第一話 七番目の天器使い

 あれから七年の月日が流れた。


 今、ナナイロ・アスカには、羨望、願望、憧れの視線が集中している。


「皆さん、これは、素晴らしいことです」


 巻き起こる規則的な拍手。アスカは、いい気分ではなかった。


「アスカさんは、適性検査で満点以上の成績を出しました」


 アスカは、得意の作り笑顔で周りに、手をふり、軽く会釈する。


 一級教室と看板が提げられた広い部屋では、白い服装に身をつつんだ青年と女性が規則正しい席順で、着席していた。


 前の教卓では、黒い服装の妙齢の女性がアスカを褒め称えている。


「アスカさん、おめでとうございます。あなたには、これを手にする資格があります」


 女性は、アスカにを渡す。アスカは両手で丁寧に受け取る。


「先生、ご指導ありがとうございました。そして、教室の皆様、一緒に日々を過ごしてくださり、ありがとうございました」


 アスカは周りを見回し、お礼と感謝を淡々と述べていく。


 そして、宣言をした。


「私、ナナイロ・アスカ十七歳は、本日より、使となり、王国に一身奉公の精神で尽くしてまいります」


 アスカの心中は、この王国の輝かしい未来を映してはいない。その輝かしい光を放つと、あの青年の背中を見据えているのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る