露祓い
読書記録 更新日2025/12/2
露払い。意味は貴人や神霊などを先導すること。
語源は貴人やその一行が道を進む際、草木についた朝露や雨水を手で払い落とし道案内する人の役目から来ている。
今は転じて、物事を最初に行う人全般を指すことが多い。
私はここまで読み進めて、どうしてこの短編ホラー小説が露祓いという名前なのかわからなかった。
単に不気味そうな名前にしただけという可能性もあったが、こういうとき、私は言葉の意味を考察しないと気が済まないたちだった。
貴人や神霊を先導する。この小説を読むことが、なにかを先導することに繋がっているのだろうか。私は再び小説の1ページまで戻り、ページをめくる。
あとは、漢字も気になる。露払いではなく、露祓い。露払いが露を払い落とすことから来ているのなら、露祓いはどういう意図なのだろう。露を祓う。うーん。水場にはたしかに霊的なものが集まりやすいというが。そう単純な意図の命名にも思えない。それに、そういう意味だとして、露を祓う人というのは、どういう役割なのだろうか。考えてもちっともわからず、そのまま私のまぶたは、ゆっくりと落ちてきた。
読書記録 更新日2025/12/3
夢を見た。私はそこで、体中を啄まれていた。腕のない男、血を流す女の人、顔のない子供。そもそも人間の形をしていない蛇のようなもの。その全てが私の身体をつつき、喰いちぎっている。焼けるような痛みと、身体を失う感触。夢と覚えないほどのリアルで鮮明な悪夢に、私は飛び起きた。
夢で良かった。尋常じゃない汗と止まらない動悸をゆっくりと平静に戻す。戻すよう努める。
こういう明晰夢?を見るのは初めてだった。ホラー小説を昨日遅くまで読んだからだろうか。私は改めて、もう一睡する。今度は夢は見なかった。
読書記録 更新日2025/12/4
体に痣ができてる。夢で啄まれたところだ。触ると痛む。偶然だろうか。
読書記録 更新日2025/12/8
今日も夢を見た。もう何度も見ている。焼けるような痛みも、溶けるような苦しさも、リアルな感覚で、もう何度も体験している。痣は広がっていくばかりだ。明日、お祓いにいく。
読書記録 更新日2025/12/9
難しいと言われた。曰く、とてつもない数、あらゆる種類の霊や呪いが私を蝕んでいるらしい。
心当たりとして、露祓いという小説の話をした。すごく顔をしかめて、それを持ってこいと言われた。
読書記録 更新日2025/12/10
あの小説には、一つ一つの話に、呪いや怨霊が込められているらしい。そして、読んだ人に降りかかるようになっていると。手遅れといわれた。
私の痣はまた増えた。
読書記録 更新日2025/12/11
露払い。それは、草木についた朝露や雨水を手で払い落とし道案内する人。
露祓いはきっと、スケープゴートだ。小説についた霊や呪いを、体で一身に受け、その人に死んでもらうことで、祓う。
この作者はきっと、そうやって読者を呪うことで、自分の安全を担保したんじゃないだろうか。
嫌だ。私は違う。私じゃない。嫌だ。
読書記録 更新日2025/12/12
痣が増える。
読書記録 更新日2025/12/16
ただでは死なない。
読書記録 更新日2025/12/25
ここまでの通読、誠にありがとうございます。
短編集「露祓い」 篠原いえで @zense_ha_neko
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