Side Rion
その男は、黒宮麗央と名乗った。
もちろん知らない。
年齢は、30歳くらいだろうか。
明るいところで見たその顔は、恐ろしいくらいに整っていた。
「あの、レオさん?」
「麗央。」
「れ、麗央。ここは?」
「俺ん家。」
「なんで?」
「今日から、ここがお前の家だ。」
「は?」
「俺、お前のこと買ったよね?忘れた?」
「それって、どういう意味ですか?」
「そのまんま。」
「意味わかんない。」
「だから、莉音は俺のもの。」
「全然意味がわかりません。」
「しばらくはお前とずっといるから安心しろ。」
「なんで?」
「また死なれたら困るし。」
「ま、まだ死んでないもん。」
「死んだらキスもできないからな。」
「ン、」
意味わからないことを言って、麗央は私にキスをした。
それはとんでもなく甘いキスだった。
「ッハァ、は、離して!」
「チッ、やめんな。」
「あなた、誰なの?」
「お前の購入者。」
「は?」
「お前いくらだったと思う?」
「どういうこと?」
「お前の母親、お前をいくらで売ったと思う?」
母が私を売った?
「私、売られたの?」
「500万。」
あぁ、私の身体が売られたのか。
私って500万だったんだ。
これからは身体で働けってことなのか。
もしかして、海外とかまで連れて行かれるんだろうか。
「もう、払ったの?」
「もちろんだ。お前の家は、この家だ。」
「ウゥ、」
「あそこに居場所はなかっただろ?」
「ウゥッ、」
涙が溢れて止まらない。
「俺はお前を、正式に買った。
お前はいくら欲しい?」
「え?」
「お前の気持ちを無視して、勝手に動いた。いくらでもやる。」
「お金はいりません。」
「は?」
「死んだら返せますか?」
「お前、俺の話聞いてた?」
「お願いします。死なせてください。」
「お前が死んだら、俺はただクソに500万払ったことになる。」
「はぁ、」
「お前は生きろ。生きて返せ。」
「500万なんて用意できません。」
「金は返さなくていい。」
「意味がわからない!
「私に500万も払うなんて、風俗に連れて行かれるに決まってる!」
「お前に触っていいのは俺だけだ。」
「え?」
「お前に惚れてるから。」
驚きすぎて言葉も出なかった。
こんなイケメンが、こんな私を?
ありえない。
天と地がひっくり返ってもありえない。
「なぁ、泣きすぎ。」
「意味わかんない。」
「だよな。
これからゆっくり知っていけばいい。
お前は俺から離れるな。」
「麗央が怖い。」
「これからはお前の気持ちも考える。
だから死ぬな。絶対死ぬな。」
「わ、わかったよ。」
「約束な。」
「うん。」
それから麗央は、また私にキスをした。
私は何年ぶりかわからない涙が止まらなかった。
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