Side Reo


莉音の誕生日20時すぎ、神谷から連絡があった。


「社長、お疲れ様です。

例の子なんですけど、今日様子がおかしいです。昼間の会社も急に辞めたみたいです。」

「は?」

「もしかしたら死のうとしてるのかも。」

「神谷。すぐに計画を実行しろ。」

「本当にいいんですね?」

「あぁ。」



莉音がいるらしいビルへ向かうと、まさに死のうとしていた。


瞳には「絶望」しかなかった。




「俺が、お前を買う。」


想定とは違ったが、莉音が手に入れば何でもいい。


今後一切、莉音に関わらないことを交換条件に、今頃あの母親は500万を受け取っているだろう。



強引に莉音を連れ帰り、本気で檻の中に閉じ込めたいと思った。


まぁ十分すぎるほど、この家は檻なのだが。



俺の腕の中で眠った莉音を起こさないように、そっとベッドを抜け出し神谷に電話した。



「しばらく休む。」

「だと思いました。3日が限界ですからね。」

「チッ、」

「あなたの会社でしょう。」

「母親の様子は、」

「金は喜んで受け取りました。

あと誓約書も貰いました。

ちょうど昨日、自分の旦那と娘の最中に出くわしたそうです。それであの子、行くとこなかったのかも。」

「そうか。」

「タイミング的には最高でしたね。」

「最悪だな。」

「あ、寝室のクローゼットに何着か用意しておきました。好みがわからなかったので、適当です。明日にでも一緒に買いに行ってあげてくださいね。」

「あぁ。」

「社長、女手が必要でしたら用意します。」

「大丈夫だ。」

「もし出社したくなれば、いつでも待ってますからね。」



神谷のことだ。

既に明日の予定を全てリスケしていることだろう。


少し残っていた仕事を片付けてから、莉音のいるベッドへ戻った。



細すぎる身体にはいくつかアザがあった。

古そうなものもあれば、新そうなものもある。



「莉音。」



こんな感情になったのは初めてだった。

むしろ自分にもまだこんな感情があったのかと、驚いたくらいだ。



今にも壊れそうな莉音を、そっと抱きしめた。

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