第29話 神託



翌日である最終日。日中は自由行動ということを教員から伝えられたため、班でも誰かと行動しなくていいように伝えた。そのため、日中は各々が自由に過ごせるようになった。その時に鳳凰と目が合ったときはすぐに逸らされたり、個人的に用があって話しかけた時にはにかみながら返されることが多かった。いまいち会話することができなかった。


そうそう、昨日のプールでの競い合いといっていいか分からない競い合いは最終的に12ポイントで終わった。

まぁ、マイナス30ポイントから始めてのこれなら十分稼げたと言えるだろう。


今は日も大分落ちてきて、生徒会員と風紀委員も加えてキャンプファイヤーの準備中だ。初日よりもキャンプファイヤーの数を増やすということで生徒会員だけじゃ足りなかった。だから、風紀委員も入れて準備することになった。


「あと何個だ?」

「あと2個作るって言われたよ」

「まだ2個もあるのかよ・・・・・・」

「ま、まぁ、あと2個で終わるって考えたらすぐに終わるよ」


俺達は今、キャンプファイヤー用の丸太を運んでいる。基本的に男子だと一人で持てる重さなため男子は1人1個持ってキャンプファイヤーの設置場所に持っていっている。女子の場合は2人で1つだが。


俺達の班は全員がどちらかに所属しているためせっせと運んでいる。そんな中、俺達男子は右か左どちらかの脇に丸太を抱えて話しながら進んでいる。


俺の疑問に反応したのはルトだ。どうやらルトは教員に残りの数を聞いていたようだ。その答えに愚痴を吐いたのは拓矢である。

その気持ちはとても理解できるし、まだあるって思ってしまうのも分かる。

それに対してポジティブに言い換えようとするペペであった。ペペも拓矢の言いたいことは分かっているから少し答えが鈍いけど。


俺達は設置場所に丸太を持っていく。設置場所には他学科の教員が誘導するように俺達に手を振っていた。設置場所には既に土台となる丸太が設置されていた。俺達はその場所に向かっていく。


「それじゃあ井桁型いげたがたに設置していってね。といっても交差するようにして上に重ねていくだけだけどね」

「分かりました。それじゃあ俺と拓矢が先に置くぞ」

「分かったよ」


教員に言われた通りに俺と拓矢がまず丸太を2本、土台の上に交差するようにして、間を開けて平行に置く。その次にルトとペペが俺達が置いた丸太と交差させるようにして置く。


井桁型とは要するに“井”の形にして組ませる型だ。先に、その中心に火元となる枝を入れていく。そこために近くに待機していたメンツと入れ替わるようにして俺達はその場から去る。


去った俺達は次の丸太を取りに行くために戻って行く。その際にすれ違う他の委員の子達を軽く励ましながら戻る。戻るとどうやら全て運び終えたようで俺達は戻っていいと言われた。


「それじゃあ僕達は戻って楓香達を待っておこうか」

「だな。女子4人もすぐに戻ってくるだろ」

「そうだね。戻って待っておけば向こうもすぐに気づいてくれるだろうしね」

「それじゃあ戻るか」


そのあと、俺達は各班に割り振られた持ち場に行く。そこで女子4人を待っておく。少ししたら4人が戻ってきた。


「やっぱりそちらの方が早かったみたいですわね」

「そのようですね。このあとは天体観測組とキャンプファイヤー組で別れるんですよね?」

「そうなってるね。僕達の班からだと国際交流科の4人が天体観測になってるね」

「おにぃちゃん、後でどうだったか教えてね」

「分かってる分かってる」


俺が楓香に答えていると天体観測に向かう生徒を教員が呼び始めた。


「呼ばれたね。それじゃあ僕達は行ってくるから」

「また後で」

「なにも無いとは思いますが頼みましたわ」

「早く行こうよー!」


俺達が残るメンツに声をかけていると、先に教員のところに行っていたルーシャが急かしてくる。俺達は残るメンツに断りを入れてから走るようにして向かう。


「揃ったようなので天体観測の場所に向かますね」


教員がそう言って歩き始める。その後ろから天体観測に行きたいと希望した生徒が付いて行く。俺達は一番後ろから付いて行く。ある程度進んだところで前の生徒が止まる。


「それではここで自由に見てください。こちらに星座早見盤もありますが、なくても良い方は取らなくても大丈夫です。それと、こちらで寝転がる人のためにシートとブランケットを用意しているのでそちらも必要な方は取ってください。それでは自由にしてください」


俺達はそれを聞いてどうするかを話し合う。


「どうする?星座早見盤はいるか?」

「僕は無くても大丈夫だけど・・・。一応、説明もできるしね」

「それなら一応ということで1つ持っておけばいいと思いますわ」

「そうだね!それならルーが取りに行ってくるよ!」


ルーシャはそう言うとすぐに教員の足元にある星座早見盤を取りに行った。その時に少し教員と話しているようにも見えたが、すぐにしゃがんで取り出してこちらに戻ってきた。


「貰ってきたよー!一応天鈴ちゃんに渡しておくね!」

「分かったわ」


戻ってきたルーシャは鳳凰に星座早見盤を受け渡した。鳳凰は星座早見盤を受け取って、回して今の時期の星座が書かれているところに合わせて腰に添えて手に持った。


「皆は寝転がる?僕はその方が見やすいから取りに行くけど・・・」

「あー・・・どうするか・・・。座って見たら首を痛めるよな・・・」

「私は両方取りに行くつもりですわ」

「ルーもそのつもりだよ!」

「えー、全員取るの?なら、俺も」

「それじゃあ、神威。二人で4人分取りに行くよ」

「りょーかい」


俺達、男子でシートとブランケットを取りに行くことになった。俺とルトは教員の元へと歩いていく。教員の元へと行くとシートとブランケットを人数分借りることを伝えて人数分を取って持ち上げる。その後、落とさないように気を付けて鳳凰達の元へと戻っていく。


