第7話 ~一波万波~

とり仁には馬串はない?

トリじぃが絶対に🏇は食べないし、食べさせない?

理由は知らないが・・・?


退院祝いだと言ってトリじぃが奢ってくれた。


「いいよ、払うよ」って言っても

トリじぃは絶対譲らない!

(一度、口に出したら絶対に曲げない)


この頑固、親爺は・・・。


俺は、店の寮を出ることにした。

退院の日の朝、こんなやり取りがあった。


「しんちゃん?お店の寮に帰るの・・・?」


「うん、そのつもりだけど、そこしか寝るとこないし。」


「そっか~、舞はまたひとりか~」

(何を言いたいんだ・・・?)


「あのね?しんちゃんが、もしよかったらだけど・・・だよ?」


「うちに来ない?しんちゃんさえよかったら・・・」


舞は首から下げた、十字架を握りしめてる。


(まだ、一人になるのが怖いんだ・・・。)

(ここで俺はなんて言ったらいいんだ~?)

(よ~し!ここはひとつ!おちゃらけでいくか~)


「いいよ!行く!」

「舞がほら、お世話するって言ってたし?」

俺は股間を指さして言った!


「バカ!それは、病院だけでの話だよ~」

(笑った、舞が嬉しそうに笑った)


俺は舞の部屋に住むことにした。

(また居候か~ま、いいか?今は・・・。)


トリじぃに甘えて飯食って、少し酒飲んで、

舞の部屋に帰ることにした。



四つ目の駅、忠円寺で降りて舞のアパートに向かった・・・。


酒はもともと強くないから少しで酔いが回る、

そんな言い訳をしながら・・・。


「酔った~寒い~」って舞に抱き着きながらアパートへの道を歩いた。


「ま~いちゃ~ん、お帰り~」

アパートの前についたとき、男が車から出てきた。

(誰だ?こいつ?)


「店長?何でここに・・・?」

舞が働いてた店の店長が待っていた。


「舞ちゃん、ずいぶん待ったよどこ行ってたの?」

「一週間以上も帰ってこないんだもん」

「そこの?兄ちゃんといいとこにでも行ってたん?」


「なんなんですか?こんなところまで来て、何の用ですか♯」

舞は俺の背中に隠れるようににして答えた。


この男は俺が刺された事件は

舞が原因だと噂が広がり。


多大な損害が出たから、働いて埋め合わせしてもらわないと

舞に詰め寄って来た。(筋違いの嫌がらせだ♯)


「そんなの関係ないじゃないですか♯」

「だいたい、前からあの客は嫌だって言ってたのに♯」


「本番させろってしつこいから、断って、て言ってたのに♯」

舞は震えながらまくしたてた。


「そりゃ~大金払ってくれる大事な常連さんだからね~」

「まいちゃんのせいで評判がた落ちだよ」


「女の子も辞めてくしさ~、客も減っちゃうし」

「まいちゃんには今度はソープの方で

稼いでもらうしかないな♯って事になった訳」


「そうでもしてもらわないとね~♯さ~行くぞ♯」

そう言って舞の腕をつかんできた。


俺は・・・。



「これでいいだろ♯」

残ってた100万の束を男の口に突っ込んだ♯


男は「てめ~なにしやがるんだ~」って叫んだが

札束を見て??面食らってる。



「ア、 ハッハッハ」って笑い声が聞こえた。

次郎さんだ!

次郎さんが車から降りてきた。


「シンザ、つくづく金に縁がねぇな~お前は!」


「次郎さん?なんでここに?」


「退院したって聞いてな、飯でもと思って来たんだが・・・。」


「面白そうだったからちょっと見てた(笑)」


「おい、そこの?こいつらのケツ持ちは俺なんだが・・・な。」

「てめんとこはどこだ~~?」


次郎さんは男に発した。

(相変わらず静かだが重い)


男は

「次郎?え~!ひょっとして鬼次郎~~さん」


「おいおい、初対面で呼び捨てか~♯」


(あとで、さん付けしたけど・・・一応)

「で、どうすんだ?これ以上、まだ揉めるか?」


次郎さんは理不尽な筋違いな要求だが?

それを持って帰れ、そしてこれ以上二人に関わるなと・・・。

男に言い放った。


素直に金を持って男は帰って行った。

(おいおい、こんな時の「覚えてろよ~」は?言えるわけないか)


次郎さんは金なんか払う事は無いんだが

自分の目の届かないところでまた、事が起きないようにと

考えて金を受け取らせたと話してくれた。


「起こった後ならどうにもできるがな(笑)(笑)(笑)」

(やっぱ恐ぇ~な次郎さんは)


「助かりました、次郎さん。でも何でここに?」


「俺は何にもしてね~よ」

「シンザお前が最後に残った百万でケリ付けたんじゃね~か」

(え?最後の100万って、なんで知ってる?)


