猪突猛進

隼(ハヤブサ)

猪突猛進

ある日、少年は気づいた。



「物を落とす行為は、無駄そのものだ」



物を落として、拾う。

落とさなければ、拾う動作もいらない。



少年は、無駄が嫌いだった。

座右の銘は「光陰矢のごとし」。



その日から、少年は鍛錬を重ねた。

筋肉をつけ、反射神経を鍛え、動体視力を訓練した。








自らに満足した青年は、居酒屋に入った。

彼は何一つ落とさなかった。

箸も、おしぼりも、小銭も、落ちる前にすべて止めた。



他の客は青年に目もくれず、家族と、友人と、恋人と、笑いあっていた。

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猪突猛進 隼(ハヤブサ) @hayabusa_0201

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