席替え(後編)
「てか、玲奈のネイルめっちゃきれいだナー。自分でやったの、すごーい!」
「そ? 別にたいしたことしてないし。ありがと」
ガン飛ばしを中断した陸谷玲奈は、なにごともなかったかのように詩楽真帆と話しだした。なんだったのだろういったい。
長身モデルな陸谷玲奈はオタクに優しいギャルだとクラスで話題になっている。見た目に反して風の噂では、ロボットが置かれているお店に居るという目撃情報多数。話題沸騰中だ。だが、その噂は噂でしかないのだと俺は断言したい。オタクに優しいギャルなんて幻想である。現実はそんなに甘くない。ギャルに夢を見過ぎである。目を覚ませオタク共。
それはそうとして、むっちり太ももがエロい。是非ともアキレス腱固めをくらってみたい。システマで耐え凌ぎながら、太ももの感触を確かめたい。いけないいけない、興奮したら鼻血が。
こんなこと、人に喋ってはいけない内容だ。十中八九、童貞煽りされる。
「あたしらの席、近いね?(ちーちゃんの隣に何故アンタが……)」
ひっ、陸谷玲奈のイカついオーラが一層大きくなってる気がする。
「だよナー。理沙ちゃんが近くにしてくれたのかナー? ねー、理沙ちゃん?」
相葉理沙。この席替えの元凶にギャルとツインテールの二人のアシストで回ってきた。
「ちーちゃん、久しぶりです。今日からお隣さんですね。よろしくお願いします!」
次期生徒会長筆頭候補にして委員長相葉理沙。成績、人望、人柄、全てを兼ね備えながら、さらに最上級の美少女でカリスマ性まで持ち合わせ、誰からも慕われているという反則レベルの完璧超人。
そんな彼女に、『君のせいでこんな気の抜けない席になってしまったんだぞ。また負けヒロインにしてやろうか』という内容が喉元まで来ていたが、俺はそれを飲み込んだ。
「あ、あはは。よ、よろしく」
「あっ、先生。来る」
先生は『席替えは終わったみたいだな』と言いながら教壇に立った。
「今回は委員長の相葉が『どうしても』と言うから特別に席替えを許可したが、席替えなんて無駄なものは二度とないと思ってろ」
二度とない? それはつまり、二年の最後。下手したら卒業式までこの席のまま?
「ホームルームは以上だ」
そんな先生の話が終わった直後、詩楽真帆が相葉理沙にこんな質問を投げかけてきた。
「ねえ、理沙ちゃん。去年の体育祭の時も思ったけど、あの緑髪の子と知り合いなのカ?」
「はい。幼い頃からの付き合いです」
「へー」
質問したくせに割と興味なさげに返事する詩楽真帆。マイペースである。しかし、相葉理沙はペースに惑わされずに『そして、ちーちゃんは私の未来のお婿さんです』と宣言した。
ん? えっ? ん? 未来のお婿さん? 相葉理沙がとんでもない言葉を口にした気がするが、きっと聞き間違いだろう。突拍子が無さすぎるのだ。この世界がラブコメ世界だったらともかく、そんなわけないのである。
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