第6話 寮での生活
俺達は家で保有している車で寮に着いた。寮と言っても一般的な学生寮という訳ではなくマンションのようなものだ。各部屋2LDKの寮である。男子棟と女子棟で分かれており各学科必ず1棟ずつはあって多い学科は数個保有している学科もある。俺が入ってる
俺と楓香は寮の入口に荷物を下ろしてもらってお互いに別れた。俺は下ろした荷物を前にしてルトに電話をかける。
「あ、ルト?帰ってきたし荷物運び手伝ってくれない?」
『あ。帰ってきたんだ。うん、いいよ。それじゃあ降りるから少し待ってて』
「助かる。報酬は菓子でいいか?」
『リクエストはするからね?』
「問題ない」
『なら、交渉成立ってことで』
そうして俺はルトとの電話を切る。寮には帰った人や新入生の荷物入れのために台車を貸し出している。俺はルトが来るまでに台車が置かれている場所に向かう。
台車を借りてきて荷物を纏めておいていた場所に戻ると既にルトが待っていてくれた。
「おかえり、神威」
「おう、ただいま。とりあえずダンボールとか乗せれるのは台車に乗せてそれ以外を持ってくれると助かる」
「分かったよ。どれから乗せていくつもり?」
「上にあるダンボールから乗せていく。んで多分1番上にそのバッグを乗せたらいい。後は手で」
「おっけー」
俺達はそうして上に重なっていたダンボールを持って台車に乗せていく。ダンボールを乗せきったら比較的平らな部分に残ったバッグを乗せる。
「後は傘とギターとキーボードだけ?」
「あぁ。俺はギター持つからキーボードお願い。傘は台車の取っ手の部分に掛けて運ぶから」
「おっけー。今度弾かせてもらうからね」
「そのために持ってきてんだから」
「ありがとね。日本のモノはいいからね」
「なら買えよ」
「したいんだけどね〜、日本には娯楽が多すぎるから足りないんだよ」
「あー、納得」
「でしょ?」
俺とルトはお互いギターとキーボードを入れたケースを肩から背負って台車を押しながらエレベーターに向かっていく。エレベーターの前に着いたら上の階層へと向かう三角マークを押して中に入る。
「楓香ちゃんも帰ってきたんでしょ?向こうは一人で大丈夫なの?」
「さぁ?でもアイツ自身が言うには友達呼んで助けてもらうー!って言ってたから問題ないだろ」
「それなら問題無さそうだね。神威と違って」
「おい、それはどういう意味だコラ」
「ご想像にお任せしますー」
「はぁ。まぁいいけどさ。で、リクエストは?と、その前に着いたし降りるか」
「だね」
俺達はエレベーターで上昇している最中に楓香のことを話しながら着くまでの時間を潰した。俺達は多少とっつきあいながら次の話題に移った。俺は対価の菓子を作るんだが、なにを作ればいいかルトに聞こうとしたが、ちょうどエレベーターが俺達の住んでいる階層に着いた。
「リクエストね〜。んじゃチュロスで。ホットチョコも」
「了解。スペイン風ね」
「そそ」
「ついでに日持ちするクッキーでも作ろうか。片手間で作れるし。それに・・・・・・いつも通り匂いにつられた先輩達も欲しがるだろうし」
「アハハ。そうだね」
「と、部屋着いたな。開けるから」
俺は部屋の前に着いたため一旦台車から手を離して部屋の鍵を使って解錠する。そしてドアを押して台車が通れるように開ける。開けたら台車を押して玄関に入れる。
「んじゃまぁ、台車から荷物下ろすか。ルト、このまま手伝ってくれ。荷物、どこに持っていけばいいかは粗方理解してるだろ」
「分かったよ。その分報酬多くしてよ?」
「あったりまえだろ」
そんな会話をしながら俺達は今度は乗せた荷物を部屋の中に入れては台所やリビング、部屋に持っていく。乗せていた荷物を各場所に置いたら、台所の荷物を開いて入れといてくれとルトに頼んで俺は台車を片しに下に降りる。
