第5話

「……アーク・ヴァロー。随分と派手にやってくれたようだな」

​学園長室。ヴォルガノの威圧的な声が響く。

アークは、目の前のこの老人が「学園長」という偉い立場であること以外、何も知らない。周囲の調度品の豪華さも、彼にとってはただの「住む場所が違う人の持ち物」に過ぎなかった。

​「説明しろ。魔力を持たぬ貴様が、どうやってDランクの生徒を返り討ちにした」

​「……あいつらが先に魔法を撃ってきたから、身を守っただけです」

​ヴォルガノが激昂し、杖を床に叩きつけようとしたその時。

部屋の隅、影に溶けるように立っていた、一人のフードの男が静かに口を開いた。

​「……学園長。過ぎた追及は、魔導王様に報告せねばなりませんよ。」

​その男は深くフードを被り、声は低く抑えられていた。

「......チッ。もう良い、下がれ。」

​アークは「わかりました」とだけ短く答え、部屋を後にした。

その背中に、フードの男が、一瞬だけ慈しむような視線を向けたことにも、アークは気づくことはなかった。

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