よにんめ
最初に連想してしまったのは、大型犬だ。それも女子に取り囲まれて困り顔の。
そして女の子達より頭一つ高い顔が、俺を認めて綻ぶ。もう天の助けとばかり、こちらへと向かってくるのだけれど――
冗談ごとではなかった!
ボルゾイのような大型犬が、好意からでもじゃれ付いてくるのを想像してみて欲しい! 俺にとっては相撲やレスリングの試合開始と同義だ!
まだ遠巻きに俺達を窺う女の子達は無視し、話を始めてしまう。
……親切にしたところで、お邪魔虫はウザがられるだけだ。いつも、そう。俺は幼馴染に用があるだけなのに!
「お前が
「私は『司祭』とかいう
「うん? たしか『司祭』って、白魔法も黒魔法も――全ての魔法を使えて、最初から『鑑定』のスキルも使えるスーパーレア職じゃなかったか!?」
なぜか詳しい陽平が驚きの声をあげる。……実は
「そうらしいのですが、凄い大器晩成でもあるのだそうです」
「ああ、なるほどね。欲しいのは短期育成可能な即戦力であって、強くなる頃には手遅れの人材じゃない。そんなところでしょ?」
意外にも翼は、呑み込みが早かった。……同じハズレレア職だからだったり?
「まあ俺達には渡りに船だ! 悟! ダンジョンでアイテム掘りするぞ! 選抜されちゃった奴らへの補給物資にする! 一緒にやらないか?」
「はい、いいですよ」
いつものように悟は快諾してくれたのだけれど、なぜか翼と陽平は変な顔をしていた。
「か、軽すぎないか!? い、いやッ!? それとも俺が重いだけかッ!?」
「まあ断らないだろうな、とは思ってた。長谷川がそれでいいなら、ボクが口を挟む問題でもないしね」
なんだか失礼じゃないか!? 悟は、気のいい奴なだけなのに!
「翼のことは知ってるよな? で、こっちは吉田 陽平。パーティで前衛張って貰ってる。
――陽平! こいつは長谷川 悟。俺の幼馴染で『司祭』?らしい。
って! 我がパーティは、念願の回復役を獲得したんじゃないか!?」
「はぁ……普通は殺してでも確保するものだと思うよ、回復役を」
悟と陽平の握手を眺めながら、翼は肩をすくめる。
そして俺へと振り返った陽平から、意外にもダメを出された。
「でもバランスは、まだ悪い。前衛だ! 前衛が、もう一枚――少なくとも後衛より多く欲しい!」
なるほど。それはそうだったから、五人目は前衛を一本釣りがマストか。
「となると次は、誰が前衛職なのか情報集めしてからだな。その方が効率良い」
「あと、お金! 人数分の『緊急帰還の羽根』も確保しなきゃ! これは絶対だよ! ……ボクは、安全マージンなしで挑むの反対だからね?」
これも妥当すぎる意見で、反論のしようがない。
だが、この世界でバイトか何かを? そして人数分買うのに、何日かかんだ?
「もしかして直人は――私達パーティは、資金難なのですか? でしたら簡単な解決案がありますよ?」
「ほ、本当か、悟!?」
「はい。つい先日、同じ相談を受けたので。実績ありますし、『緊急帰還の羽根』?ですか? それが普通の値段なら、楽に賄えるでしょう」
なんでもないことのように悟は教えてくれたけれど、やっぱり頼りになるなぁ。
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