台車を返却して部屋に戻る。戻ると頼んでいた台所がしっかりと入れられていた。そしてそのルトは今リビングの小物を整理してくれていた。
「ルト、ありがと」
「いいよいいよ。これくらい。その分貰えるんだしね」
「そっか。後は俺の部屋と客間として使っているもう1つの部屋だけ?」
「といっても客間や神威の部屋はそこまですることないでしょ?せいぜい神威の部屋でクローゼットに服入れるくらいじゃない?それに帰る前に神威に頼まれていたからその2つの部屋の掃除はちゃんとしてきたからね」
「いや、ホント助かりました」
「こっちからしても対価として週1で神威が晩飯作ってくれるからいいのです!」
「なるほどな」
俺達は手を動かしながら言い合う。俺は断りを入れてから自室の衣類を整理するために部屋へと向かう。
俺は自室で衣類を取り出してハンガーにかけクローゼットに閉まっていく。下着類やタオル類はクローゼットの下に付いているタンスに入れていく。入れ終えたらケースに入れてあるギターとキーボードを立てて置く。
その後俺は片付けを終えたため自室から出てリビングに戻る。パッと見ルトが居ないと思ったら部屋にあるソファーに横になっていた。
「ありがとう助かった。コーヒー飲む?」
「もらうー」
「少し待っとけ」
ルトに聞くとルトはソファーに横になったまま左手を上げて答えた。その答えを聞いて俺はコーヒーミルとコーヒー豆を取り出す。コーヒーミルに豆を入れて挽く。ドリッパーに挽いた豆を入れて沸かしたお湯をそそぐ。そうしたら下に置いていたケトルにコーヒーが入る。落としきったらマグカップを取り出してそっちに入れ替える。
俺はマグカップに入れたコーヒーとシロップとコーヒーフレッシュ、砂糖を持ってルトの前に置く。
「はい、出来たよ。お好みでシロップとか入れて」
「ありがとー」
「飲んだらラウンジに行くから。そこにある共有キッチンで作るから」
「なら早く飲まないとね」
俺がルトに向けてそういうとルトはすぐに起き上がってコーヒーに全部入れて混ぜる。混ぜ終えたらすぐに飲みきって立ち上がる。
「よし、行こうよ」
「はや!?さっきできたばっかだから熱かったはずだけど!?」
「それは神威が猫舌なだけだから。僕はこれくらいの熱さなら問題なく飲める」
「猫舌で済まされるか・・・・?まぁ、そのマグカップを洗い場において水につけといて。後で洗うから」
「おけ」
ルトはそのまま台所に行ってマグカップを水につけた。俺はルトがそれをしている間に必要なものを取り出して手に持つ。
俺達はそれを持って寮の端にあるラウンジに行く。このラウンジは休憩室、共有キッチン、談話室といった多岐多様にある。俺は荷物を持って共有キッチンに向かう。今日は休憩室として使ってる人が多く見える。
俺はそれを横目に共有キッチンに入って使い始める。ルトは邪魔にならない場所に居て作っている様子を見ている。俺は手際良くチュロスの材料を測っては作っていく。その傍ら、クッキーも作っていく。
クッキーを冷蔵庫に入れて少し置いておくといった工程になるとタイミング良くチェロスの生地が出来そうだったのでルトにクッキーの生地を冷蔵庫に入れてもらった。
それを確認してチェロスの残りの工程に入る。チェロスの生地をホイップクリームとかで使われる星口金が先端に着いてある絞り袋に入れる。そして絞り油の中に入れていく。後はある程度出来たら先に用意しておいたシュガーに付けて完成だ。
「ほら、ルト。出来た」
「おー、ありがとう!早速もらうね」
ルトはそういってホットチョコに付けて食べていく。その様子を見ていたら奥から先輩が近づいてきた。
「やぁ、ルトに神威」
「ゼロ先輩?」
