第15話 連戦



「ふぅ・・・・これで今日来ていた怪物は倒し終えた」


俺は倒し終えた怪物が燃えるように、塵になっていくのを見届けながら呟いた。月が空を、道を照らす時間帯である。今日も今日とて一般人や国に被害が及ばないように怪物を倒しきった。


たとえ、俺達が持つ神の力を持っていなくても強い怪物は強い。それこそ神の力を必要としなくてもいいやつもいる。今は落ち着いているのか、もし俺達が見過ごしていても問題ない怪物が多い。


まぁ、弱くても見過ごしたら都市伝説や怪奇現象、ポルターガイストとかいろいろ言われるけどなぁ・・・・と、そんなことを考えながら夜空を見るように首をあげていた。俺はそんなことを考えながら刀を腰の鞘に片そうとしていた。


「お前かぁぁぁぁ!!!!」


俺はもうすぐ、鞘に刀をしまいきれるといったところでそんな声を拾った。俺は声が聞こえた方へ顔を向けた。そこにはこちらに槍を向けて全力疾走してくるフードを被った人がいた。


その人はある程度俺に近づいたら飛び上がって俺に槍を向けて斜めに飛んでくる。俺は咄嗟にしまいかけた刀を勢いよく抜き刃の向きを上にして攻撃を防ぐ。槍の切っ先と刀の刃の部分が触れ合い大きな音を立てて火花が散る。


俺は振り払うように右に薙ぎ払って槍と人をまとめて奥へと飛ばす。その人は振り払われて宙を舞ったが何事もなかったかのように両足で綺麗に着地した。その際に風が吹いたのかその人のフードがめくれた。めくれたフードの下には年はそこまで変わらないと思う男子がいた。彼は槍を斜めにしてこちらに笑みを浮かべている。


「な、なんなんですか!?急に攻撃してくるってどういうことですか!?」


俺は攻撃された腹いせなのか彼を捲し立てた。すると、彼は少し口角を上げては口を開いた。


「お前が敵側だって知ってんだよ!!さっさとやられろ!!」

「なんのことですか!?一体全体なにを・・・・!」


俺が言われたことに困惑している中彼は詰めてきて突き出してきた。俺は咄嗟に左に避けて躱す。俺は止めようと、話そうと試みようとしたが攻撃をドンドンしてくるため話すどころではなかった。


抗戦しないと殺られる・・・・・・!


そう思った俺は悪くないよな・・・・。怪物共と戦っているときよりも圧が弱くても十分に命のやり取りが行われるくらいの圧ではあったから。


そうして俺はただただ攻撃を躱す、または避けるだけでなく反撃をするようになった。もちろん向こうもただただバカみたいに攻撃をしてくるだけでなく防いでくる。お互いにダメージを与えることは少なく、与えるタイミングは基本、互いに攻撃をしたときに入れ違うようにして与えては与えられている。


ただやはり、武器のリーチとしては向こうの槍に分配があがるため彼に与えたダメージよりも貰ったダメージの方がどうしても大きくなる。


「なにが目的なんだ!?」

「オマエらを倒すことだよ!!」


俺達は戦いながら会話をしている。といっても会話というなの情報戦だけど。お互いにガキンッガキンッと武器同士が触れ合う度に火花が散っては街頭が照らす道をより明るくしている。


その後、お互いが力を入れて武器を振るった結果より一際大きな音と火花が立ちバックステップで距離を取った。


このままじゃジリ貧・・・・。身体強化させる?多分、このままじゃ武器のリーチの差で一方的にやられるのは目に見えてる・・・・。なら・・・・!


俺はそう考えては切っ先を彼の方へ向けて見据えた状態で言葉を唱える。


「誰よりも速く駆け抜けろッ・・・・!〈疾風迅雷しっぷうじんらい〉ッ!」


俺はよく多用する身体強化を使う。これは、日本の神界にて師匠に師事している内に身につけた日本式の身体強化。といっても勝手に俺が日本式と思っているだけだけど。身体強化といえども〈疾風迅雷しっぷうじんらい〉は体の身体強化ではあるが、速さに特化した身体強化。


俺は先程の倍のスピードで彼に迫る。彼は一瞬驚いた顔を浮かべたが、すぐに獰猛な笑みを浮かべた。俺はそれがとても不気味に思えた。


俺は近づいて刀を振りかざした。彼はスピードが上がった俺のことを見切っていたのか見事なまでに対応されて受け流された。俺は受け流されたためそのまま、その方向に向かって行った。俺はそのせいで隙ができ、その隙をつくように横腹に回し蹴りを入れられた。俺はそれにより飛ばされた。しかし、すぐに刀を地面に突き立て飛ばされすぎないようにした。

俺はペッと口にあった血を吐き出した。


加減していい相手じゃなかった・・・・!


俺は回し蹴りを入れられて飛ばされている最中にそう思った。そのため師匠から人に使うのは止められていた〈雷閃〉を使おうと予備動作に入った。


ごめんなさい、師匠・・・・。


心の中で謝りながら、俺は準備が完了したため彼に向けて雷閃を放とうと動き出した。彼も俺が大きい技を出そうと雰囲気で理解したのか彼も大技であろう技をこちらに放とうと動き出していた。お互いにこれが精一杯だろう。


お互いが共に距離を詰めて刀と槍が交差する!




