静かな、雨







「ふぁ〜あ」



昼下がり、どうにも眠気が抜けない。

机に頬杖をついて、

少しだけ目を閉じた、その時。

ジリリ……と、黒電話が鳴った。


「はい、緑屋です」


受話器の向こうで、少し躊躇う気配。


「すみません……私、加奈子と申します」


「はい」


「最近……たくさんの視線を感じるんです。

 それが、不安で……」


たくさん、か。


「そうですか。一度、こちらに来られますか? こちらから向かいましょうか?」


少し間があってから、彼女は言った。


「住所を教えていただければ 

 私の方から伺います」


「分かりました」


話を聞くと、二時間ほどで来られるそうだ。

受話器を置く。


外は相変わらず、雨、窓を叩く音が、

やけに多い。

……視線、か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る