第22話 交流行事初日



交流会初日といえどすることは特にない。基本的に午前中はバス移動で時間が潰れて、こちらに来ても説明を行うくらいしかないのだ。精々、この後の交流イベントの1つであるキャンプファイヤーくらいだ。今、各学科の生徒会員と担当に当たっているグループ、プラスアルファとして有志の生徒が準備を手伝っている。基本的には教員や俺達生徒会員がどうしたらいいかを知っているため、その指示に従い行動していく。普通の学校と違い一学年の生徒数が2倍どころの人数じゃないためキャンプファイヤーの数も一つではなく複数個作っていく。


「んんぅ〜!終えたな」

「そうですわね。有志の生徒も沢山いて助かりましたわね」

「だな」


俺は体を伸ばしながら言う。隣にいた鳳凰が、キャンプファイヤーの配置場所が書かれたプリントを片手に言った。俺は生徒の様子を見ながら肯定した。


「神威、そろそろみんなの元へ向かいましょう」

「そうするか。楓香にまた絞められないといいけど・・・・」

「それは・・・・ナタリーさんがストッパーとして動いてくれることを期待しましょうか」

「・・・・ナタには悪いけどそうしてもらうか・・・」


鳳凰から提案された案に頷きながら最初の首を絞められたことを思い出し遠い目をする。それに対して鳳凰が苦笑いしながらナタに頼るしかないことを伝えてくる。


「まぁ、なるようになれだな」

「神威がそれでいいならそうしますわ」


俺達は指定されている場所に向かう。向かうと既に俺達生徒会組以外の班メンバーは集まっていた。


「お疲れ様、2人とも。神威にははいこれ」

「天鈴ちゃんにはこれだよ!」


戻ってくると同じ学科のルトとルーシャが俺達を労った。それと同時にルトが手に持っていた缶コーヒーを俺に投げてくる。俺は投げてきた缶コーヒーに対して右手を上から下に振り下げてキャッチする。そんな俺達に反してルーシャの方は手で渡しにきている。


「おにぃちゃん。明日以降ですることは?流石に今日はもうないでしょ?」

「鳳凰、どうだった?」

「今日はないですわね。明日はオリエンテーリングの準備くらいですわ」

「だとよ、楓香」


楓香がナタに手を掴んで抑えられながら聞いてくる。俺は一通り確認はしたがハッキリと覚えてなく、基本的に朝確認するため鳳凰に聞いた。鳳凰は俺と違いしっかりと覚えていたため答えられた。


「・・・・ねぇ神威。このキャンプファイヤーの目的って?普通最終日とかにやるもんじゃないの?」

「教員が言うには最初と最後にやるみたいだぞ。初日は俺達と違って教員側で組んだ生徒の交流のためらしいぞ」

「確かにそのことを考慮したら正しく思えるね」

「現に・・・・隣のキャンプファイヤーのあのグループとかな」


俺が説明して隣のキャンプファイヤーにいた一つの班を見据えて伝える。そこには、教員が作った雰囲気が見て取れるような感じをしていた。簡単に言うと少しぎこちなく話している感じだ。教員側で作られる場合あのようにどことなくぎこち無く会話していたり、雰囲気がなんとなく固くなるとのことだ。これはゼロ先輩の代やアリャン先輩の代もそうだったからそういうものみたいだ。


「あぁ、かいさんの言うことがよく分かりますね」

「確かに。・・・・少し雰囲気が固く見えるね」

「あの状態でこれからのイベントに参加ってなるとキツイな・・・・」

「教師陣は、あの雰囲気を少しでも緩和させたいだと私は思いましたわ」


俺がさっき思ってたことを他のみんなも思ったようで各自理解してくれた。俺が良かったなんて呑気に思ってると後ろにいたぺぺから全員に向けて・・・・というよりも俺と鳳凰に向けて聞いてくる。


