エピローグ

今、カレンは時折、インスタグラムを開く。


もうコーディネートの投稿はしていない。


代わりに、時々、家族のさりげない日常を載せている。娘が作った歪なクッキー、晴人と行った公園の紅葉、三人で食卓を囲む夕餉。


17歳と32歳で出会った境界線は、今ではもうどこにもない。


あるのは、7年間の秘密を抱え、数え切れないほどの小さな嘘と後悔を乗り越えて、ようやくたどり着いた、平凡で、何よりも愛に満ちた日常だけだった。


検索窓に「彼17才彼女32才 犯罪?」と打ち込んだあの日の恐怖は、今では遠い記憶。


その代わり、心に刻まれているのは、学食でドキドキしながら交わした一皿の味噌汁と、卒業証書の端に書かれた小さな「K&K」の文字。


彼らは、境界線の向こう側で、ようやく普通の幸せを見つけたのである。

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17歳男子高生と32歳主婦の境界線 みさき @MisakiNonagase

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