2.ザ・ファズ:エピソード2
オーバーン・グレシャム地区のシカゴ市警察がシカゴ・スピリットに惨敗した日の後日、FBIの部署である異常事件課のジェレミア・シメリアン特別捜査官は白人男性の白黒写真を眺めていた。資料室の壁に立てかけられた磁石式電話機がベル音を鳴らした。特別捜査官は受話器を持ち上げ、応答した。
「こちらは連邦捜査局異常事件課。」
「こちらはシカゴ市オーバーン・グレシャム地区警察署警部補のウッディ・トールマンだ。」
「警察署か。ジョン・デリンジャー容疑者を捕らえたのか。」
「いいえ。緊急の用で異常事件課に電話を差し上げる行動に至った。昨日、シカゴ・スピリットにより警察署が甚大な被害を受けたため、被害報告をする次第。」
ジェレミア・シメリアン特別捜査官はテーブルからメモ帳とペン入れからシャープペンシルを取り出し、受話器を頭と肩に挟んでから、メモ帳を壁に置いた。
「資料室の資料によると、巡査は全員死亡していて、ロイヤル・グリーンフィールド巡査部長も死亡している。また、警部補も全員死亡している。ア、アイゼンバーグキャプテンまで…。キャプテンも全員死亡している。指揮官やコーディネーター、ディレクター、監督管理アシスタント、人事サービス管理者も死亡している。警視副補佐は頭部に外傷あり。死亡と見られる。署長は署外で臓器を抉り取られ死亡してい…」
「1人ずつ言われても分かりずらい。これだから警察は。残りの警視補佐と副警視と警視は死亡したのか?」
「アーノルド・ランドルフ副警視を除き全員死亡している。」
「何故、副警視だけ生存している?上層部は片っ端から殺害されてもおかしくないはずだ。」
「出勤記録を見てみる。」
「出勤記録によると、アーノルド・ランドルフ副警視はシカゴ・スピリットが襲撃された日だけ出勤していないことが分かる。」
ジェレミア・シメリアン特別捜査官は何かを察したような顔で言った。
「奴は裏切り者で、シカゴ・スピリットに警察内部の情報を提供してた可能性が高い。」
ウッディ・トールマン警部補は無言のまま応答しなかった。
「何か返事でもしたらどうだ?」
「応答せよ、ウッディ・トールマン警部補。」
「察しが良い。流石はFBIだ。」
何者かが応答すると、彼は壁掛け電話を銃で破壊した。ジェレミア・シメリアン特別捜査官の耳には銃声が鳴り響いた。
その時、資料室の扉が開いた。扉を開いた者は、ウィリアム・フリン長官だった。ウィリアム・フリン長官は恰幅が良く、威厳のある雰囲気を醸し出していた。彼の顔は丸みを帯びており、濃い眉の下にある目が力強く、鋭い印象を与える。彼の髪は黒く、七三分けに整えられていた。彼は、上唇の上に、手入れされたカイゼル髭を生やしており、これが時代の特徴と個性を際立たせている。彼は特別捜査官を呼び出した。
「今の音は銃声か?」
マクリントック特別捜査官は驚いたような目でウィリアム・フリン長官を見つめた。
「長官。何故、この部署の資料室にいらっしゃられた?」
「ジョン・デリンジャー容疑者の居場所が特定されたから、君にその捜査を願いたく来た次第だ。それで、さっきの銃声は何かね?」
「特に支障ありません。」
「どこに銃がある?」
「シカゴ市オーバーン・グレシャム地区警察署警部補と連絡を取り合っていたところ、彼が何者かに襲撃され、その際に向こう側から銃声が鳴った次第です。」
「宜しい。私は、この後、ブラッド・アトウォーター副局長とSCP財団で会議がある。ジョン・デリンジャー容疑者の居場所や詳細なデータについて記された資料は棚に入れておく。私が会議室に入室した後、会議室の外に立ち周りを監視するように。」
ウィリアム・フリン長官は、資料室を後にし、階段を登って事務所の最上階に上がった。彼が階段を上がる音が廊下に響いていた。彼は、会議室に入室した。会議室には、3人分の椅子が置かれていて、中央には広いテーブルが置かれていた。SCP財団のトニー・ジャックマン博士はテーブルを指で叩きながら、彼が座ることを待っていた。彼の向かい側にはブラッド・アトウォーター副局長が座っていた。彼は挨拶をした。
