほどの苦労をさせ、自分は重役出勤、得体の知れない存在。
その小さなざわつきを無理やり飲み込もうとした、その時だった。
開け放たれたままの扉の向こう、廊下の静寂が不自然に途切れた。
規則正しい、けれど重力さえ感じさせないほど軽やかな足音。
逆光に縁取られた入り口に、一人の少女が立っていた。
私とは正反対の、
春の風が彼女の背後から吹き込み、部室の空気を一気に塗り替えていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます