第23話 オリエンテーリング
「よいしょっ・・・!」
「おぉ・・・・大丈夫か、鳳凰?」
「少し量が多かったけど大丈夫ですわ」
「なら良かった。他の教員は既に配置に着いたと思うか?」
「流石に着いてると思いますわよ」
俺と鳳凰は倉庫から木箱を取り出してきた。これも生徒会の仕事である教員の手伝いの一つだ。鳳凰が持ってきた木箱には方位磁針が入っており、俺が持ってきた木箱にはこの辺の地図が入っている。
「私達の今の仕事はこれで終わりですわね。後は終わった際のミネラルウォーターとかが来てないようですが行ってるので大丈夫ですわね」
「あぁ。俺達は班に戻っておこう。その前に教員に伝えておかないといけないが」
「そうですわね。それを終えたら戻りましょう」
俺達は近くにいた教員に終えたことを報告して班の皆が並んでいる場所へと向かう。
「忙しそうだね」
「拓矢と楓香はまだか?」
「颯美さんは水分を入れているダンボールを取りに行きましたよ。ふうちゃんはミネラルウォーターの成分を含んだ飴を入れたダンボールを取りに行きましたよ。すぐに戻ってくるはずですよ」
並んでいるところに行くと戻ってきたのは俺達が最初だった。戻ってきたら残りの生徒会メンバーのことを聞く。そしたら、ナタが教えてくれた。
「まぁどの道生徒会組が帰ってきて教員も戻ってこない限り始まらないからいっか・・・・」
「なら今いるメンバーだけでも誰がどう担当するか決めておこうよ」
「・・・・そうですわね・・・そうしたらトップ帯を目指せますからね」
「それならこの中で方位磁針や地図を読むのに自身がある人はいますか?ちなみに私は無理です」
早速といわんばかりにナタが先陣をきって決め始める。その時に自己主張を忘れずに。
「今はいないけど楓香でいいだろ。アイツなんか異様なまでに読めるし。それにアイツの野生的直感も鋭いしな。後で聞くがアイツはいいって言うだろうよ」
「なら地図担当は楓香さんで進めていきましょう。次に・・・・時間ですか・・・」
「あ、それなら僕がやるよ。音楽科だし自身あるよ」
「なら、時間担当はぺぺだな。後は・・・・」
「一旦はそれでいいんじゃないか?」
俺達が話し合っていると後ろから声を掛けられた。俺は咄嗟に振り返った。振り返って声をかけた人物を確認した。そこに居たのは拓矢だった。その後ろからは楓香が駆け寄ってきている。
「それもそうか・・・・」
「ふうちゃん」
「どうしたの?ナタちゃん」
「ふうちゃんが方位磁針と地図を見て先導してくれないかな?かいさんがふうちゃんは読むのが得意って言ってたから・・・・」
「おにぃちゃん・・・・」
楓香がジト目で俺のことを見てくるが俺は何処吹く風だ。そんな俺のことを見て諦めたのか潔く引き受けた。楓香達が戻って少ししたら教員がスピーカーを持って前に立った。すると、今まで喋っていた生徒も黙り教員の方をむく。
「あー、あー。・・・・・・これからオリエンテーリングの説明を始めます。オリエンテーリングはこの後配布する方位磁針と地図を見てチェックポイントを通過していって帰ってくる時間を競うものです。例年通り出発地点は同じで、各班少し時間をズラします。時間は120分となっていて皆さん自身が帰ってくる時間を予測してください。各チェックポイントには加点されるキーワードがありますので忘れずに記入してきてください。それでは怪我なく安全に競い合ってください。以上」
説明してくれた教員は下がっていった。俺達は下がった後すぐに話し合う。
「全員問題ないな?」
「問題ないよ。方位磁針と地図は公正を守るために出発直前だろし私達はゆっくりしておこうよ」
「それもそうですわね。無駄に張り詰めておくよりも来た時に備えておくべきですわ」
その一言により俺達の班は各々がゆったりとし始める。もうすぐ出発する組とは天と地の差くらいゆったりしている。
そうしてゆったりしているといつの間にか俺達の番になっていた。
「それじゃあ皆行きますわよ」
「そうだね〜、皆気張ってこ〜」
「まだゆったり感が抜けてない体はこの体か?あぁ?」
俺がふざけて、あえてゆったりした声で言った途端隣にいた拓矢にヘッドロックをカマされてそんなことを言われた。そんなコントじみた行動にルト達は吹き出し、まだ出発出来てない班も一部から笑い声が聞こえた。
「よし、それじゃあ行くぞ。目指すは期待通りの上位帯」
「それじゃあ私が先導するから着いてきてね!」
俺達兄妹が早速声を上げて意気揚々と歩き始める。綺麗に整備されていた道を少し進んで途中で山?丘?に入っていく。そこにはコンクリのような整備された道はなく土の横に2列程度しか通れない道を歩いていく。
「でもさ〜、意気揚々と進み始めたけどわざわざする必要ってあった?」
「バッカ!気分だよ気分。上げたほうがいいだろこういうのは」
「私は人によると思いますわ」
「・・・・・・ぐぅ・・・」
「ぐぅの音も出ないじゃないの?そこは。出さないでよ」
「お前らそんなに人の傷口をエグって楽しいか!?」
歩きながらルトがそんなことを言ってくる。俺はそれに返したら鳳凰が横からストレートパンチを飛ばしてきた。それに対して図星だったので、会えて黙らず声を出したら楓香に冷たくあしらわれた。俺はそんな皆に訴える。
「神威・・・・・・俺は楽しいぞ」
「グッドサインを上げて言うことじゃねぇぇ!」
俺が後ろを振り向いて訴えると拓矢がグッドサインを上げていい笑顔で想像していた反対の言葉でさらに殴ってくる。
「神威くんがここまで雑に扱われるのってこっちの学科ではあまり見ないね。ね、天鈴ちゃん」
「そうですわね。なんというか新鮮ですわね」
「交流科では珍しいんですね、あのかいさんは」
「えぇ。そちらは違うのですか?」
「今のようなことが多いですね。なにせ料理科だとふうちゃんがいますし余計に。身内だから誰よりも気を抜ける存在なんでしょう」
「・・・・・・そうですね」
俺達がそんなことをしていると女子は女子で話し合い始めては俺の今の様子に驚いてる。おかしいな・・・交流科の方でもってここまで・・・・・・なってないな・・・・。そりゃ驚かれるな・・・。
「おにぃちゃん達話してるのもいいけどもうすぐ次のチェックポイント着くよ?」
俺達がふざけ合いながら歩いていると楓香から報告が入る。思った以上に順調に進んでいけてるようで安心した。この調子で行けば全然間に合うとは思うな。
「これで6分の2のキーワードを回収できるね。ちなみに僕の感覚だと、まだ時間は1時間半はあるから余裕を持ってもらって問題ないよ」
多分あまり誤差はないはずだから順調に事を運べているな。これなら多少の遅れなら問題は起きそうにないな。
その後も順調に進んでいく。少し傾斜があるところは先に男子が登ってエスコートするように手を差し出して安全に女子を上げる。
そして、今は第3チェックポイントにいる。
「この丘?の頂上だからなのか空気が上手く感じるな」
「はいはい。おにぃちゃん感傷に浸ってるとこ悪いけどもう行くよ。ここいると寒いんだから。今は冬だし余計に」
「りょーかい」
俺は楓香に言われてみんなの後を追うようにして付いていく。ここからは下に降りていって最初の出発地点に戻る。そこがスタートでありゴールでもあるからだ。
「そういえば頂上に結構な人数が座っていたな」
「仕方ないよ。時々傾斜がキツイところがあったしね!だから多分疲れて皆アソコで休憩してたんだと思うよ!」
「なら僕達の班はなんでとしか言いようがないんだけど?」
「・・・・全員が会員だから他の生徒と比べて力がついてるのが原因だと思いますわ」
鳳凰がそう言うと全員が納得するように伸びた声をあげた。他の学科は分からないけど、交流科の生徒会は頻度は少ないけど動き回ることが多いし、風紀委員だと基本的に長い時間見回りをするからな。
「それにアタシ達の班は傾斜があるところは男子組が先に登ってエスコートしてくれましたからね」
「そりゃするだろ。怪我されたら困るしな」
「言われてますよ、天鈴さん」
「なんでそこで私に振ってくるのかしら?ナタリーさん」
当たり前な感じで返したら鳳凰がナタに煽られてるんだが・・・・。まぁ、女子には女子で何かあるんだろう。
そんな少し雰囲気が重くなったのを肌で感じながら進んでいく。そんなこんなで最終チェックポイントも通り越しゴールが見える。ゴール付近に置かれてある時計の時間を確認して驚いた。ほぼジャスト2時間くらいでまわり終えてるからだ。
「時間、ほぼピッタリだな・・・・」
「合ってて良かったよ。これで加点がどうなるかだね」
前の方で俺とぺぺで話しながら最初に入る。その後、後ろに続けて皆が入って完全にゴールとなった。中に戻ったら女子は座っててもらって男子でミネラルウォーターと飴を人数分受け取りに行く。受け取ってから戻って女子にも渡す。その頃には、少し重かった雰囲気も散っていて安心した。
「さぁ、生徒会組はこの後も仕事だから他の班が戻ってくるまでしっかり休んでおけよ」
俺が仕切るようにして生徒会組に呼びかける。生徒会組は各々自由にして返事を返すなり手を挙げるなりして応えた。俺も座ってミネラルウォーターの蓋を開けて飲む。その間にも徐々に他の班が続々と帰ってくる。
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