第2話 無知が知る世界


 

____『そろそろ起きろ、“次”はもう始まってる』





「…………っはぁっ!!!」


生きてる、ちゃんと生きてる。何日寝ていた?ここはどこだ?


「起きたか、」


「!?..はい!」


見惚れた、そして、改めて自身の元いた世界には、自分は…もういないことを再認識した。目の前の女性によって

褐色の肌に少し赤い髪、そして何よりも、全てを吸い込むような透き通った真紅の瞳、人の妄想の中にしかいないような人物が、目の前にいた。


「2日も眠っていたが、元気そうでよかった。」


「...え?2日も眠ってたんですか?」


「ぁあ、そもそも腹の内臓を貫かれてたからな、治癒したとはいえ、体力的にそれくらいは眠って当然だろう?」


そりゃそうだ。本来なら何度も死ぬはずの肉体へのダメージ、それをよくわからない力で何度も直してたらこうなるもの頷ける。


「そして、君は、どこからきたんだ?服も私が見たことないようなものだし、アルビリオの中央にいたんだ?」


...さてどう答えようか、こう言うのは下手に真実を話しちゃいけないんだよな。はぐらかすのも変だし、嘘つくか


「実は覚えていないんです、俺、どこから来たのかとか、あそこがどこだったのかとか、」


「記憶喪失....か、自分の名前とかはわかるか?」


「俺は波川結人って言います。多分年齢は15で、一応言葉とかの使い方は覚えてます」


「局所的な記憶は残ってるんだな、....ナミカワ......おーい!気絶してた少年、目覚めたぞ!」


「はいはーい」


「大丈夫でしたか?一応貫かれたところは処置をしましたが、」


「...はい!違和感もないくらいです」


「それはよかった、私、ミラ・セレスって言います。ルナも自己紹介はした?」


「ぁあ、忘れていた、私はルミナ・エンバーガイドと言う」


「ルミナさんとミラさん、昨日は助けてくれて、本当にありがとうございます。ところで、その首のあたりと瞳にあるその、紋様?記号?ってなんですか?」


「...君、拝借についても忘れているのか?君も使っているのにか?」


「...ハイシャク?もう使ってる?」


「...ふむ、そこも覚えていないんだな、そこは街に歩く最中でいいだろう、もう歩けるな?」


「あっ、はい、でも...ちょっと水が欲しいです。」


「飲むか?」


そう言うと、ルミナは少し緑色の液体を差し出した。


「...これは?」


「薬草を混ぜて作った栄養水だ、治っているとはいえ肉体が馴染むまではこういう体に馴染みやすいもので栄養を取れる方がいいと、作っておいた」


「ありがとうございます!いただきます!」


...俺青汁苦手なんだが?絶対こんなの苦いじゃんやだー...しゃあない、飲むか、


ゴクゴクゴクッ...


「甘っ!」


「よかった、飲みやすいように薬草と言っても『アマミエイソウ』で煎ってみたんだ」


「あなた、それを選んだのは私でしょう?それにあなたの煎り方は雑すぎてえぐみが酷かったじゃない、だから私が作ったのに…」


「そんなのどちらでもいいだろう?どのみち提案したのは私だから」


「別に引きずるわけじゃないけどムカつくわね、」


「ぷはぁっ!もう動けそうです!いきましょう!」


「それじゃあ行くか」


「えぇ、」


移動中


「そういえば、さっき言ってたハイシャクと紋様?って結局なんですか?」


「そうだな、簡単に説明しようか、まず、拝借とは人間には出せない自然や空想のエネルギーを“借りる”ことだ。」


「借りる?」


「そう、この力は自分で出力できるものじゃなくて、“裏世界”と呼ばれる世界の住人から魂借契約という力を貸して、代わりに魂のエネルギーを頂戴する契約を交わしてこの力を出す。」


「“裏世界”とは?」


「“裏世界”は表現が難しいが、自分の今いるこの世界の反対側にいる存在、と思ってくれて構わない、」


「次にこの“契約の証”についてだが、私の、見えるか?」


「はい、中央に炎が象ってあって周りに六芒星と円、と謎の文字?で魔法陣みたいになってるやるですよね」


「それだ。これは“契約の証”と言い、さっきの魂借契約によって借りたことの証だ、裏世界の力を使う時はここを起点として扱う、そして扱う時は契約したときに脳内に刻まれる言葉を使う」


「脳に刻まれるって、どうやって?」


「わからん、だが、“契約の証”が関係していることは間違いないな、例えば私がやれば、」


『火球』


そう唱えると、首の証が光り、炎の球を創り出した。


ボォッ!


ドォォン!


「すごい...火球、めちゃくちゃかっこいい!!」


「ああ、そんなに褒めないでくれ、こっちが恥ずかしくなる……っうぅん!…続けるぞ、こんな風に刻まれた言葉を唱えれば、魔法のように力が飛び出る」


「へぇ!ちなみに俺はどこについてるんですか?その契約の証?」


「ここだ」


そう指さされたのは右の手の甲だった、見ていたはずなのに気づかなかった、いや、多分頭がこの力、“拝借”について認識したから自覚したのか、


「こんなところに、気づきませんでした。俺のは…なんだこれ?」


「一見すると光に近い...が、何か霞んでいる?周りに契約文字と図形が現れてないのはおそらく初めて使ったから体に馴染んでないんだろう、器ができるごとに証は色濃く鮮明に、そして文字と図形が現れるぞ」


「そうなんですか、」


「ほら、それについて話しているうちについたよ、街へ」


「無知が知る世界」完


次回「人の世界」

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無知の知 @Tug02

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