第30章(最終話):俺たちの未来の確率は――『無限大(インフィニット)』だ

神との決戦から、一週間後。  世界は、何事もなかったかのように回っていた。


 空は青く、風は心地よい。  王都の復興は驚異的なスピードで進み、人々は再び笑顔を取り戻していた。  唯一変わったことといえば、空に時折、虹色のオーロラ(俺たちが放った一撃の名残)が見えるようになったことくらいか。


 そして――俺たちの拠点である豪邸もまた、平和とは程遠い「戦場」となっていた。


「ま、待てマスター! 逃げるな! 話は終わっていないぞ!」


 シルヴィアが顔を真っ赤にして追いかけてくる。  彼女はいつものボンテージ風アーマーではなく、清純な白のワンピースを着ている(リリスに着せられたらしい)。


「だから、何の話だよシルヴィア!」 「せ、責任の話だ! あんな……魂まで預けろなんて言われて、私が……その、意識しないわけがないだろう!」


「合理的見解を述べさせてもらうと」  横からルナが割り込んでくる。 「魂の融合率は私が一番高かったはずだ。つまり、遺伝子レベルでの相性は私が最適解(ベストマッチ)。よって、子孫繁栄の実験は私と行うべきだね」


「実験台にするな!」


「む〜! ポムも混ぜるのじゃ! ご主人はポムの所有物(おやつ)なのじゃー!」  ポムが俺の足にしがみついて離れない。


「あらあら、随分と人気のようね、相棒?」  リリスが空中に浮遊しながら、楽しそうにワイングラスを傾けている。


「皆様、落ち着いてください」


 そこへ、アリスが冷静な声で割って入った。  彼女の手には、分厚いスケジュール帳が握られている。


「マスターの身体は一つです。よって、公平な『ローテーション表』を作成しました。月曜はシルヴィア様、火曜はルナ様、水曜は……」


「なんでスケジュール組んでんだよ! 俺の人権は!?」


 俺はリビングのソファに倒れ込んだ。  世界を救った英雄の扱いがこれだ。……まあ、悪くない気分だが。


 ***


 あの後。  俺たちは「エデン」の管理者権限を掌握した。  だが、俺は「新しい神様」になることを拒否した。  そんな面倒な役職、ブラック企業(勇者)と変わらないからな。


 代わりに、俺はシステムを大幅にアップデートした。  『勇者と魔王の対消滅システム』を廃止。  代わりに、世界中に溢れる魔素(穢れ)を、自然循環させてクリーンエネルギーに変える『魔力循環プラント』を構築したのだ。  もちろん、そのコアには俺のガチャ産アイテムの技術と、ポムの胃袋の理論が応用されている。


 世界は、もう誰かの生贄になる必要はない。  自分たちの足で、勝手に歩いていける。


「……で、これからどうするの? ニート生活?」  リリスが俺の隣に座り、顔を覗き込んでくる。


「まさか。……金はあるし、名声もあるが、まだ足りないものがある」


 俺は立ち上がり、窓の外を見渡した。  広がる青空。その向こうには、まだ見ぬ大陸や、未開のダンジョンが広がっている。


「俺のスキル『確率視』と『ガチャ』。……こいつらの可能性は、まだ底が見えてない。世界中を回って、もっと面白いもんを引いてみたいんだ」


 俺の言葉に、全員の目が輝いた。


「ふふ、付き合うわよ。私の『闇』が必要なんでしょ?」 「当然だ。騎士として、最後までマスターの盾となろう!」 「未知のデータ収集……ボクの知的好奇心が疼くね」 「美味しいものがいっぱいあるなら、どこでも行くのじゃ!」 「当家の掃除範囲を『全世界』に拡張します」


 頼もしい奴らだ。  俺はニヤリと笑い、空中にウィンドウを出した。


 【目的地設定:未踏の大陸『アトランティス』】  【推奨レベル:測定不能】


「よし。次の冒険の準備だ。……まずは、旅の安全と幸運を祈って、景気付けといこうか!」


 俺は全員に向かって手を差し出した。  みんなの手が、俺の手の上に重なる。


「いくぞ! 俺たちの未来の確率は――!」


 俺は高らかに叫んだ。


「――無限大(インフィニット)だ! 確定演出(レインボー)、カモンッ!!」


 光が溢れる。  それはガチャの光か、それとも俺たちの未来の輝きか。  どちらにせよ、ハズレなんてありえない。


 だって、俺が引くんだからな。


 最強の「召喚士」と、最高の「美少女ハーレム」の冒険は、まだ始まったばかりだ――!!


(全30話 完)

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ガチャ運ゼロの俺が異世界転生したら、確定演出が見えるようになった件 〜ハズレ枠の「召喚士」が、確率操作でSSR美少女たちを無限回収して最強ハーレムを築きます〜 RIU @riu48

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