第6話 ~多事多難~

「荷物、これで全部だよね・・」

ようやく俺は退院する日を迎えた。


「な~に、うれしそ~にそのマフラー一番に巻いて♯」

志保さんが見舞いに来てくれた時俺にくれた

クリスマスプレゼントのマフラー。


目の前が暗くなった?

舞がいきなりフルフェースのヘルメットを被せてきた。

「ふん♯」って・・笑ってる。

(なんか、うれしい・・・。)



(そういや、前ちゃんたち、あれから全然現れないな?・・・。)


退院したことを知らせるために“パブラウンジMare(メア)”に行った。

俺の働いてる店だ。(Mare?雌馬って意味らしい)


「退院、し・や・し・た・よ~。」

「明日からでも、また奉公させていただきやす!」

(テツの口調が耳に残ってた)


店の準備で店長やチーフたちがいるだろうと思ってはいたが

なんか?ママもいる?(こんなに早い時間に?)


店長たちはソファーに座り

その前には二人の男が居た

(なんか?ちょっと?変だな・・・。)

俺の顔を見ても何も言わない。


「滞納してる、ここの家賃払ってもらわないと」

「これ以上はいくら何でも無理ですよ、ママさん、店長さん♯」

一人の男が丁寧な話し方だが語尾が強い。


「どうします?」

「権利売ってでも清算してもらいますよ」

男たちはさらに詰めよってる。


「溜まった6か月分の家賃とカラオケのリース代」

「親父がいや、うちの社長が昔からの知り合いだからって」


「ここまで待って、やったんですよ♯」

男たちはさらに詰めよってる。


ママと店長はうなだれてるだけで、言い返せない。


「店長、ママ?何なんすか、これ?」

オーナーとチーママが売上持っていなくなったと・・・。

(今度は、こっちかよ!)


「家賃払って無いて、どういう事っすか?」

「あと三日しかないんですよ今年♯、三日でそんな・・・。」

俺はちょっと♯怒ってた、大きい声を出すと

まだ、傷口に響く。


「ん?お前誰だ~・・・。」

「あ~刺されたっていう間抜けなボーイさんか?」

(こいつら?やくざか?)


(話し方が俺にだけは、やけに荒っぽい・・・。)



「い、幾らなんですか?たまった家賃♯」

舞がいきなり言葉を発した。

(なんか?怒ってる?舞・・・?)


「なんや?あんたが払ってくれるんか?ね~ちゃん。」

「でなきゃ!口挟むな♯」


「だから?幾らなんですか♯」


「あ~♯しめて、合わせて400だよ♯」

6か月分の家賃とカラオケリース代合わせて400万。

(そんなにためてたんか?)


「これでいいですね♯」

舞はバッグから四つの束を出し男の前に置いた。


「え~舞、その金は・・・。」


「いいの、しんちゃん。ここが無くなったらしんちゃん困るでしょ」

「そりゃあそうだが・・でもその金」


「ここに、しんちゃんがいたから・・この店にいたから・・・

働いてたから・・だから・・私を助けてくれたから」

舞は涙を浮かべて俺に言った。


ママと店長は驚いてるのかホッとしてるのか?

二人は手の平を合わせて顔を見合わせてる。


「いいのか?そこのボーイさんは・・・。」

「うちとしては金の出どころは関係ないんだが?」


「しんちゃん、お願い助けて・・・。」

「少しづつでも返していくから・・・」

ママは俺と舞に向かって懇願してくる。


「ホントにいいの?舞?」

舞は俺の顔を見て2回、うなずいた。



「でもな~ねぇちゃん!」

「ママさん、店長さん、それにボーイ君?」


「たまった家賃はこれでいいんだが?」

「家賃っていうのは、前家賃が常識なんだよね!」

「営業続けたいんなら来月分の家賃もきちんと入れてもらわないと?」

その時だった。


カラオケルームのドアが開いた。

(カラオケ嫌いの客もいるから、

店にはカラオケルームという別室がある。)


「拓望(タクミ)、そのくらいで止めておけ!」

(平さんだ、カンピーの平さんだ。なんで?)


