第4話 ~悲喜交交~

「心三朗・・・しん・・・。」

(ん?声が聞こえた)


「前(ゼン)ちゃん?」前世だ。

俺は意識だけが目覚めた。


「心三朗、良かったのか?簡単に示談に応じて・・・。」

「信じられるのか?あの弁護士が言ったこと」


「金に目がくらんだのか?」

(半分当たりで半分違う)


「違うよ!舞のためだよ!」

「少しでも早く、終わらせて忘れさせたいんだ!」


「守れるのか?あの犯人がまた現れないという保証はないんだぞ!」

(確かにそうだ、親の目を盗んで帰国することも出来なくはない)


「守るよ!あの男からも、他の誰からも!何度でも・・・。」

(俺は酔ってた舞にも、こんな自分にも・・・。)


『覚悟』はあるのか?

強い口調で前世は聞いてきた・・・。



「・・・うん、あるよ!」

(“覚悟”昔、誰かにも言われた気がする・・・。)


舞は今日もソファーで寝ている。


俺の“M”用パンツを買いに行ったぐらいで外に出ることはほとんどない。

(一人でいるのがまだ怖いのだろうか?)


前世は何か言おうとしたが、

来世が左手にすがるように首を振って止めた。

二人は無言で少し口角を上げて消えた・・・。


どれくらいたったのだろう?


本来の意識が目覚めた。

遠くに見える山並みから朝日が差し込む。


ここは俺が刺された神武楽町からは一番近い小高い丘に建つ大病院。

(大都会にしては景色はいいな、さすがだな?あいつの親。)


トイレには行けるぐらいにはなったが、力を入れるとまだ疼く、


「コンコン・・・。」

ドアが静かに開いた。


入って来たのは志保さんだ。

志保さんは俺の店の上にあるクラブ「志艶-SHIEN-」のママだ。


とびっきりの美人で俺のあこがれの女性(ひと)だ。

(男なら一度は拝んででも、土下座してでもお願いしたいほどの女だ)


「心ちゃん、お見舞いおそ~なってごめんね」

「えらい目にあったな、もうすぐクリスマスやというのに」

「もう大丈夫なん?か?」


この人は少し京都弁らしい関西なまりの話し方をするが?

それも怪しい?謎が多い人だ。


「ん?心ちゃんの彼女?彼女おったんか?」

舞を見て言った。


「え、いや~」

「そうです!彼女です。それにもうすぐ嫁です」

舞の口調が強い・・・。(そこまで、付け加えるか~)


「そうか~心ちゃんにこんな可愛い彼女がおったんか~」

この一言で舞の機嫌が直った(やっぱコメディだな)


「それにしてもしんちゃんこの部屋高いんちゃう?」

「ビルみたいな大病院やし、しかも個室って・・・。」


実は俺も最初は手中治療室ってとこにいたんだが、

ここは神武楽町から一番近い救急を備えた病院という事も有り

酔っ払いや、けんかに事故と次から次へと運ばれてくる。


順番に大部屋とかに移されるんだが

弁護士が犯人の親の力でここに移したと言ってた。

この病院の経営にも関わってるらしい・・・。

(どこまで、金持ちだよ!ま、ただ、だからいいけど)

(うらやまし~~。)



「美味しい~😋」

「な、美味しいやろ!」

二人は“はす園万十”と“甘納豆”を食べながら楽しそうにお茶してる。


「志保さん、それ俺への見舞じゃないの?」


「そうや、でもしんちゃん、甘いの食べへんやん」


「そらそうだけど・・・。」

(じゃあなんで買って来たんやねん!)

俺まで、関西弁?


『ね~~~。』


って・・・。(二人は案外気が合いそうだ)


俺はまだ知らなかった。

これから突き付けられる“心根の答え”を・・・。


そんな時、ノックも無しに病室のドアが開いた。

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