Side Rion


気づいたら麗央に抱きしめられて、寝てしまったらしい。



「おはよ。」

「お、おはよう。あの、」

「ん?」


寝起きの麗央は私の頭を撫でて、触れるだけのキスをしてきた。


ブラックオーラが消えた麗央の目は、少し眠そうだ。



「麗央。あの、離して、」

「無理。」

「あの、話が、」

「何?」

「これから私、どうすればいいの?」

「ここにいればいい。」

「どこで働けばいいの?」

「働きたいのか?」

「やっぱり風俗で働くの?」

「は?」

「お金はなるべく早く返します。」

「お前、昨日の話忘れたのか?」

「覚えてるけど信じられません。

どうして私なの?」

「見つけたから。」

「それだけ?」

「は?」

「それだけで、私のこと助けてくれたの?」

「だから、何だよ。」

「麗央は私みたいな人がいたら、みんな助けるの?」

「お前だからに決まってんだろ。」

「なんで?」

「は?」

「だから、何で私なの?」

「惚れてるって言っただろ。」

「い、意味わかんない。」

「うるせーな。」

「キャッ、」



寝ていた麗央は、いきなり私の上に跨った。


それから私にキスをした。


キスはだんだんと深くなり、麗央のキスが首の方へ移った。



やっぱり、身体目的か。

きっと、売り飛ばされるのも時間の問題なはず。



「莉音。泣くな。」

「え?」

「悪かった。」

「大丈夫だから。続けていいよ。」



逆らって殴られるより、早く終わってくれたほうがマシ。


思い出すな、私。

あの最低な男より、母親の店に来ていたどんな客より、麗央は何倍もカッコいいんだから。



「アホ。お前の嫌がることはしない。」

「え?」

「しないから安心しろ。」



麗央は優しく私を抱きしめた。

しばらくして、ベッドから起き上がった。



「このクローゼットにある服、全部お前のだから。それからスマホは新しいの用意したから好きに使え。」

「はぁ、」

「俺は少し仕事するから。何かあれば隣の部屋に来い。」

「うん。」



麗央は一体、何者なんだろう。



貰ったスマホの設定をしながら、昨日いたリビングのソファに座った。


あれから何時間かたったけど、麗央は一向に部屋から出てこない。



まぁ、いいや。

私の人生なんて、どうにでもなればいい。



完全に居場所がなくなった私を助けてくれた麗央は、やっぱり神様かもしれない。

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