4. 入部届に落ちた影――指先が触れた、依存の始まり

「ナツミ先輩、覚えててくれたんですか……!」

 私の喉からこぼれたのは、自分でも驚くほど湿った、祈りに似た声だった。


「忘れるわけないでしょう? 中学のとき、あんなに賑やかだった二人を。――また会えて嬉しいわ、アカリちゃん、イサムくん」


 先輩はいたずらっぽく目を細める。

 しなやかな指先で、私たちの汗でしわくちゃになった入部届を一枚ずつ、宝物でも扱うかのように丁寧に受け取った。


 その指先が私の手に触れた瞬間、猛烈なダッシュで焼き付くようだった肺の痛みも、この高校に来るために削った睡眠時間も、すべてが報われた気がした。


 だが、先輩が二枚の紙を机に置いた瞬間、その端正な眉がわずかに、影を落とすように下がった。


「……よかった。本当によかった。これで、この場所を守れる」

「守れる……? 何をですか?」

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