第30話 ???
ここには、ほとんどの人間は入ることは不可能な場所。その場所は薄暗く、空は地上と違って赤い。その空には少し薄い雲と月のような円型の何かが浮かんでいる。それなのに地上と違い太陽のようなものは無く、時間感覚も無くなりそうなほど同じ空模様だ。
そんな所に目立つようにして建っている欧州の城がモチーフのような建物がポツンと主張している。その城の中の一部屋。そこにパーカーを羽織っている人物が4人、円卓を囲って椅子に座っている。円卓を囲んでいる椅子は8つあるが、座っているのは4人しかいない。その中でも1人は玉座のような椅子に座って目を瞑っている。その椅子に座っている子はほか3人のリーダー的立ち位置なのだろう。
4人はそれぞれのパーカーの背中と左胸のところにとある絵が描かれている。リーダーであろう子の絵は頭の中央に角が一本生えた馬のような動物・・・・・・一角獣の絵。残りのメンバーは、1人は蛇。1人は狐で、最後の1人は狐となっている。
全員の顔は見えず、お互いは誰が誰だか分かっていない状況だ。そんな中、リーダーの子が喋り始める。
「・・・・・・神側から愛し子へと神託が下された」
リーダーの子がそう言うとその部屋の空気が張り詰めた。さっきまでもこれから会議を行うといった風に空気が固かったが、より空気感が固まった。
「それは・・・ワタシらも動くことになったということで?」
「あぁ、そうだ。決めていた通りある時までは邪魔をするのみだ。神託を解決してもらって問題無い」
「神託の敵を強化することにはなんて言われてるんだ?」
「バレないようになら強化していいとのことだ」
蛇の絵が描かれてある子がリーダーの子に聞く。それに対してリーダーの子は重々しく答えた。その次に豚の絵が描かれてある子が右手を上げて聞いた。リーダーの子はまるで自分よりも高位の存在がいるかのように答えた。
「今回の神託はどの国が舞台でなんて言われたんだ?」
「神託は『八つの頭を持つ大蛇が生き返った 大蛇は
「八つの頭を持つ大蛇ってことはアノ怪物が復活したわけか・・・」
「あぁ。そのためコチラもそこに行き着くまで邪魔することだ」
狐の絵が描かれている子はどの国がメインかと神託について言及した。リーダーの子は隠れて聞いていた神託を空中に書くようにして3人に告げた。空中の神託の文字が浮かぶ。豚の絵の子は復活した怪物に心当たりがあるようだ。リーダーの子は頷きながらこれからの方針を口に出した。
「誰が誰を邪魔するべきかは決まっているのか?」
「・・・確定はしてないが、個人的に思っているのはインビディアがエジプトの子。クピディタスはマヤ・アステカの子だ。ゴーラは日本で、我が全神話の愛し子とだ」
「愛し子が使う武器は分かってるんだったけ?」
「前に盗み見た時はエジプトが魔術で、日本が弓、アステカが西洋剣、愛し子が刀であったはずだ」
インビディアと呼ばれた蛇の絵の子はリーダーの子と同じように空中に文字を描く。描かれた文字は空中に浮かび消えない。リーダーの子はそれに対して頷いている。
「誰が八つの蛇を強化するの?」
「リーダー・・・いやペッカータム、オレがする。オレなら虫を操って遠隔から強化することができる」
「なら、強化はゴーラがおこなうことだ。それ以外の我らはその時によって邪魔をしよう。彼らの前に出て攻撃を仕掛けてもいいし、遠距離から攻撃してもよい」
「ただ、オレが作った認識阻害の小道具とかを使ってバレないようにしておくことだな」
「クピディタスの言う通りだ。バレたら元も子もないからな」
ゴーラが支配下にいた虫をこの場に召喚しながらリーダーであるペッターカムに告げた。ペッカータムはパーカーの下からゴーラを見据えて許しを出す。クピディタスがこの部屋に作った物を引き寄せながら言う。ペッカータムはクピディタスの言ったことに対して肯定しながら、クピディタスが引き寄せた道具を自分の元へと引き寄せている。