「本日は、会議にお越しいただき感謝する。」
トニー・ジャックマン博士が発言した。
「今後のSCP財団とFBIの関係性について本日は話し合う予定だ。両者間違いないな?」
両者は首を縦に振った。
「引き続きSCP財団とFBIは協力関係を保持していきたいとは考えているものの、時々、FBIの異常時間課の行動が我々の任務に支障をきたす場合がある。」
ブラッド・アトウォーターは口髭を触りながら言い返した。
「例えば?」
「エージェントと話がしたい。エージェントを招いてくれ。」
ブラッド・アトウォーター副局長は席を立ち、部屋の隅から4脚目の椅子を取り出し、設置した。彼は、会議室を後にし、会議室の外に立っていたジェレミア・シメリアン特別捜査官を呼び出した。彼のジェスチャーに応じたジェレミア・シメリアン特別捜査官は会議室に入室、椅子に座った。
「エージェントよ、君の部下の行動がSCP財団の任務に支障をきたしている。エージェントの教育方針を聞きたい。」
「シットアップや腕立て伏せ、懸垂、300m走、2400m走などを通して部隊の運動能力を向上している次第です。」
「異常存在についての教育はどういったものだ?」
「異常存在についての教育は実施しておりません。しかし、部隊は異常存在の確保などに意欲的です。」
「異常存在の確保に意欲的なだけなら、パラウォッチと行っていることは変わらん。」
「異常存在についての教育を実施する予定は当分ありません。」
「全く。」
ブラッド・アトウォーター副局長が口を開いた。
「後半の会議内容であるシカゴ・スピリットの対策について話し合おう。我々異常事件課は、シカゴの警察と連絡を取り合いながら監視体制を強めている。」
トニー・ジャックマン博士は言った。
「その対策は効果がない。昨日、オーバーン・グレシャム地区の警察署が彼らに2度目の襲撃をされ、抗争に惨敗し壊滅した。」
「では、SCP財団は彼らにどのような対策を施している?」
「組織に属する現実改変者の居場所をあらゆる情報を元に収容チャンバーに収容している。彼らの勢力は現実改変者がいてこそ成り立っている。異常事件課は新たな対策法を考案するべきだ。しかし、異常事件課はアノマリーの扱いに慣れていない。無駄に奴らを攻撃するな。人が死ぬだけだ。」
ジェレミア・シメリアン特別捜査官は言った。
「では、部隊にシカゴ・スピリットの計画性のない攻撃は控えるよう命令しておきます。」
トニー・ジャックマン博士は舌打ちをしてからテーブルに置かれていた資料を全て持っていき、会議室を後にした。
シカゴに派遣された異常事件課の部隊は、訓練場で大量の汗をかきながら腕立て伏せをしていた。
シカゴ・スピリットはリチャード・デイヴィス・チャペルを中心に宴を開いていた。会場は警察に見つからない場所に建てられているバーだ。ワインの良き匂いが漂っている。いつも俺はビールばかり飲んでいたが、やはりワインも格別だ。リチャード・デイヴィス・チャペルは中央の席に座っている。
俺の手元の皿にはクリーチーズとアボカドの生ハム焼き、マグロのカルパッチョ、そして、ミディアムレアのステーキが置かれていた。他にも、チキンのトマトチーズ煮や焼きパプリカのマリネも盛り付けられていた。パスタがメニューに入っていなくて良かった。父の教育を思い出すと虫唾が走る。リチャード・デイヴィス・チャペルによれば、料理は全て新鮮な物を使用しているらしい。リチャード・デイヴィス・チャペルは新鮮は物を好む傾向にある。
リチャード・デイヴィス・チャペルは席を立ち、組織員の後ろを徘徊した。
「スーツを着るけどオフィスは持たない。誕生日のないファミリーが存在する。勘定は静けさで清算する。これは何だ?」
一同がシカゴ・スピリットと叫んだ。場の雰囲気が一気に高揚した。
「敬称で「ドン」と呼ばれるが教授ではない。税金じゃなく忠誠を集める。私は誰だ?」
一同がリチャード・デイヴィス・チャペルと叫んだ。
「断れない提案をする。魅力ではなく、拒否すると痛いからだ。これは何だ?」
一同がシカゴ・スピリットと叫んだ。
「法が来れば噂にすぎない。敵が来れば玄関に立つ。法廷には見えないが路地にはいる。これは何だ?」
