第26話 氷上のチェス
スケート場を貸し切っての2日目であり、交流会4日目でもある今日。俺達は昨日と同じくスケート場に来ていた。理由はスケート場で行うラストの競技である“氷上のチェス”とも言われるカーリングを行うためだ。
「次は決勝戦ですわね・・・・」
「そうだね。相手も相手だから油断できないね、天鈴ちゃん」
「昨日はアイスホッケーでは優勝できましたし今日も優勝したいですね」
「・・・・・・おにぃちゃん達?そろそろチーム分け決まった?」
後ろで女子達が話し合ってる中、俺達男子は円になって座り込み話し合っていた。そんな中、楓香が後ろから俺に抱きついてきては尋ねてくる。俺はそんな楓香のことを放置して伝えようとした。したが、楓香が鳳凰に咎められてナタに回収されていった。俺達は多少困惑しながらも改めて話そうとする。
「決まりはした」
「そうなんですか?で、どうチーム分けしたんですか?かいさん」
「とりあえずは、俺達で決めたのはこの中でも頭がいい雲龍兄妹とホセ、それに天鈴を2チームに分けた」
「1チーム目は、神威と鳳凰ちゃんを主軸にして颯美くんとナタリーちゃん」
「2チーム目は僕と楓香を主軸で、ルイスとルーシャさんのチーム」
「バランスを良くしたということですわね?」
鳳凰の言葉に俺達は頷いてそうだという意思表示をする。鳳凰は礼を言ってから、もう聞くことはないのか口を閉ざした。
「決勝戦はこっちも向こうも8人はいるから同時進行になってるのは覚えてるよね?」
ぺぺが聞くと四者四様で返してきた。鳳凰は小さく頷いて、ルーシャは元気な声で「はーい!」と返事を返し、楓香は手で丸を作って、ナタは首を縦に振った。
「だから頭がいい4人に作戦をたてて進めていってくれ」
「2人は出来るだけそれに従う感じでね」
そう俺達、男子4人で女子に説明している途中でスケート場内の館内放送が鳴った。
内容は、これから決勝戦のゲームを開始するため決勝戦を行う俺達と対戦相手のチームはスケートリンクに入ってくれとのことだった。
俺からしたらまだまだ説明し足りないけど仕方ない。呼ばれたからには行かないといけない。
「まだ説明し足りないけど・・・・一言だけ・・・・・・今日も勝つ」
俺が全員を見据えて一言、そう言うと全員が頷いた。それと同時に全員の目つきが変わった。なぜかは知らないが俺達のグループは全員、こういう勝負事になると必ず目つきが変わる。戦いのスイッチが入ったとでも言うべきか・・・・。
まぁ、そんな状態で俺達はスケートリンクにおりていく。俺が先頭に立ち、左斜め後ろには楓香、右斜め後ろには鳳凰。それからは後ろに連なってスケートリンクに入っていく。
俺達は入ってから真ん中まで進んでいき、お互いのチームメンバーが揃ったところで横1列に整列する。
「それでは両者とも準備はよろしいですね?それでは、ただいまより交流会4日目、カーリング対決の決勝戦を始めたいと思います!両者、気をつけ、礼!!」
審判を務めてくれる先生がスケートリンクに入ってきてはチームで並んだ間に立つ。そして挨拶を促した。先生が言った礼に続いて互いのメンバーが礼を行う。その後、2レーンに互いのメンバーが別れていった。
「で、誰がどの順で投げるんだ?」
「リードは俺、セカンドがナタ。サードが鳳凰でフォースが拓矢で投げる」
「私と神威がブラシと投げるのとで分かれるようになりますの?」
「そうだな。こっちではそう決めた」
「分かりました。では、拓矢、ブラシに行きましょう」
「だな」
「ナタは俺と一緒にこっちだ」
「分かりました、かいさん」
俺達が最終確認を行うと同時に試合開始の笛が鳴る。まずは向こうが先なため向こうが投げる。投げ出したストーンはまっすぐ進んでいき、途中でスウィーピングが始まりより滑るようにしていく。その後も進んでいき止まった場所は青円の左側の前で止まった。
「俺のターンだな」
「かいさん、狙い場所はどこなんですか?」
「さっき止まった相手のストーンの隣だ。それか前を狙っている」
「ありがとうございます。少し斜めに切り込んでいきますか?」
「・・・・そうだな。そうしよう」
俺はナタの提案に頷いて肯定した。俺はその後、拓矢に目でどこを狙うか伝えた。拓矢がしっかりとその意図を汲み取れたかどうかは分からないが鳳凰に伝えてるから大丈夫であろう。
俺はストーンを持って配置する。俺はハックに足をかけて蹴り出す。蹴った勢いでストーンを氷上に押し出して滑らせる。狙った通り少し斜めに切り込んで相手のストーンの元へと進んでいく。途中で拓矢と鳳凰がスウィーピングをしてより滑っていく。
