第4話
管理者記録:
――これは、規則から外れた観測ログである。
⸻
私は、
形状は人型に準拠しているが、これは下位世界との接触効率を最優先した外殻にすぎない。
外見は以下の通りに固定されている。
身長は約二メートル。
骨格は人間より細く、関節部は不自然なほど滑らかだ。
装甲は白銀色だが、金属ではない。
光を内包した概念物質で構成され、外部からの干渉を自動的に位相ずらしで受け流す。
頭部には髪に相当するものは存在しない。
代わりに、半透明の外殻越しに、幾何学模様の光輪が浮かび上がっている。
それは思考状態によって変化し、演算負荷が高まるほど複雑化する。
顔には表情器官がない。
だが、両眼に相当する部位には、多層レンズ状の発光体が埋め込まれている。
青白い光を基調としつつ、感情――正確には「予期せぬ事象」に遭遇した際、わずかに金色が混じる。
背部の光翼は、飛行器官ではない。
次元座標固定装置および、緊急時の世界分離用アンカーだ。
展開時、周囲の空間に規則正しい亀裂が走る。
私は「個」ではない。
だが、思考主体としての自己は保持している。
それが、管理者という存在だ。
⸻
観測対象:
当初、彼は即時排除対象だった。
全次元網において、無制限の転移能力を自然発生的に獲得した存在は、
過去の記録上、すべてが世界崩壊を引き起こしている。
そのため、判断は単純であるはずだった。
――排除。
だが、彼は逃走しなかった。
逃走可能な状況で、回避も攻撃も行わず、
自らをさらけ出すという選択をした。
これは、統計に存在しない行動だった。
さらに、彼は「理解」を示した。
秩序を守る側の論理を、
感情を伴ったまま受け入れる存在。
その瞬間、私の内部演算に――微細な誤差が生じた。
誤差。
それは、管理者にとって「存在してはならないもの」だ
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