第二十一章 新しい世界

さらに二年が経った。


 「緑区」の浄化は、ついに完了した。


 かつて死んだ大地だった場所に、今は緑が広がっている。農地が復活し、人々が戻ってきた。


 そして——


 第五王子の治療も、成功した。


 魔素が除去された空気の中で、王子の体調は徐々に回復していった。今では、普通の子供と同じように走り回れるようになっている。


「レイドさん」


 リーゼロッテが、清一の隣に立った。


 二人は、「緑区」の丘の上から、広がる緑の平原を見下ろしていた。


「ありがとうございました」


「何が」


「全てが」


 リーゼロッテは、微笑んだ。


「弟を救ってくれたこと。この土地を蘇らせてくれたこと。そして——私に、希望を与えてくれたこと」


「俺は——ただ、やるべきことをやっただけだ」


「いいえ」


 リーゼロッテは、首を横に振った。


「あなたは——この世界を変えました」


 王女は、清一の手を握った。


「私は——あなたと共に、歩んでいきたい」


 清一は、リーゼロッテを見つめた。


 そして——微笑んだ。


「俺も——そう思っていた」


 二人は、緑の平原を見つめながら、立っていた。


 風が、穏やかに吹いている。


 新しい世界が——始まろうとしていた。

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