第7話 いざ、狩りへ!
武器屋の裏庭。私に合うクロスボウを選ぶため、軽めのものをいくつか撃たせてくれた。
「こっちは威力があるが、軸がブレるな。矢の
『バシュッ!』
ど真ん中に刺さった矢を見て驚く。私には全部同じクロスボウに見えるのだが、こんなに違うんだな……。
「おお! ど真ん中かよ! ガッハッハ! こいつはお前さんのために作られたんだろうな! 矢はこれを使えよ。矢筒は腰に下げるタイプで……軽めが良いよな?」
渡された矢筒は軽く、ベルトは柔らかい素材だった。これは……高級品だったりしないと良いなあ。ちゃんと後日、お支払いしなければ。
「ふむ、重くはないけれど……すぐに手に取れる短剣とは違って、クロスボウはとっさに構えるのが難しい気がしますね……」
腰に矢筒を装着しながらボソッと呟いた言葉を親父さんが拾って答えてくれる。
「ああ、利き手側に来るように、肩から斜めがけで持ち歩く奴が多いな! 森の中じゃあ、肌身離さずにずっと持ってるだろうが、森まではそれなりに歩くからなあ!」
「なるほど。ありがとうございます」
「疑問に思ったら聞いてくれ! 分かることは答えてやるからな! お前さんは自分の武器を手に入れた時から、立派な狩人なんだぞ! 頑張れよ!」
「はい!」
そうだ。私は自分の武器を手に入れたんだ。私は狩人……。覚悟を決めて、しっかりと前を向いた。早速、魔物を狩りに行こう。
「それでは、狩りに行って来ます」
「ああ、気をつけてな!」
親父さんに手を振られ、少し嬉しく思いながら武器屋の扉を出る。そこにはジルが待っていた。
「武器は選べたかい? これから森へ行くのだろう? 今日は私も一緒に行くよ。シュンが、何が分からないのかが分からないから、間違ったことをしていたら、一つずつ教えるね」
「あ……そうですね。ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いします」
私はしっかり頭を下げた。顔を上げると、ジルは苦笑いしながら森に向かって歩き出したのだった。
★★★
『バシュッ!』
一撃で仕留めた一角うさぎを見下ろし、昨日までの苦労は何だったんだと遠い目をした。これなら、千匹も不可能ではなさそうだ。そういえば、一角うさぎのスキルを確認していなかった。
『毒:なし。ただし、角で突かれると痺れることがある。素材:角、毛皮。急所:心臓。残り九十九匹斃すと、自然回復力が2に上がる。現在のスキル:自然回復魔法が使える。自然回復力1。食用だが、もも肉以外は美味しくない【詳しくはこちら】』
私はためらわずに【詳しくはこちら】をタップした。
『自然回復魔法:数値は、現在の体力を一千として、1上がると、体力全体の千分の一が一時間に1回復することをいう。捌き方:角を抑え――。調理方法:内臓を取り出し、綺麗な水で洗い流してから――』
何だって……? たしかにまだ、一角うさぎは二羽しか狩っていないけれど、次のスキルでも自然回復力が2に上がるだけ……? これは……真面目に千匹狩らなければ、強くならないのでは……?
「シュン? ど、どうしたんだい? そんな絶望的な顔をして……。ちゃんと仕留められたじゃないか。もしかして、魔物の命を奪うのが怖いのかい?」
「あ、いえ……。武器一つで、こんなに違うんだなと、感慨に耽っておりました」
「か、感慨……ねえ。まあ、たしかに武器選びは大事だよね。好きだから剣が振れるわけでもない。選んだ武器は、鍛錬してやっと使いこなせるようになるんだよ」
「なるほど。まあ、私としては、無事に狩りができそうで良かったです」
少し先に一角うさぎが見えた。私はクロスボウを構える。木陰に隠れて、一角うさぎの心臓を狙う。顔がこちらを向いた時……喉側から矢を射ると、毛皮の価値が下がらないと聞いたのだ。せっかく生き物の命を頂戴するのであれば、完璧な形で斃したいからね。
「その調子なら大丈夫そうだね。明日からは一人で平気かい?」
「あ、はい。一人で大丈夫です」
「そうか。じゃあ、今日は後ろで見ているだけにするから、気が済むまで狩っておいで。ただ、インベントリには、一つの枠に百匹、同じ魔物を収めることができるからね。今はまだ大丈夫だとは思うけれど、数を把握しながら狩るんだよ」
「はい! ありがとうございます」
深々と頭を下げる私に、苦笑いしながら手を振るジル。魔物も百匹までしか入らないんだね。インベントリは物の大きさや重量で管理されているわけではないらしい。食堂を出る時にエリスさんが弁当を持たせてくれたが、インベントリ一つを占領してしまうけれど邪魔にならないかと心配してくれていたんだ。
こうやって、この世界の常識などを教えてもらえて有り難い。お世話になった人々に、少しでも恩返しできるように頑張ろうと張り切る私なのであった。
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