「取ってきたよ。2人とも上から取ってね」


ルトがそう言うと鳳凰とルーシャは俺とルトが持ってきたことに感謝を伝えながら上から取っていく。2人が取った後、俺達はお互いにシートとブランケットを交換するようにして手渡す。


そのあと、俺達4人はお互いに近くにシートを敷いて横になってはブランケットをかける。そうして、この中で一番星座に詳しいルトが説明し始める。


「それじゃあ、まずは授業でも習ったオリオン座から見つけるのが一番早いかな?オリオン座の一番星はベテルギウスっていうオレンジに光っている星だから簡単だと思うよ。全員が見つかったら次の説明するから」


学校じゃ絶対に見れない星の輝きに俺は声を漏らす。その星を見てオリオン座を探す。そうして一際輝いている星を見つけてその右側に3つの星が横一列になって輝いているのを見つける。この特徴的な星の並びがオリオン座だ。

そのあと、俺が見つけたと声をあげると鳳凰とルーシャも続けて見つかったと声をあげた。


「その真下の近くと左下あたりに同じく他よりも強く輝いている星があるの分かる?それが冬の大三角になるから」


俺は言われた通りに探す。俺は先に左下にある星を見つけたあとにベテルギウスの下あたりにあった星を見つけた。

俺が探している間にルーシャが最初に見つけて鳳凰が見つけ、俺が最後に見つけることができた。


「下側にあった星がシリウスっていう星ね。それを含めた近くで小さい三角形ができるからそれがおおいぬ座になるから。そして、左下あたりに見えた星がプロキオンって星。その星から少し上にいった星を繋げたらこいぬ座だから」


俺は説明されてなんとなくだが、星の位置が分かってこれかなと思うように星を繋げることはできた。けど、やっぱり合ってるかどうかは分からなかったため鳳凰から星座早見盤を借りて確認した。俺が思っていた星座は合っていたようで一安心できた。


「その次だけどね、ベテルギウスの左上。プロキオンからほぼ真っ直ぐ上にあがっていったところに同じように輝いている星、見える?」


言われた通りにプロキオンという星から上にあがっていって星を見つける。間違ってたらいけないのでベテルギウスからも確認する。


「その星がカペラっていうんだけど、その星から長方形に星を繋げることができるはずだから。それがぎょしゃ座だよ」


ルトから説明されていると、急にアス姉から念話を繋げられた。俺達が驚いているとアス姉から神託があると伝えられ、俺達の近くにいるから来て欲しいと言われた。


「・・・・・・ルトとルーシャは残っとくこと。俺と鳳凰でアス姉に聞きに行く。流石に4人全員が抜けると怪しまれるから」

「・・・分かった。あとで神託の内容教えてよ。念話でもいいから」

「もちろん」

「それじゃあ聞いてきますわ」

「行ってらっしゃい!2人とも!」


俺と鳳凰は立ち上がってルーシャからの見送りを聞きながらアス姉が指定した場所に向かう。その場所は木の中で他からは見えないであろうところであった。


「神威くん、天鈴ちゃん。こっちこっち」

「アス姉・・・・・・」

「2人とも急に神託のことで呼んでごめんね」

「それは問題ないですわ。けど・・・・・・その神託は?」


下りてきていたアス姉は他の生徒にバレないようにツクヨミ様の力を使っているのか夜に溶け込んでいる。そのため呼ばれるまでアス姉のことに気づけなかった。早速とばかりに鳳凰が神託のことを聞く。


「うん、2人もはやく戻らないと行けないから言うわね。神託では『八つの頭を持つ大蛇が生き返った 大蛇は出雲国いずものくにの川にいる 神の愛し子達よ 問題になる前に討伐せよ』。私達神は基本的に関われないからあとはよろしくね。それじゃあね」


そう言ってアス姉は神界に戻って行った。多分、こちらの世界に居すぎて何か超常的なことが起きたら問題になるからだろう。


「それでは、この神託をルー達に伝えに戻りましょう」

「だな。このあとは分身を作って霧・・・・・・もといミストで俺達がいなくなったことに気付かせないようにしないとな」

「そうですわね。これ以上は念話にしましょうか。もうすぐ戻りますわ」

「だな。いつ、誰が聞いていてもおかしくない」


俺達はこのあとのことについて決めることに夢中になっていたため、さっきの神託を誰かに聞かれていることに気づいていなかった。



「・・・・・・とうとう、動き始めた・・・」



その神託を隠れて聞いていた人物は一言そう呟いて闇に溶けるようにして消えていった。俺と鳳凰はその人物に気付くことなくルトとルーシャの元へと戻って行った。



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