一同がまたシカゴ・スピリットと叫んだ。
「バッジを渡せば法の器に、台帳を渡せば負債と踊り、拳銃を渡せば血で署名する。権力に合わせて姿を変えるが、紙には決してその姿が印刷されない。これは何だ?」
大半が権力と叫んだが、一部はシカゴ・スピリットやリチャード・デイヴィス・チャペル、金と叫んだ者もいた。すると、リチャード・デイヴィス・チャペルの表情は真顔になり、誤回答者の顔色はみるみる悪くなり、青ざめていった。彼は下唇に付着したリップを上唇に擦り付けてから溜息を吐いた。誤回答者たちの体は震え、心拍数が上昇した。少し前まで明るかったバーの雰囲気は一気に冷えた。一同の目線は、彼の皿の隣に置かれていた1丁の拳銃だった。彼がそれを拾い出す行為は、誤回答者の死を暗示する。
その後、彼は、自身の椅子に戻り、ナイフを手にしてステーキを等分した。誤回答者の顔色は回復し、事態は収束したと思われた。しかし、彼は、そのナイフを持ち歩き、誤回答者の太っている男性に向かって語りかけた。
「世界三大珍味にはフォアグラが含まれているが、俺はまだそれを食べたことがない。幼い頃からシカゴで過ごしてきたからな。ただ、スピリットの資金を削って陳腐なフォアグラを買いたくはない。俺が新鮮な物好きなのは周知の事実だろ?」
彼は首から下げられた十字架を握った。
「父よ、貴方の慈しみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、私たちの心と体を支える糧としてください。私たちの主イエス・キリストによって。アーメン。」
彼は、ナイフで誤回答者の太っている男性の足や腹を切り刻み、こう言った。
「この肉をどこかのレストランに寄付しよう。折角、新鮮な肉が目の前にあるが、今日は特別に食べないでおこう。」
一同は目を塞ぎたい欲を抑えて、その様子を見なければならなかった。
彼は、残りの誤回答者2人を睨みつけた。その内の1人はトイレに駆け込んだ。彼は発案したような顔で拳銃を手にし、誤回答者を射殺した。彼はバーの隅に設置されていた箱から面積の広いブルーシートを取り出し、死体を覆い隠した。彼はトイレの隣の倉庫に入り、清掃員の服装を身につけた。彼はその格好でブルシートを引き摺り、トイレの扉をノックした。トレイの中にいる誤回答者が叫んだ。
「ボス、やめてください。」
彼は声を変えて言った。
「私は清掃員です。トイレの中のゴミを収集し、トイレに流したいのです。」
「わ、分かった。今開けるから少し待ってくれ。」
トイレの中からはズボンを履く音が聞こえた。トイレの扉が開くと、彼は誤回答者を急いで掴んだ。この時、誰もが誤回答が死ぬことを予想したが、予想通りにはいかなかった。彼は生きたまま誤回答者をブルーシートに包み込み、トイレに流したのだ。彼は一同に笑えといわんばかりの顔をした。一同は非常に巧妙な作り笑いを浮かべ、彼はマジシャンのように脱帽した。俺の顔からは冷や汗が垂れ出した。トミーは呆れた顔でボスを見つめていた。
その後、俺たちはリチャード・デイヴィス・チャペルだけが笑っている宴で、食料品を食べ終えた。ミディアムレアのステーキが人肉の気がしてならない。が、気の所為だろう。
バーを出た俺はトミーとダルトンと帰り道を共にした。ダルトンは言った。
「俺はあの組織に関わって良いのか?正気の沙汰じゃない。」
ダルトンは単なる密造酒業者のため、シカゴ・スピリットには属していない。いわゆる、
「金が貰えると思って仕事を続けろ。彼を真に受けたら負けだ。」
トミーは言った。
「マフィアのボスで狂っていない奴はいない。ローランド・マックデルから伝言だ。明日の出勤時間は10時だ。」
俺は家に着くと、すぐさまベッドに駆け込んだ。俺は布団も被らないまま、寝落ちしてしまった。
俺の家の扉がノックされた。俺はドアスコープから外を覗き込んだ。外に待ち構えていた者は3人だった。1人は腹が肥えているというより太っていて、もう1人はジュラシックパークのドナルド・ジェナーロのような魂胆をしている奴だった。残りは普通の外見をしている。俺は言った。
