営業のOJT
〇あらすじ
「未来は下見できない 東西爆笑王座争奪戦編」 エピソード『事務所ライブ開催②』より
事務所ライブでトップバッターを飾った「シタミデミタシ」が再びステージに上がって2本目のネタを披露する。
「シタミデミタシ」
ボケ:くがっち
ツッコミ:悟
――
「えー『右』という字はぁ、どうして一画目で右にはらわないんだあっ!」
「そういうもんなんだよ! シタミデミタシでーす、よろしくお願いしまーす」
「さとる、営業のお仕事って大変なの?」
「そうだなあ、仕事が軌道に乗るまでは大変だったなあ」
「どんな風に教えてもらってたの?」
「先輩に同行して営業のことを教わってたぞ。いわゆるOJTだな」
「ああ『おじょうたま』ね」
「そんなわけねえだろ! 『On-the-Job Training』だよ!」
「インテリぶってんじゃねえそおらああん!」
「結構メジャーな言葉だろ! OJTってな。くがっちだって先輩に仕事教えてもらってたじゃん」
「そうなんだけどさ、今度はぼくがOJTで教える側になりたいんだ」
「くがっちもいつかは先輩になっちまうもんなあ」
「だからぼくがさとるに営業のOJTをするね」
「何でそうなるんだよ! くがっち営業したことねえじゃねえか!」
「『命あっての物種』って言うじゃんさとる!」
「え、何、俺くがっちのOJT受けないと死ぬの? そこまで言うならくがっちのOJT見せてもらおうじゃねえか!」
「それでは三島君、今日のOJTお疲れ様」
「お疲れ様です、久我さん」
「今日はテレクラについて説明したけど」
「テレアポだろ! 会社でテレクラはやめろ!」
「相手がそっけなくても、こっちは決して崩れないようにな。いつも通りでいけばいい」
「何とかして話の辻褄を合わそうとしてるよな」
「明日はルート営業に同行してもらうから、準備を怠らないようにな」
「はい、承知致しました」
「途中アドリブで飛び込み営業やっちゃうかも」
「えー、マジですかー!」
「冗談だよ冗談。その代わりテレクラでアポ取った子と会うから」
「何をしれっとそっちのアポ取ってんだよ!」
「まああれだ、そんな冗談はさておき質問があれば受け付けるぞ」
「じゃあ質問です」
「何だい?」
「初めての人と上手く打ち解けるにはどんな方法が有効なのでしょうか?」
「三島君、君中々いやらしいな」
「会社でテレクラしてる奴には勝てねえよ!」
「スケベそうな顔してる奴には下ネタ一本で勝負だな」
「それじゃあ全く参考にならないんですよ!」
「いくつ? どこ住み? 休みの日何してる?」
「マッチングアプリじゃないんですから!」
「じゃあ後は適当に仕事の話したらいいんじゃない?」
「すげえ投げやりなアドバイスだな!」
「まあ、仕事で疲れることも多いから、最初はゆるりとやっていこうぜ」
「そうですよね、仕事疲れますよね」
「疲れた時にはビタミンB1だな。豚肉がおすすめだ。暑くて夏バテしそうな時期でも冷しゃぶにして食べるといいしな」
「は、はい」
「魚なら鮭だ! 鮭に含まれているアスタキサンチンが疲労回復に効果がある!」
「そ、そうなんですね」
「お肌のためにもビタミンCとビタミンEは積極的に摂取するんだぞ!」
「何なんだよさっきから変なアドバイスばっかりしやがって!」
「やって来た営業担当がゾンビのような顔つきだったら嫌だろ!」
「それはそうかもしれませんけど」
「あとはレチノールが入った美容液でしっかりスキンケアするんだぞ!」
「さっきから健康と美容の話しかしてねえじゃねえか! 営業するにあたって実践的な話ってのはないんですか?」
「それなら
「何で他人任せなんですか! それに、実は対面でガツガツ話すのに自信がなくて……」
「それなら
「何でさっきから他力本願なんですか!」
「会社の教育レベルが低かったから俺はそうやって何とか情報を仕入れてだなあ」
「そんな話聞きたくなかったですよ! そんなしょうもない古臭い連鎖は断ち切りましょうよ」
「ダメだ! 三島君さてはお前だけ楽しようとしているな!」
「仕事のノウハウってそうやって蓄積して次世代に継承していくものなんじゃないんですか?」
「聞くだけ聞いとくね」
「嫌な先輩だなあ!」
「話は変わるんですけど、やはりここは、酢豚にパイナップルを入れるべきなんですよ! 豚肉が柔らかくなりますからね……」
「何を急に言いだすんですか?」
「あ、これクロージングの練習だよ」
「どこにそんな要素があんだよ! 何の役にも立たねえよそんな話!」
「こうして新人は先輩の背中を見て育つんだよね」
「クソ教育じゃねえか! もういいぜ、どうもありがとうございました」
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未来は下見できない 東西爆笑王座争奪戦編 ネタ切り抜き たたみや @tatamiya77
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