第二章:初めての密会、そして衝撃

初めて会ったのは、静かなカフェだった。写真以上に端正な顔立ちに、澄んだ瞳。20歳とは思えない落ち着いた佇まい。緊張していたカレンを、晴人は優しい笑顔で包み込んだ。会話はメッセージ以上に弾んだ。彼の知性と、時折見せる無邪気な笑顔に、カレンの心は完全に奪われた。


付き合い始めた。


初めての不倫。罪悪感はあったが、晴人と過ごす時間が、彼女の日常に色を取り戻させた。


そして3度目のデート。緊張と期待が入り混じる中、彼らはホテルの一室で初めて肉体を重ねた。カレンは、青春時代を思い出すような、激しくも切ない愛し方をした。


その直後、ベッドサイドに落ちていた晴人の鞄から、何かのカードが半分飛び出した。


気になって手に取ると――それは「生徒手帳」だった。


……………………………………

晴人 かなた

生年月日:平成〇〇年3月15日

学年:高等学校 2年

……………………………………

つまり彼は17歳 


カレンの頭が真っ白になった。鼓動が耳を打つ。


20歳の大学生だと思っていた青年が、目の前の生徒手帳の文字通り、高校2年生の17歳だった。


「かなた…これ…」


シャワーから出てきた晴人は、手帳を握りしめて震えるカレンを見て、全てを悟った。彼は俯き、小さな声で言った。


「…ごめん。怖くて言えなかった。僕が高校生だって知ったら、会ってくれないと思って」


「バカ…! そんなことより…これ、犯罪だよ!? 私、本当の意味で犯罪者になっちゃうじゃん!」


家に帰り着くやいなや、カレンはパソコンを開き、手が震えながら検索した。

「彼17才 彼女32才 犯罪」

「成年女性 未成年男性 交際」


法的には、双方の合意があれば単純な淫行条例違反には当たらない場合もあるらしいが、社会的には完全にアウト。彼女が結婚していることを加味すれば、不倫に未成年関与という、取り返しのつかないスキャンダルの材料だ。離婚は確実。社会的信用は地に落ちる。


理性は叫んだ。別れよう。


今すぐに。晴人のためにも。


だが、心は離れなかった。


メッセージを交わしたあの温もり、彼の笑顔、初めて抱き合った時の鼓動。


すべてが鮮明で、簡単に消せるものではなかった。

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