第25話 スケート
「・・・・クチュン!」
隣から鳳凰の可愛いクシャミが聞こえてくる。きっと寒さで出たんだろう。なぜなら俺達は今、スケート場に来ているからだ。ここは交流行事で使っている建物から少し離れたスケート場だ。ここでも競い合うことになっている。ここで競い合うのはスピードスケート、アイスホッケー、カーリングだ。全員が入れないため今日から4日間貸し切って2日間で別れて行うことになっている。俺達は先にやることになっている。
そして、3日目である今日はスピードスケートとカーリングが行われる。どちらとも代表者が出て競い合うことになっている。
「ここからはゲーム開始時間まで自由にしていいです。それではどうぞ」
教員はめんどくさかったのか雑にまとめて投げ出した。俺達の班は少し離れたベンチに集まって作戦会議をする。
「スピードスケートは代表者2名。アイスホッケーは代表者6名。どうする?」
「スピードスケート行きたい人ー?」
「ルー、行きたい!」
「それじゃあ、1人はルーで確定だね」
あっさりとスピードスケートの代表者1人目が決まった。ルーシャが率先して行きたがった。ルーシャなら小柄だからあんまり空気抵抗を受けず上位を狙えるかもしれない。
「後1人はどうする?男子から出すか?」
「でも僕達男子はアイスホッケーの方にまわしたくない?」
「かいさん、それならアタシが行きますよ」
「いいのか?」
「はい。アタシも4人はアイスホッケーにまわってほしいので」
「ありがとう」
俺達が悩んでいるところに女神の手が伸びてきた。ナタが出てくれることになったため残りがアイスホッケーにまわることとなる。
「鳳凰と楓香はアイスホッケーになるけど大丈夫か?」
「問題ないですわ」
「大丈夫!」
「それじゃあ、その方針で。練習しに行くぞ」
俺達は座っていた状態から立ち上がりスケート場に入っていく。俺はシャーと滑りながら少し先に行く。少し滑った後にその場に止まり後ろを振り返る。振り向くとこちらにスムーズに滑ってきている楓香と鳳凰、ナタに拓矢。少し遅れて残りの皆もやってくる。
「誰も滑れないってことはないんだな」
「それでは練習に入りましょう」
その一言で、ルーシャとナタメインで練習し始める。主にどうしたら早く滑れるかの試行錯誤を。ただ、やっぱり思いつくこととなるとよく見る、前かがみくらいしか思いつかなかった。とりあえず、その状態で滑るように促す。そして2人は1周してくる。
「どうだ?」
「アタシはこれで行きます」
「ルーもルーも!これで大丈夫だからこれでいくよ!」
それから俺達8人は少しでも早く滑れるように練習した。主にコーナリングを早くできるようにしたりと色々と工夫した。そしてとうとう、時間になった。
「えー、それでは時間になりましたので始めたいと思います」
そう、教員がいい代表者はスケート場に出ていくように促される。スピードスケートもアイスホッケーもどちらとも決勝までやることになっている。
ナタのレースは2レース目でルーシャが6レース目となっている。二人は決勝まで危なげなくちゃくちゃくと駒を進めた。そして決勝戦。ナタとルーシャ以外にも各レースの1着が出ることになっている。
「行ってくるね!」
「行ってきます」
結果は惜しくも2着と4着となった。その後は少し時間が空いてアイスホッケーとなる。この時間に昼食と練習を済ませておくように言われた。
「配置どうする?」
「雲龍兄妹が攻めていく感じにして残りはサポートって感じがいいんじゃないかな?」
「それなら逆もありだろ」
「・・・・2人は臨機応変に変えてもらうのがいいと思いますわ。それならまだよみづらくなるはずですわ」
「そうだね。それで行こうよ。おにぃちゃんも合わせることできるでしょ?」
俺はそれに対して頷いて返す。こうして方針が決まったため俺達は練習するためにスケート場に入った。それから少しして、一度全員がスケート場から上がるように指示があった。どうやらこれから開始するようだ。