「平から聞いたよ、心三朗。」


「あいつ(平)とはガキの頃からの幼馴染みでな」

「あいつは頭良かったから大学まで出て今じゃ~不動産会社の社長さんよ」

次郎さんは平さんから俺たち(舞)が店の家賃を払ったことを聞いたらしい。


先輩の持ち逃げした500万


店の家賃に400万


舞の店の店長に100万


もらった示談金。


きれ~に無くなったな。って

次郎さんは笑って話してる。

(ほんとにそうだ?俺?金に縁がね~や)


(かぁちゃんの名前だけだな、縁(ゆかり)があるのは・・・。)


次郎さんは、

俺にお前がしたことは

なかなかできる事じゃない・・・が


人は“恩”と言う物を忘れる生き物だ。


平気で後ろ足で砂をかけるようなことをするのがいる


「お前がした事が無駄にならなきゃいいがな」

そんなことを言って封筒に入った20万を


「退院祝いだ!次郎の“2”だ(笑)」

(時々つまんない冗談を次郎さんは言う、リアクションに困るわ!)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


そんななんかで俺と舞のド・ウ・セ・イ生活がスタートした。


大晦日の夜、久しぶりに“スッキリ”して寝た俺の前に

これまた、久しぶりに前(前世)ちゃんたちが現れた。


前ちゃんは

「心三朗、お前がした事に俺たちは何も言う事は無い・・・。」


「あれが正解なのか?不正解だったのか?」

「そんなことはわからないし答えも知らない・・・。」


「ただ、俺個人としては“よくやった”と心三朗を褒めてやりたいとは想う」


「愛・が・とう・・・。」

俺は寝ぼけと余韻のニヤケが混ざって答えた。


その時、目が点になった!


「来(来世)ちゃん?車いすは?立ってるじゃん」

来世は車いすではなく両足で立ってる。

(???なんで?足悪くなかったの?)


訳が分からないが何か嬉しかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。


舞と俺は

「こんなに混んでてご利益あんのかよ♯」


お賽銭はドでかいシートに向かって、

遠くから投げなきゃいけないし、

(前の方で頭に賽銭当たってる人沢山いるし・・・。)


神様もこんなに多い人の願い事なんか、覚えられんのか?


そんなことを思いながら“初詣”ってのに初めて女と行った。

(昔、かぁちゃんと行った小さな神社ことを

なぜか?思い出してた)


こうして・・・。

僅か7日間しかない昭和64年が始まった。


昭和64年1月5日(木)

俺は店に行った。


今日から営業だ~

(嫌な予感がした・・・。)


ドアが開くのか?開いたとしても、もぬけの殻?なんてことが・・・。


「しん、おめでとう!」

「しんちゃん、明けましておめでとう。」

店長とママ、そしてチーフもいた。

(よかった~考えすぎた)


「おめでとうございま~す。」

「今年もよろしくおねがいしやっス」

(久しぶりにテツの口調だ)


頑張ろう!


居なくなった人たちの事は忘れてこの店を守っていくしかない!

そう“覚悟”を決めて働きだしたんだが・・・。


舞は志保ママの店で働きだし、終わったら“とり仁”で飯食って一緒に帰る。


昭和天皇が亡くなって“崩御”という事と“半旗”ということを知ったくらいで

これという事も無く、何気ない日々が楽しく過ぎていた。



平成元年の1月が終わる日・・・。

いつものように俺は店に出勤した。


店に入るとチーフと見知らぬ二人の男ががいた。

チーフはママがここの店の権利を売って、

店長といなくなったとうなだれてる。


この二人の男は権利を買ったやつだそうだ。

(またかよ♯まさに2度ある事は3度あるじゃねえか~)


次郎さんがあの時に言った

「・・・平気で後ろ足で砂をかけるようなことをする」

あの言葉を思い出した。

(次郎さんは、こうなる事を予想してたんだな)


(ホント、笑うしかね~な、これ♯)


後で分かったことだが

こんな広い店はもう無理だからと

新しく少し小さい店で出直したいと・・・。

その資金にと、ママは権利を売ったらしい・・・。


平さんは俺が守ろうとした店だからと

その権利を買い取ったらしいが・・・。

俺は無職になった。

(これが?途方に暮れるってことか・・・。)


とり仁で弱い酒を飲むしかなかった。

トリじぃは「まさに、踏んだり蹴ったりだな(笑)(笑)」

頼んでもいない焼き鳥を次から次に焼いてくれた。


「ガラ・ガラ~ギ~ガッ。」

すべりが相変わらず悪い扉が開いた。


「エンジェルちゃん!参上~!」

舞が酔っ払って敬礼して入って来た。


次号、次郎の過去とは・・・。

外伝 一諾千金~手紙

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