第2.5話 イタミドメ

 押したくないナースコールを真夜中に押す

 病室のライトが点く

 相部屋の患者の咳払いが痛い


 折れた足が氷のように冷えて凍傷のように痛む

 骨にネジ止めした金具とプレートが熱く疼く


 痛み止めの錠剤は気休めだが飲んでいる

 それでも深夜になると必ず痛みが増す


 無表情な看護師が来る

 どうしましたか 


「痛みます。すみません」


 先ほど強い薬を点滴したんで、もう出せません


「そうですね。すみません。弱い錠剤で良いので、下さい。気休めでもないと、泣き叫びそうです」


 わかりましたと、看護師は薬を取りに行く


 数十分、中空をかきむしりながら待つ


 いっそ心臓が止まる薬をくれればいいのに


 いつまで痛みは続きますか?

 ボルトやプレートが入っている間、ずっとですか?

 という事は、一生ですか?


 そんな事はない、あちこち折れている骨がすべて

 接合すれば、痛みは減るはずだと医師はいう


 看護師が、カロナールを持ってきた


 飲んでも大して効かないが、100の痛みが90になるだけで、今はいい


「ありがとう。お騒がせ、しました」


 消灯。

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