「神威、いいなら作った菓子をくれないか?他の奴らがうるさくてうるさくて」
「あー・・・・・・お疲れ様です。一応チュロスとこの後クッキーも焼くつもりですけどそれも入ります?」
「神威がいいならもらってもいいかな?」
「いいですけど・・・・・・アーシャ先輩も呼んでくださいよ。この前学校で会った時に女子の方もそんな感じでって言われたんだ」
「はぁ・・・・男子にはよく伝えておくよ。分かったよ。アーシャに連絡して入ってきてもらえばいいね?」
「はい、それでお願いします」
そうするとゼロ先輩は少し離れて電話をし始める。アーシャ先輩が相手なんだろう。いやはや、ホントあの二人はお疲れ様です。お互いが中等部一年の委員長兼生徒会だから苦労も多いんだろう。これで多少緩和されて欲しいといつも願っている。
そんなことを考えていると話し終えたゼロ先輩がこちらに戻ってくる。
「アーシャもすぐに来るって」
「良かったです。これで俺が向こうから文句を言われずに済みます」
「・・・・・・すまん、僕達の学年が」
「いえ、好きでやってるので」
「ありがとう」
「あ、クッキー焼いてきていいですか?もうそろそろ冷蔵庫から取り出して焼く時間なので」
「行ってきなよ神威。ゼロ先輩もこんなことで止めることはないだろうしね」
「あぁ。行っていいよ」
「それでは失礼します」
俺は一言断りを入れてから冷蔵庫に向かう。冷蔵庫を開けてクッキーを取り出しオーブンに入れる。後は焼けるまで待機だ。ちゃんと電源が入ってるのを確認してキッチン側で完成するまで待っておく。その間に余っていたチュロスを完成させて二つの袋に分けてまとめて入れる。
時間が経てばオーブンから音が鳴り開けてクッキーを置いていたトレイを取り出す。そのうち1個を食べてみて問題ないかを確認する。食べて問題がなかったため、また二つの袋に分けてまとめる。それを持って俺はルト達がいるところへと戻る。
戻ったらルトとゼロ先輩。それに先輩の女子がいた。きっとアーシャ先輩が来たんだろう。少し待ってもらえばクッキーが出来るからタイミングが良かった。
「アーシャ先輩」
「あっ!神威君!ごめんね。急に貰うことになっちゃって・・・」
「気にしないでください。元はと言えばそちらの男子が秘密にしていたことが問題なんですから」
「悪かったって・・・・。なんなら僕知らなかったんだし」
「次からは無いように先輩達に言っておいてくださいよ」
「・・・・・・肝に銘じておくよ」
俺は先輩二人にそういいながら纏めたチュロスとクッキーを入れた袋を渡す。
「そこまで多くないと思うので取り合いなるかもしれませんがそこんところはお願いします」
「あぁ。こっちから頼んだんだからね。それくらいはやるよ」
「そうだね!私も女子達に言い聞かせておくよ」
「はい、お願いします」
俺は渡した後先輩に忠告する。そしてその事で任せっきりになってしまうので俺は頭を下げた。その後頭上げる。
「ところでゼロ先輩?僕達に何か別件があるって言ってたけどそれは?」
「?そんなものがあるんですか?」
「そうだね。神威にルト、二人とも今週の金曜。放課後、時間あるかい?」
ゼロ先輩にそう言われて俺とルトはお互いに顔を見合わせて頷く。
「俺はあります」
「僕もありますよ」
「なら放課後僕達の教室に来てくれないかい?」
「交流科中等部1年の教室にですか?」
「そうだよ」
「分かりました」
「ありがとう。それじゃあ僕達はこれで去るよ」
「それじゃあね。神威君にルト君。お菓子ありがとうね」
俺達はそろって返事を返した。するとゼロ先輩は微笑んで去っていった。アーシャ先輩も俺に礼を言って去っていった。
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