「夜中に何の用だ?」
3人の男性が交互に続けた。言った。
「正気に戻れ。」
「もう1度考え直せ。」
「まだ間に合う。」
「シカゴ・スピリットはおかしな組織だ。」
「シカゴ・スピリットから離脱しろ。」
「マフィアはまともではない。」
「死ぬぞ。」
「身が危ない。」
「リチャード・デイヴィス・チャペルに殺される!」
俺は眠りから目覚めた。どうやら、夜中に男性数人が家にやって来た出来事は夢だった。俺は誰に何と言われようともシカゴ・スピリットを絶対に離脱しない。
俺はベッドから降りて洗面所に向かった。俺は使い古された歯ブラシを手に取り、塩で歯を磨いた。俺は塩を唾と共に吐き出し、水道水の水で洗顔をした。俺はスーツを脱ぎ、他のスーツを着用した。その後、扉をノックする音が聞こえた。俺は顔を叩き、今生きている世界が悪夢ではないことを確認した。俺はドアスコープから外を覗き込んだ。外には、二日酔い後のシュルツ、ボーンズとロビンソン、トミー、フラナガン、ローレンス・アンソニー・アマト・アンソニー・アマト、そしてローランド・マックデルが待ち構えていた。俺はドア越しに言った。
「何の用だ?2回のノックはトレイノックだぞ。」
ローランド・マックデルがはっきりと答えた。
「遅刻だ。」
俺は左腕に取り付けられた腕時計を見た。時計の針は10時直前を指していた。俺は、リチャード・デイヴィス・チャペルに拷問されることを恐れた。何より、仲間まで彼の拷問の巻き添えになることを恐れた。俺は、拳銃をポケットにしまい、家を後にした。俺は言った。
「業務内容は何だ?」
ローランド・マックデルは真顔で答えた。
「異常事件課の監視だ。社用車に乗るぞ。」
ローレンス・アンソニー・アマト・アンソニー・アマトは言った。
「社用車はどこだ?」
「一々聞くな。」
一同はマフィアと認識されないよう社会人のように道を進み、社用車が駐車されている廃工場に向かった。良いことに、ユニットの存在をマフィアなど見抜いている素振りの者はいなかった。ボーンズのポケットから拳銃が一部見えていたが、それについても気付かれなかった。
ローランドでマックデルはポケットから車の鍵を取り出し、乗車した。ローランド・マックデルが命令を下した。
「お前らはトランクに入ってろ。」
俺は彼に愛嬌を見せたが、「俺はゲイではない。リチャード・デイヴィス・チャペルにやれ。」と返すだけだった。俺は思わず声を漏らした。
「彼はゲイなのか?」
「一部の者しか知らない噂に過ぎないが、絶対に話すな。俺まで殺される。」
ローランド・マックデルを除くメンバーはトランクの扉を開き、中に入った。トミーは言った。
「まるで、俺たちは奴隷船に詰められている黒人奴隷みたいだな。」
ローランド・マックデルは車を起動した。トランクは揺れに揺れ、メンバーの頭がぶつかり合った。俺は文句を言った。
「頭をぶつけてきた奴は誰だ。」
ボーンズは言った。
「お前もぶつけてきただろ。」
「そもそも何故、俺たちをトランクに詰める。息が苦しくて仕方ない。」
トミーは言った。
「一応、トランクの隙間に板を挟んで換気している。」
ローレンス・アンソニー・アマト・アンソニー・アマトは言った。
「そもそも異常事件課とは何だ?Xファイルごっかよ。SCP財団の捩りみたいな組織だな。」
「FBIの部署だ。」
「FBIだと?一昨日の警察とは比にならない規模だな。」
「しかし、彼らは異常存在の扱いには慣れていない。」
「なら雑魚だな。」
「しかし、組織の執着力は凄まじい。ジョン・デリンジャーを存じているか?」
「悪名高い銀行強盗犯だな。」
「彼には、確率を改変する能力。すなわち、テュケキネシスを有している。組織は彼の身体の特徴や職業などを全て把握していて、長年追い続けている。」
ローレンス・アンソニー・アマト・アンソニー・アマトは言った。
「彼をスピリットに勧誘しよう。俺と気が合う。」