「親父!あ、いや社長。」

(え?社長?)


「シンザ、悪かったな、見舞に行けなくて・・・。」


「俺も、あれだ~入院してたんだ・・・あれで・・・。」

平さんは同じ時期、あっ痔の事で入院してたらしい。


「あ、いえ、そんなとんでもないです、見舞とか・・・。」

俺はやっと判った。


平さんがこのビルのオーナーで社長なんだと・・・。

(だからHEIWA(平和)ビルなんだ)


「シンザ、前家賃は今回ばかりは待ってやる」

「そこのねぇちゃんと死にかけたお前に免じてな」


「だが、商売は商売だ♯来月中にはキチンと払ってもらうよ、ママさん」

ママと店長に向かって平さんは笑顔で声をかけた。

(笑顔の裏は恐ぇ~)

平さんの素顔か見えた気がした。


「・・・という事で、帰るぞ拓望!」


「シンザ、こいつは俺の息子だ。よろしくな!」

平さんたちが帰ろうとした時


「ちょっと待って・・・。く、ください。」

(舞?何言うんだ?)


「領収書!置いてってください!」


「( ̄∇ ̄😉ハッハッハ。)」


「しっかりしてんな!このねぇちゃんは、いい嫁になるぜ、心三朗!」

(おったまげた、門左衛門だ!)

俺は苦笑いするしかなかった。


平さんたちが帰った後、

何度も何度も俺と舞にママと店長は頭を下げた。


その後に店長から聞いた・・・。


俺が刺されたあの時・・・。


それを聞いて一番に店を飛び出したのは“平さん”だったらしい・・・。

(尻は痛いだろうに・・・。)


(平:「シンザ、心三朗。死ぬなよ!絶対死ぬなよ。

ごめんねーちゃん。俺がそばにいながら、

俺がたばこを頼んだばっかりに・・・。」)

・。

ママたちはとにかく気を取り直して頑張ると俺に誓ってくれた。

俺には今日はいいから、明日からまた来てと・・・。


少しでも稼がないと・・・。と。

(一番、辛くて怒ってるのはママだろうに・・・。)


俺と舞は店を出た。


腹も減ってたので、ケガする前にはほぼ毎日顔出してた

“焼き鳥 仁(ジン)”に行く事にした。

(冷っめて~よな!トリじぃ、見舞にも来てくれなかったし・・・。)



「おいおい、またかよ~。」店が閉まってる。

「トリ爺(ジイ)まで逃げたんかよ!」


「だ~れが?逃げたって♯」

後ろから後頭部を叩かれた・・・。左手で!


「トリじぃ~。」

(トリじぃは生きてた、逃げてなかった)


「じぃはやめろって言ってんだろうが♯」


トリじぃは競馬場に行ってたそうだ。


「勝ったんか?トリじぃ?」


「負けた!負けた!かすりもしね~♯」

「も~あん時の力(能力)はもうね~しな」ボソッとつぶやいた。

(ん?????)


負けが込んで、熱くなって、遅くなった・・・と怒ってる!

(俺のせいじゃないし)


「ん?シン、お前の女か?」

「そんなことね~か?」「

「シンが女とくるなんて、いままでね~しな。一度も!」


「しんちゃんの彼女です!舞っていいます。」

舞はニッコニコでトリじぃに話しかけた。

(俺が女と来たこと無いって聞いたからか?)


「そうか~シン!お前のエンジェルちゃんか~」


「そうです。舞はしんちゃんのエンジェルちゃんで~す」

「ピポピポ」

(・・・って森永?)


(ここで続くの?やっぱりコメディ?)



次号、心三朗と舞に降りかかるのは・・・。

第7話 ~一波万波~

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