と、いったところで俺達は黄色の鎖によって動きを拘束された。


「なっ・・・・!?」

「これは・・・!!!」


俺は咄嗟のことに驚き困惑した。しかし、相手は分かっているようで咎めるような声を張り上げた。


「2人ともダメですよ」


そう、柔らかく丁寧な声が聞こえた。俺は声が聞こえた横の方へと顔を向ける。そこには、ワンピースを着た同年代であろう女子がいた。


「ごめんなさい、雲龍くん。いえ・・・・全神々の愛し子と言った方が良かったかしら?」

「!?」


彼女は口に手を当てて艶やかな笑みを浮かべた。そして、彼女は一部しか知らないであろう情報を口にしてきた。俺は驚いたが、さほど大きな驚きではなかった。なぜなら、この鎖は魔術または魔法の類いだと拘束され触れられたときに分かったから。


「・・・・仲間・・・・と見ていいんですか?」

「えぇ。ごめんなさい、トアくんが。彼、シヴァ様から伝えられた最初の言葉だけを聞いてすぐにここに来てしまったから」

「つまり・・・・彼はインドの愛し子というわけですか・・・」

「えぇ。ちなみにわたしはケルトの愛し子ですよ」

「これで・・・・・・七つの有名な神話の愛し子が揃ったわけですか・・・・。そこに俺を含めた8人が各神話の愛し子」


俺は噛み砕いていき最後にまとめるようにそう呟いた。彼女はそれを聞いてにこやかに頷いた。そして左手を一振して俺達の拘束を解いた。俺達はお互いに地面に倒れかけたが彼女が魔術または魔法の力で補助に入りどうにかなった。


「悪かったな・・・・」


攻撃してきた彼はバツが悪そうに俺に謝ってきた。そうして、俺に手を出してきた。俺はその手を握り返しながら伝えた。


「いえ、大丈夫ですよ。そもそもの話しシヴァ兄さんが最初に伝えなかったのが悪いんですから」

「そういってもらえると助かる」

「ふふっ」

「なんですか?」


俺達が仲直りしていると急に彼女が声を出して小さく笑った。俺は不思議に思って首を傾げながら聞いた。


「いえ、ただシヴァ様やダグザ様が言ってた通り神々を身内のように捉えてるんだなと」

「・・・・悪いですか?」

「いえいえ。可愛いですよ?」


彼女にそう言われて俺はぶすっとした表情と声色で開き直った。すると彼女は否定して揶揄うように言ってきた。俺はそれにより顔を一気に赤に染めた。


「後輩を揶揄うな」

「あいたっ!む〜・・・・コミュニケーションですよ、トアくん」

「はぁ・・・・。悪いな、雲龍」

「い、いえ・・・・」


彼はそんな彼女の頭を軽くチョップした。彼女はそういいながらもいつもの事なのか流した。そのため彼が悪そうに言ってきた。俺は少し苦笑いしながら伝えた。


「ところで後輩って・・・・?」

「あぁ。そういえば自己紹介をしてなかったな。俺は風紀委員所属、交流科6年のアリャン・ユーラスだ。“彗星”といえば分かるか?」

「えっ!?あの“彗星”ですか!?風紀委員、検挙数1のタッグ片割れの!?」

「えぇ。そして、わたしがその片割れでありパートナーの“星女”のミーシア・タールトンです。同じく交流科6年ですよ」

「は、はい!!な、なら俺も・・・・交流科5年雲龍神威です。生徒会及び風紀委員所属です!」


まさか、この2人が風紀委員のあの“期待の星”なのはとても驚いた。この2人は色んな問題をいち早く駆けつけては解決してくれるからいつの間にかそんな風に呼ばれていた。アリャン先輩はすぐに駆けつけるから“彗星”。ミーシア先輩はそんな彼と行動し聖女のように両者を慈しむことから聖女を合わせて“星女”と呼ばれている。


「ゼロさんとのアレは良かったな」

「み、見てたんですか!?」

「えぇ。これは期待できるってわたし達、先輩達の方で話題になっていたんですよ」

「そ、それはなんというか・・・・嬉しいような恥ずかしいような・・・・」


どうやらこの前の対処の様子を見られていたらしくそんなことを言われた。俺はそれにより少し恥ずかしくなって頬を赤に染めた。すると、ミーシア先輩が近づいてきて肩を掴んで一言。


「この子飼っていいですか?」

「!?」

「ミーヤ、やめろ。すまん、雲龍。ミーヤは度々こうなることがあってな・・・・」


アリャン先輩が俺からミーシア先輩のことを引き離しながら遠い目をして言ってきた。俺はそれを見て、色々と苦労してるんだなぁ・・・と思ってしまった。


「い、いえ。そ、それじゃあ今度、愛し子全員で会議するようにしましょうか」

「あぁ。そうしよう。連絡先を渡すからそれ関連以外でも連絡してもらってもかまわないからな。それこそ風紀委員のことでもな」

「はい。助かります」

「なら、わたしも交換しておいて損はないですよ」

「・・・・ですね。分かりました。交換しましょう」


そうして俺達3人は互いに連絡先を交換してから寮に向けて歩き始めた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る