その後、社用車は目的地に到着した。俺はトランクの扉を静かに開き、外を覗いた。外には、殺風景なシカゴが広がっていた。アスファルトで作られた長く続く道路に社用車と酷似した車。俺は期待外れの景色に思わずため息をついたが、大事なのは敵の殺し甲斐だ。殺し甲斐のない敵は話にならない。俺はその勢いでトランクの扉を開き、真っ先に外に出た。俺はローランド・マックデルの指示を待った。ローランド・マックデルは降車し、サングラスをかけ直した。
「突き当たりの角を曲がった場所に異常事件課の部隊が派遣されている。我々は隣のアパートや住宅街から部隊を監視する。」
ローランド・マックデルは右を指差した。彼のスーツが風に吹かれて靡いた。ローランド・マックデルは命令を下した。
「シュルツとロビンソン、フラナガンは白いアパートの屋上で異常事件課を見張れ。」
彼は前を指差し、指示を続けた。
「ドミニック、ボーンズ、トミー、ローレンスは住宅街の角から異常事件課を監視しろ。銃は必ず隠し持て。」
彼はサングラスを触り、俯きながら白いアパートに向かった。俺は、機能していない信号機を見上げた。信号の色が青になっても車が走り続けるとは、流石シカゴといったところだ。俺は中折れ帽を脱ぎ、帽子で拳銃を隠しながらそれをポケットに隠した。俺は車が道路を走行するタイミングを見計らって、住宅街に向かった。住宅街は一軒家で、庭には薔薇や時計草が咲いていた。薔薇の香りが鼻の奥まで行き渡る。トミーは言った。
「他人の住宅街の角で待ち構える行為は明らかに怪しまれる。」
ローレンス・アンソニー・アマトは言った。
「俺の能力で何とかできる状況ではない。」
俺は言った。
「話している様子が1番自然だ。」
「おい、あれを見ろ。」
トミーの目線の先では、2人の男子がバスケットボールをして遊んでいた。ボーンズは言った。
「あんな子供の遊びを大の大人がやっている様子こそ不自然だ。」
ローレンス・アンソニー・アマトは言った。
「高価格なバスケットボールを使ったら不自然ではなくなるのではないか?」
「どこに売っている?いや…」
一同はバスケットボールを楽しむ2人の男子に目を向けた。俺たちは、途中まで一般的な社会人を装い、道路を跨いだ。男子は俺たちに怯えていた。俺は偽りの笑みを浮かべて言った。
「おじさんは怖くない。」
トミーは言った。トミーは何とか優しい表情を出すため、口角を異常に上げた。
「一緒にキャッチボールしないか?」
「良いよ。手加減してね!」
「ごめんな。大人の世界に手加減は存在しない。」
ボーンズはそう言い、ポケットから拳銃ではなくスティックを取り出した。ボーンズは男子にスティックを振り翳し、気絶させた。ボーンズは不敵な笑みを浮かべた。
「これぞ英才教育だ。」
その時、近くの住宅街から女の悲鳴が聞こえた。その女性は、子供の遊びを見守っていた母親と思われる。ボーンズは躊躇せずに母親を撃ち殺した。しかしその弾丸は壁に命中していて、母親は弾丸を避けて気絶していた。ボーンズはニヤニヤと母親を見つめた。
「あいつは俺に気がある。」
ローレンス・アンソニー・アマトは言った。
「すまないが、あの女は俺のものだ。俺は彼女をテュケキネシスで救った。ましてや、私はお前が拳銃を取り出す確率を抹消し、スティックを取り出す確率を確実にした。私は子供も救った救世主だ。私が能力を行使しなければ、彼女と子供は死んでいた。」
ローレンス・アンソニー・アマトはバスケットボールを持ち上げ、俺たちは道路を横断した。俺は言った。
「バスケットはどこだ?バスケットがなければ何も始まらない。」
トミーは言った。
「バスケットボールに見せかけたキャッチボールだ。」
ローレンス・アンソニー・アマトは言った。
「キャッチボールのポールを自腹で買えば良かった。わざわざ彼女やその子供たちを脅す必要はなかった。」
「お前は女に弱いな。」
「何だと?」
ローレンス・アンソニー・アマトはそう言うと、バスケットボールを俺に強く投げつけた。俺はそのボールをキャッチし、キャッチボールが始まった。俺はトミーにボールを投げた。トミーは正確にボーンズにボールを投げた。しかし、ローレンス・アンソニー・アマトのテュケキネシスにより、キャッチが成功する確率が低くなり、キャッチが失敗した。トミーは言った。
