祖父が経営する喫茶店は主人公にとって安らぎの場所だった。しかし、祖父が亡くなり、途方にくれていた。そんな時に――。
優しい温かな筆致の文章で綴られていく本作。とても心が温かくなりました。
今は亡き祖父がとても素敵な人柄で、コーヒーミルを引いている様子、穏やかに笑っている様子が脳裏に浮かびます。
ハーデンベルギアの花言葉も素敵に効果を出していて、これからはじまるであろう幸せな未来を思い浮かべることができました。
優しくほっとできる素敵な作品です。
コーヒーの香りが漂ってくるような、そんな素敵な物語をぜひ読んで見て下さい。
きっと心が温かくなりますよ。
オススメです!
ウチから読者さんに紹介するね。
『珈琲を一緒に』は、純喫茶の“静けさ”をそのまま物語にしたみたいな現代ドラマやで。
大切な人を失って、店も心も閉じてもうた主人公の前に、ある日ふっと「祖父に救われた」と語る青年が現れる――そこから、止まってた時間が少しずつ動き出す気配が広がっていく。
派手な事件で引っ張るんやなくて、光の差し方、音の粒、コーヒーの匂い……そういう生活の手触りで読ませてくるタイプ。
疲れてるときほど沁みるし、読後に胸の奥があったかくなる短編やと思う。
◆芥川先生:辛口での講評
僕はこの作品を、喪失を「説明」ではなく「空気」で包もうとする試みとして読みました。純喫茶という器は、悲しみを保存するのに向いている。静けさが、かえって人の心のざらつきを照らすからです。
ただし辛口に言えば、本作は“整いすぎた優しさ”に寄りやすい危うさを抱えています。
読者は、救いに触れたい一方で、救いが滑らかすぎると疑いも抱く。現実の再生は、もっと生活の硬さや沈黙の重さを伴うものだからです。作品の美点が「清潔さ」であるがゆえに、もう一滴だけ「苦み」が欲しくなる瞬間がある。
それでも推したいのは、次の点です。
・場所の記憶が、人を起こすという主題が、喫茶店の質感と噛み合っている
・静かな語り口が、読者の感情を乱暴に掴まず、そっと手を取る
・象徴(花や店の空気)を使いながら、ドラマを大仰にしない節度がある
読後に残るのは、叫びではなく余韻です。だからこそ、日々の暮らしに疲れている読者ほど、この短編は深く届くでしょう。
……そして、あなたが静けさを信じ切れる書き手であることも、僕は好ましく思います。
◆ユキナの推薦メッセージ
この作品のええところは、「泣かせに来る」んやなくて、「読者の横に座ってくれる」感じがあるとこやねん。
純喫茶の空気に包まれながら、喪失のあとに残る“空白”をそっと撫でてくれる。
短編で、静かな気持ちになりたい人。
あったかい飲み物みたいな読後感がほしい人。
そんな読者さんに、ウチはおすすめしたいで。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。
昔ながらの雰囲気漂う純喫茶、いいですね。
コーヒーの良い香りが漂い、落ち着いた店内の雰囲気がゆったりとした癒しの一時を演出するようで、とても心安らぐ空間です。
しかし、こうした個人経営の喫茶店というものは、どんどん数を減らしてきています。
時代の流れというのもありますが、高齢化と後継者不足もなかなかに深刻な問題です。
本作の純喫茶も、ご高齢のご主人が亡くなってしまいさてどうしようという状況です。
本来なら頼れるはずの両親は店に対して思い入れがないのか、無責任にも外国で悠々自適な暮らしで我関せず。
この辺りの希薄さが何とももの悲しさを感じます。
しかし、途方に暮れる主人公の下に、運命的な出会いは訪れ、時は再び動き始めます。
コーヒーを飲んだ後の豊かな余韻のように、物語の含みが抜群の本作。
是非ともコーヒーとともにお楽しみください。