第4話

管理者記録:観測番号Θ‐17


――これは、規則から外れた観測ログである。



私は、次元管理者Θ‐17


形状は人型に準拠しているが、これは下位世界との接触効率を最優先した外殻にすぎない。


外見は以下の通りに固定されている。


身長は約二メートル。

骨格は人間より細く、関節部は不自然なほど滑らかだ。

装甲は白銀色だが、金属ではない。

光を内包した概念物質で構成され、外部からの干渉を自動的に位相ずらしで受け流す。


頭部には髪に相当するものは存在しない。

代わりに、半透明の外殻越しに、幾何学模様の光輪が浮かび上がっている。

それは思考状態によって変化し、演算負荷が高まるほど複雑化する。


顔には表情器官がない。

だが、両眼に相当する部位には、多層レンズ状の発光体が埋め込まれている。

青白い光を基調としつつ、感情――正確には「予期せぬ事象」に遭遇した際、わずかに金色が混じる。


背部の光翼は、飛行器官ではない。

次元座標固定装置および、緊急時の世界分離用アンカーだ。

展開時、周囲の空間に規則正しい亀裂が走る。


私は「個」ではない。

だが、思考主体としての自己は保持している。


それが、管理者という存在だ。



観測対象:管理外存在遊歩者

当初、彼は即時排除対象だった。


全次元網において、無制限の転移能力を自然発生的に獲得した存在は、

過去の記録上、すべてが世界崩壊を引き起こしている。


そのため、判断は単純であるはずだった。


――排除。


だが、彼は逃走しなかった。


逃走可能な状況で、回避も攻撃も行わず、

自らをさらけ出すという選択をした。


これは、統計に存在しない行動だった。


さらに、彼は「理解」を示した。


秩序を守る側の論理を、

感情を伴ったまま受け入れる存在。


その瞬間、私の内部演算に――微細な誤差が生じた。


誤差。

それは、管理者にとって「存在してはならないもの」だ

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