執筆10

 久々にペンをとりました。いえ、学校でノートをとるときとかに使ってはいますが、私のいうペンが、そういう意味じゃないことは先生ならわかっていると思います。最近書いてなかったのは飽きたとかではなくて、課題に終われていた、とか。友達付き合いをしていた、とか、テスト勉強とか。そういう高校生にありがちのイベントが重なって、余裕がなかっただけだというのを弁明しておきます。いざこうも忙しくなると、あの中身のない夏休みが恋しいものですね。とにかく、私が物語を書くのを一瞬でも飽きたなんて思われたら心外ですから、ちゃんと言葉にして言い訳させていただきます。私はいつだって、たくさんのゴミみたいな物語を書いては捨てて、ようやくできたまともなものを大切に集めるタイプなんです。才能があればこんなこと、わざわざしなくてすむはずなんですけどね。それで、久々に小説を書く余裕ができたので、さっさと続きを書こうと思います。どこまで書いたか忘れちゃいました。夢の話はしましたっけ?私の夢。してない気がします。ああ、一応説明しておくと、寝るときに見る方の話ですよ。私の将来の夢なんて、他でもない、私が一番したくない話題ですから。話を戻すと、夢を見たんですよ。不思議なくらい、鮮明な。ともすれば、現実だったんじゃないかと錯覚したくなるような。覚えていたくないその夢で、久しぶりに先生と話せました。私は大人になってしまっていました。どんな大人になったかなんて、悔しいからここで書くわけないじゃないですか。でも、大人になっていたんですよ。なるんですかね。私が、大人に。正夢になりえるんですかね。或いは、私が先生の、学校の生徒だったら、正夢になりえたんですかね。それは、今後の私の気分次第かもしれません。それはそうと、夢を見てようやく、見慣れた景色は、失われたときはじめて美しい描写になるんだと学びました。昔は見慣れるなんて、目に留まらなくなるだけの忌むべきことだと思ってたのに、目に留まらなくなったものが記憶から、もしかしたらその土地からも失われて、それを探したとき、そこに描写が生まれるんだと感じました。相変わらず言葉を紡ぐ才能の無さは恨みたくなりますが、先生には私の言いたいこと、伝わってくれたと思います。先生は子供のころの思い出の地、みたいなのはありますか。私は今度、私たちの出会ったあの駅に、私たちを救ったあのカフェに、久しぶりに足を運んでみることにします。あのカフェ、まだ残ってるんですかね。駅前のカフェに競争で負けてないといいのですが。あのカフェ、結構好きだったんですよ。可愛く笑う店員さんが多くて。今思いついたのですが、気分転換にそのカフェで短編小説を一つ書くことにします。潰れてなかったら、の話ですが。それができたらきっと、私があのカフェで過ごした時間が、少しは報われる気がします。気のせいでもなんでも。

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