俺達の試合は3回戦目。それまでは待機となる。
「最初から対処されるまではずっと俺達中心で攻めていくようにしよう。多分何試合目かのタイミングで対処され始めるからその時からサポートにシフト。これでいいな?」
俺達は待機時間中にこれからの作戦を決める。この作戦を決めるまでに少し時間がかかった。そのため決まると同時に俺達の番になっていた。
「勝ちを取るよ!」
ルトが鼓舞するように言いスケート場に入っていく。俺達も後に続き入っていく。
試合が開始する。試合時間はどこも交代出来ないから1分半の短時間試合。あっという間に終わってしまうような時間。パックをとったのはこちらだから早速とばかりに攻めて行く。
「楓香」
「おにぃちゃん!」
俺達、兄妹は互いに声を上げて相手の中に切り込んでいく。相手の股下を通らせたり隙間があるところを点々と通らせていく。でも、相手も相手で簡単に抜かせるわけもなく楓香のパスコースを切らされる。
「おにぃちゃん!」
その様子を見た楓香が声を上げるが俺は楓香には回せない。悩んでいると相手のスティックが伸びてくる。俺はそれに対して牽制しながらパックを奪わせないようにする。すると視界の隅に拓矢が走っていくのが見えた。俺は拓矢にパスするために唯一空いていた隙間を通す。
「拓矢!」
「おっと・・・・。ナイスパス!」
俺が隙間を通して味方に繋ぐと相手は舌打ちして拓矢の方へと滑っていく。俺はすぐさま移動してパスを受けやすい場所へと位置する。楓香も同じように俺とは違う場所に位置した。俺と楓香、どちらに渡してもゴールが狙える。
「神威!・・・!?」
拓矢が声を上げてパスをしようとしたタイミングでちょうどパスコースを切ってきた。それに気づいた拓矢は驚きの声を上げつつも咄嗟に楓香の方へと切り返した。楓香の方はマークされていなかったからアッサリと受け取ってシュートを放つ。相手のキーパーも動いたけど間に合わずネットを揺らした。
「ナーイス」
「ナイスショット」
「拓矢、パス良かったよ」
俺達3人は戻りながら互いに労う。自陣に戻ったら男子は互いに手を当てて音を立てる。楓香と鳳凰の方では楓香が絡みに行ってる感じだ。
「さぁ、攻めくるから全員気張るよ!」
ぺぺが皆の意識を切り替えるように言う。全員はその声に頷いて返し相手を見る。
最終的にこの試合は3対0で俺達が勝った。
その後も順調に勝っていきスピードスケートの時と同じように決勝まで駒を進めた。俺達はスケート場に入っていく。
また俺達の方が攻め側としてパックを取れたので今までと同じように俺と楓香で攻めていく。と見せかけて後ろにいたルトに渡して俺と楓香は両サイドに離れていった。
最初に決めていた通り後半の試合になるに連れて対処されてくることが多くなってきたためルト達をサポートする立ち回りに変えた。そのため相手チームは驚いて少し行動が遅れているように見える。
そんな隙を俺達は逃すつもりもなくすぐに攻めて行く。中にルトとぺぺが入っていきカバーのために少し後ろに拓矢が居て両サイドから攻めれるように俺達がついている。
相手も奪おうとルトに詰めていくけどすぐにぺぺに渡して抜いていく。その後、ぺぺも挟まれてパスコースも潰された。が、フリーになってる俺が楓香に合図して、相手の後ろからこっそりと近づく。そして股下からスティックを伸ばしてぺぺの持っていたパックを奪って楓香にパス。パスされた楓香は既に打てる体勢に入っていたのでダイレクトでシュートを放ち決める。
「神威?急に取られると驚くんだけど?」
「ハハハ、意表をついたと思えば問題ないだろ?」
「はぁ・・・・」
ぺぺにジト目で見られる中答えると呆れられた。解せぬ。
「このまま逃げきるよ!」
楓香がさらに士気を上げるように、鼓舞するように声を上げた。
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