第4話 おせっかいとうわさ

「あら〜、さくらちゃん、クリスマス・イブもバイトなんて偉いわね〜」

クリスマスだという、現実を隣のレジから押し付けてくるこの人は、バイトリーダーの丸田信子さんだ。

 まぁ〜るく、ふとく、栄養を沢山、蓄えた優しいおばちゃんだ。私は、敬意を持って、丸太さんと呼んでいる。

 「あ〜、そうでしたね〜、予定も無いので忘れてました〜」

店内には、予約のケーキコーナー、惣菜コーナーには、フライドチキンの山、忘れてる訳、ないのだ。

 「若くて可愛いんだから〜、表参道のイルミネーションなんて綺麗よ〜、私が若い頃なんて、ブイブイよ〜ブイブイ」

「あはは…ありがとうございます〜」

少しおせっかいで噂好きな、仲間にしておかないと厄介なおばさんなのだ。

 「うちきて、しばらく経つけど慣れた?こっちの生活にも、どう?大変でしょ〜、1人で〜

年末は、実家に帰ってあげるのよ〜親御さん

絶対、寂しくしてるんだから〜」

情報源は、どこからとは、言わない、バイトの履歴書に書いた情報なんて、話さなくてもおばさん達には、いい話のネタなのだ。

 「バイトは慣れましたよ、時々、休憩室で変な人には絡まれますけど、あっ!じゃあ、お言葉に甘えて帰ろうかなぁ〜…」

 「変な人?もしかして、佐藤くん?あの子ね〜、愛想ないわよね〜、顔合わせたって一回も挨拶しないのよ〜、ちなみにね!あの子、バイト転々として、長続きしないらしいのよ〜、いい年なのにね、本当に変な子、さくらちゃんも気をつけなさいよ〜」

 失礼な人だけど、愛想ないのか…

 「そうなんでね〜ありがとうございます、ちなみにいつから、佐藤さんは、ここにいるんですか?」

 「えっとね〜佐藤くんが入って来て、3ヶ月経って、そろそろ辞めるかね〜って皆んなで話してた頃に、さくらちゃんが入ってきたから〜、7月ぐらいね〜、あらっ意外に長続きしてるわね〜彼、ここ居心地いいのかしら」

噂好きの、おばちゃんを使って、何となく情報を聞き出してしまった。

 彼に少し悪いことをした様な気になった。こういうのやめよ…1人で反省したクリスマス・イブであった。

 

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コドオジを飼う クロノタケシ @kuronotakesi

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