「ローレンス・アンソニー・アマトよ、今すぐ確率を元に戻せ。このままだと異常事件課の事務所の窓にボールが衝突する。」
「もう無理だ。」
バスケットボールは勢いよく異常事件課の事務所の窓に衝突した。事務所からはサイレンの音が鳴り響いた。ボーンズは言った。
「ローランド・マックデルに合わせる顔がない。」
すると、太くしっかりとした眉毛に意志の強そうな鋭い眼差しの白人男性が後ろを振り返りながら逃亡していた。彼は恐らくジョン・デリンジャー容疑者だ。ジョン・デリンジャー容疑者は細めの口髭を蓄えていて、シャープで角張った輪郭をしてきた。特徴的な割れ目のある顎が目立つ。トミーは言った。
「あの部隊は我々を追跡してるのではない。ジョン・デリンジャー容疑者を追跡しているのだ。」
しかし、俺はトミーの予想が外れていると考えた。部隊は明らかにローレンス・アンソニー・アマトに目をつけている。部隊の一員は拳銃をローレンス・アンソニー・アマトに向けた。彼は言った。
「俺はジョン・デリンジャーではない。」
部隊の一員は強く言い放った。
「お前からテュケキネシスが感知されている。逃亡している者は偽者で、お前は整形をした本者だろう?」
俺は静かに拳銃を取り出し、部隊の一員を射殺した。ボーンズは言った。
「ここから退散するぞ。バスケットボールは置いていこう。」
一同は真っ直ぐ進んで右に曲がった。しかし、部隊の一員が奥に数人構えていた。俺とボーンズは対象を次々と射殺し、一同は前に進んだ。すると、シールドを構えて慎重に進んでいる10人の部隊が現れた。その部隊らは道を封鎖し、シールドとシールドの間からアサルトライフルを挟み込んだ。部隊の一員は言った。
「手を挙げろ。さもなくば撃つ。」
部隊の合図と共に交差点から拘束用具を持ち歩いた4人の部隊が姿を現した。すると、凄まじい銃声と共に4人の部隊が一気に倒れ込んだ。白いアパートの屋上に立っていたローランド・マックデルはサングラスのテンプルを触り、拳銃をリロードした。部隊はローランド・マックデルに狙いを定めてアサルトライフルを発射した。シュルツとロビンソン、フラナガンは飛び降りながら拳銃をリロードし、部隊に向けて発射した。発射された弾丸はシールドに跳ね返り、穴が開いた。部隊はシールドを持ち上げ、シュルツらに向かって発砲した。シュルツやロビンソン、フラナガンはシールドで覆い隠されていない足首に向けて弾丸を発射した。部隊の大半はシールドを落とし、地面に倒れ込んだ。俺は、拳銃を手に取り、部隊にとどめの弾丸を放った。
ローランド・マックデルは白いアパートから勢い良く飛び降りた。その時、命からがら生き延びていた部隊の一員が彼に向けて拳銃を放った。その弾丸は彼の胸に命中し、彼の胸からは血が勢い良く迸った。俺は腰を抜かした。ローランド・マックデルが殺されればこのユニットはもたない。今までローレンス・アンソニー・アマトやボーンズの喧嘩がありながらも保たれてきたこのユニットが今日(こんにち)、崩壊する。今まで俺はローランド・マックデルを彼の傲慢な態度から嫌っていたが、今、彼の大切さに気づいた。しかし、弾丸はローランド・マックデルの胸深くには命中していなかった。俺は部隊の一員を睨みつけた。すると、部隊の一員は拳銃をリロードし、彼にトドメを刺そうとしていた。俺は彼を庇おうとした。他のメンバーも彼を守ろうと必死だった。一同の努力は虚しく、速いスピードで弾丸は進んでいった。一同は感嘆の言葉を漏らした。俺は彼に向けて十字架を切った。その時、アスプの上をズボンが通過する摩擦音が聞こえた。そこにはジョン・デリンジャー容疑者が彼を庇っていた。彼はアスファルトの道を滑り込み、彼を庇ったのだ。そして、弾丸はジョン・デリンジャー容疑者に命中し、ローランド・マックデルの命は保たれた。
その頃、事務室でトニー・ジャックマン博士は頭を抱えて言った。
「無駄な行動はするなと注意をしたはずだ。」
俺の自由を求める抗争は終わらない。俺は今日を以て政府に宣戦布告する。
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