そして、コツンと静かなスケートリンクにはとても大きな音を響かせる。当たって、相手のストーンは少し動いたがそれだけだ。位置はあまり変わっておらず、少し前に俺が投げたストーンが位置したくらいだ。
俺が投げたストーンが止まったため、相手のターンになる。俺達は下がり相手の様子を見る。
「上手くおけましたね、かいさん」
「あぁ。それこそ次は真ん中を狙ってみるか?5ターン目まではどっちも円内のを弾き出すことはルール上不可能だからな」
「いいですね。狙えるならそうしましょう」
俺とナタが話している間に向こうも投げ出した。投げ出したストーンは先程と同じく進んでいき、途中でスウィーピングが入る。どうやら狙ったところは真ん中とかではなくこちらから見て、先程のストーンと反対側の右側へと滑らせた。
「これなら狙えますね」
「そうだな。行くか」
「はい。そのまま真っ直ぐ投げ出しましょう」
俺はそのナタの言葉にストーンを持って、歩みながら相槌と同時に頷いた。ナタもナタで次の位置をどうしようかと考えており時々独り言のように呟いている。俺は、ナタのその様子に苦笑いしながら配置につく。そして真っ直ぐ円の中心を見据える。
俺は勢いよくハックを蹴り出した。蹴り出して進み、ストーンの取っ手から手を離して投げ出す。狙い通り真っ直ぐに滑っていき、拓矢達もどこを狙っているのか分かったのかある程度のスウィーピングで離れていった。狙いよりも少し奥に行ったが、どうにか青円の中にある赤円のラインの上にのせることができた。
「ナイスです、かいさん」
「あぁ」
俺とナタは手を合わせて音を鳴らす。けど、すぐに俺達は目つきを変える。次は相手のターンだからよく見ておく必要がある。相手の投げた場所によって、どこを狙うかと変わってくるからだ。
あれからお互いに投げあって、今は最後のフォースの拓矢が投げる番になっている。後は、拓矢が投げたら試合終了となるところまできている。
今のストーンの配置は、俺達の赤色のストーンが、青円の中に4つ。赤円の中に1つとなっている。相手の青色のストーンは、青円の中に3つで赤円の中に1つになっている。
「安全をとるなら赤円にある相手のストーンを弾き出したいですね」
「だな。けど、不安なのがそれで弾かれたストーンが後ろにある俺達のストーンに当たって出ていくことだな」
「ま、まぁ1つくらい問題ないという精神でいきましょう」
「・・・・だな」
俺はブラシを手に持ち、同じくブラシを手に持っているナタと会話している。向こうには拓矢と鳳凰がいるから問題ない。拓矢は拓矢でハックに足をかけた。
俺達はその様子を注視する。拓矢が投げたら、投げた方向の前に早く向かってブラシでスウィーピングをしないといけないからだ。拓矢はハックを蹴り、滑りながらストーンを投げた。方向は・・・・真ん中よりちょっと左寄りだ。
「アタシ達が話していたところですね!」
「そうだな」
俺とナタは進行方向の先のスケートリンクをブラシで擦りながら会話する。ある程度までのところまで擦ると、俺達はブラシをあげて当たらないように注意して離れていく。
そのままストーンは滑っていき青色のストーンに当たり鈍い音をたてる。当たったそのストーンはそのまま後ろへ後ろへと滑っていき、とうとう青円からも出ていった。
「上手くいきましたね、かいさん。アタシ達のストーンにも当たらなかったですしね」
「あぁ。良かった。これで、このカーリングとアイスホッケーを合わせて2連勝だな」
「そうですね。このまま勝ちましょう」
俺とナタは、ブラシを壁にかけて拓矢と鳳凰の元へと歩いて行っている。既に隣の方では終わっていたらしく、両メンバーがこちらに戻ってきていた。
俺達、ブラシ組が戻ってくるとすぐに先生が来て俺達を向かい合わせて整列させた。
「ただいまの試合結果は2-0で赤側の勝利となりました。皆様、互いに健闘しあった2チームに盛大な拍手をお願いします」
そう、先生が試合結果と称え合うことを言うと見ていた生徒や教員から拍手があがった。
ある程度収まったところで先生が再度喋り始める。
「ここにチーム対抗カーリング対決を終了することを宣言する。皆様、お疲れ様でした。寄宿先に戻りますとしっかりと休養をお願いします」
先生がそう締切って、4日目に行う予定であったカーリングが終わった。
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