「それなら僕たちは?既に仲が良いグループで作られたところはこの時間何したらいいの?」

「自由だとよ」

「えぇ。そう言われましたわ。そもそも、その母数が少ないのか仲が良い班はリーダー的な存在に当たる人が教員に呼ばれて説明を受けましたわ」

「まぁ、ぶっちゃけたらこのグループって他の班が可哀想になるくらいリーダー的存在が固まってるんだけどな」

「かいさん、そのリーダー的存在とはどうやって決められているのですか?」


俺と鳳凰がぺぺの方を向いて、ぺぺの疑問に代わり代わりで答えた。そしたら、その言葉の一部が気になったナタにさらに質問された。


「各班にいる各学科の生徒会員か風紀委員がそういう立場になるんだとよ」

「うわぁ・・・・そう考えたら神威の言うことが痛いくらいに理解できるよ」

「これはもはや可哀想どころの話しでいいのか・・・・?」

「あれ?でもおにぃちゃん。なんでおにぃちゃんと鳳凰さんがリーダー的立ち位置なの?別に私たちでも問題はないよね?」


楓香が首を傾げながら聞いてくる。確かに、俺達の班なら別に誰がリーダー的存在になっても問題は無い。その中で俺達2人が選ばれた理由を上げるなら・・・・。


「俺は交流科の生徒会と風紀委員をやってるからだろうな。鳳凰に関しては良くも悪くもゼロ先輩とアーシャ先輩の影響・・・・だろうなぁ・・・・」

「あぁ、納得できるねそれは」


俺が楓香の質問に答えて、ゼロ先輩たちの名前を出すと全員が納得の様子だった。ゼロ先輩とアーシャ先輩は他学科でも噂になるほどの実力だから、その二人に勧誘された俺達だったためしか言いようがない。


「まぁ、神威は僕のところでも噂されてるよ」

「あ、それ俺の言語科げんごかもだな」

「おにぃちゃん、私達料理科りょうりかでも噂されてるよ」


音楽科、言語科、料理科にいる3人からそんなことを言われて、同じ学科のルト達からは何したといった視線を向けられた。


「何もしてないからな!?そんな目を向けるな!?基本的に生徒会なら鳳凰と、風紀なら俺達3人で行動してるだろ!?」

「いやねぇ、だって神威だしねぇ・・・・」

「神威だからそう思いますわよ・・・」

「神威くんだからね!」

「俺だからってなに!?」


俺達、交流科組でギャーギャーと言い争いをしていると4人に止められた。物理的じゃなくて普通に話でだけど。


「悪い意味じゃないですよ」


ナタにそう言われて俺達4人はナタの方を見る。俺達はきっとポカンとしているだろう。先入観だが、噂と聞くとあまりいい方向に捉えることはあまりないからな。


「さっき、かいさんは生徒会と風紀委員に入ってると言いました。そして、先程名前が上がった交流科のゼアロ先輩。彼も5年生の時から両方に入っていました。そこから導き出される噂とは?」

「・・・・“後継者こうけいしゃ”という認識が1人でに・・・・神威や僕達の知らないところで広まっていったと・・・?」


ルトが思い当たった単語を口にした。“後継者”・・・・確かにそう見られても何ら違和感はない。周りからみたらゼロ先輩が見つけた逸材ともとれる人材だったわけか、俺は。


「そうです。それが出ていたのは新生生徒会及び新生風紀委員がちゃんと動き始めたところから広がりました」

「・・・・それだけならまだ分からないんじゃないか?」

「それがはっきりと形にしたのがこの前の体育大会に文化祭だよ。アソコで各学科の5年生やそれ以上は必然的におにぃちゃんに注目するようになった」

「“火のないところに煙は立たない”というわけか。ある意味墓穴を掘った感じかぁ・・・」


俺はナタと楓香の説明を聞いて納得した。いや、納得させられた。そりゃあ、他の学科の教員からも期待されるし生徒からもそんな目で見られるわけだ。


「私達の班って他の班と比べて教員の期待も自然と高くなったと見るべきね・・・・」

「まぁ、この班って交流科の生徒会と風紀委員に入ってる神威に、交流科の生徒会員の天鈴さんに風紀委員の僕とルー」

料理科りょうりかの風紀委員の私に生徒会のふうちゃん」

「俺も言語科げんごかの生徒会員だし・・・・」

「僕も音楽科の風紀委員になってるから・・・・会員の偏りが酷いよね」


・・・・改めて聞くとなかなかに酷いな。ほとんどの会員が混じってるこの班は。道理で最初に班で別れた時に噂されるわけだ。


その後も、お互いの学科のことを話し合ったり噂のことを聞いてるうちに今日という一日が終わった。



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