「ふむ・・・・・・これは使えそうだな。服にも認識阻害がされているからよりバレる心配はないな」
「あぁ。クピディタスの名に恥じぬように試行錯誤してきたからな。これくらいならもう片手間で作れるようになった」
「それは助かるな。万一バレそうになっても一時的にはどうにかすることできそうだな」
ゴーラもペッカータムと同じようにクピディタスの作った道具とかを引き寄せて確認しながら言う。
「そうね。各々がバレそうになった時ようで煙玉とかは持っておくべきかもしれない」
インビディアも道具に触れながら提案する。それを聞いた3人は肯定するような声をあげた。それによりクピディタスがこのあと煙玉といった逃げれる道具を製作することが決まった。
「向こうが動き始めるのは明日になるか?」
「で、あろうな。この時間には流石にアチラも行かないであろう。そのため我らが邪魔をしていくのはアチラが出発してからである」
「それにアチラはオレらの存在に気付いていないようだしな」
「えっ!?」
「ゴーラの言う通りアチラは何故か我らの存在に気付いていない。それが単純に気付いてないだけなのか気付いてないフリをしているのかは不明だがな」
ゴーラが気付いてないことを言うとインビディアはパーカーを羽織っている状態からでも分かるくらい驚く。ペッカータムもアチラが気付いていないことを知っていたが、それが本当に気付いていないかは分かっていないようだ。
「なら少しだけどアチラの情報を持っているコチラが有利・・・?」
「だろうな。オレらはアチラの子らに、この状態で一度も出会ってないのだからな」
「なるほど。ならば今度会う時に相性とかも分かるでしょうね」
「あぁ。それまでに少しでも仕上げておけ」
リーダーであるペッカータムが告げると、3人は頷いて返した。
「それじゃあ、解散としよう。全員、武器を出せ」
リーダーのペッカータムが立ち上がり3人に言うと、3人も立ち上がる。そして、ペッカータムが自分の武器である刀を腰から引き抜いて円卓の中心へと持っていく。
それにともなって、3人も自分の武器を顕現させる。全員が利き手に武器を持つ。インビディアは右手に短剣を、クピディタスも右手にレイピアを左手には本を持っている。ゴーラは左手に日本刀を持ち、右手にはクロスボウを持っている。
インビディアは短剣を、クピディタスはレイピアを、ゴーラは日本刀をそれぞれ円卓の中心へと武器の切っ先を向ける。それぞれの武器の剣先が交わったところでゆっくりと上にあげていく。ある程度上にあげて手が斜めになるところになると上げるのを止めてペッカータムから順に喋り始める。
「『我らは悪魔の愛し子』」
「『大罪の悪魔に気に入られし人間』」
「『肉を喰らい、血を喰らい、己が糧とする』」
「『誰よりも強く、誰よりも闇に生きるもの』」
彼らの言葉に呼応するように、彼らの武器が紅く輝き始める。同じように部屋も薄く紅く染まり始める。
「『我らは神を引きずり下ろすもの』」
「『神の玉座へと手を伸ばし玉座を壊すもの』」
「『我らは神へと反逆するもの』」
「『悪魔とともに我ら有り』」
彼らが言い終わるとより一層呼応したように武器と部屋が紅く染まる。その色はまるで血を連想させるような色だ。
また、言い終わると同時にこの世界も応えるように大きな音を立てる。空が呼応し、黒に染まり世界が闇に包まれる。彼らはそんな外の様子を見ながら服を風に靡かせている。
「ここから先は我らの舞台。皆、神を引きずり下ろすよ」
ペッカータムはベランダに出て外の様子を見据えながら後ろにいる3人に告げた。3人はペッカータムに向けて「御意に」と伝えてそれぞれが仕上げるために散って行った。
一人残ったベランダにてペッカータムは紅く染まったこの世界の遠くを見据えて呟いた。
「覚悟しなよ、神の愛し子達」
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